わが歴史論
──柳田国男と日本人をめぐって

  • 時間

    79
  • 音質

    講演後半の録音が欠落している。
    収録は講演の前半のみ。
    手元のノイズが入ったり
    声が遠くなる個所がある。

  • 講演日時:1987年7月5日
    主催:我孫子市教育委員会
    場所:我孫子市民会館
    収載書誌:JICC出版局『柳田国男論集成』(1990年)




柳田国男の民俗学は、稲を持ってきた人以前に
日本列島に住んで、山のなかで狩猟をしたり、
木こりをしたり、製鉄に携わったりしていた、
農業民以外の人たちに対する関心からはじまっています。
柳田国男の民俗学を突きつめていきますと、
一見まるで孤立した民族のように見える
アイヌの人たちが、祖先は縄文の人たちとして
一緒に含まれてくるわけです。
柳田国男は、アイヌの人たちの祖先が
日本の縄文時代の人たちの直系に近い残りだとは
あからさまにいっていませんが、
そう考えていたということはとてもよく理解できます。
僕らが柳田国男のいうところを推測して
普遍化していくと、
どうしてもそういうところに突き当たるような気がします。