1945年の夏、
吉本さんは敗戦を20歳で迎えました。
「日本は絶対に勝つ」と信じる
軍国少年だった吉本さんにとって、
敗戦はそれまでの価値観を
根底から覆すできごとでした。

吉本さんは、
「日本はなぜ負けたのか」を理解するために、

日本とは何か、
国家とは何か、
日本人はどこから来て
どこへ向かうのか、
を徹底して考え抜きました。

日本という「国」が存在する前から、
日本列島に人は住んでいた、
そういう歴史の広がりの中で

日本とは何か、
国家とは何かを
考えなければいけない──

自分に言い聞かせるように
吉本さんは何度もそう口にします。

マンモスを追いかけていた時代からの
人類の長い歴史を見渡すことで、
日本社会が直面する問題の本質が見えてきます。