POSTER 9 & 10  1979年 ああ、スポーツの空気だ。  1980年 女の記録は、やがて、男を抜くかもしれない。

ああ、スポーツの空気だ。

この当時、デパートにはまだ
「カジュアルウェア」という言葉がありました。
この年あたりから、それが
「スポーツウェア」にかわっていきます。
スポーツの空気、というキャッチコピーは、
そんな時代の空気を反映しています。
もちろん、スポーティなふんいきにかけては、
そのころから伊勢丹がナンバーワンの店でした。
いま、この、コピーを
現代の空気の下で書きなおしたら、
きっとこうなるでしょう。
「あ、ファッションの空気だ」

(文:土屋耕一
 伊勢丹社内報 1996年12月号より)

徳光 カジュアルウェアのこと、
アメリカでは「スポーツウェア」と言うんです。
伊勢丹研究所のみんなは、
年に4、5回、海外を回って、
僕らにレポートをする時に、
カジュアルウェアと言わず、
スポーツウェアって言っていた。
「これからはスポーツウェアの時代になる」と。
つまりね、世の中が、
スポーツは特殊な技能の持ち主がすること、
という位置づけから、
生活自体をスポーツ感覚で過ごすようになる、
そんなふうに言いたかったんだと思います。
ほぼ日 写真も、フリスビーです。
徳光 そうです。そういうファッショントレンドだった。
ちょうどこの時期、
カルバン・クラインの人気が出た頃です。
カルバン・クラインっていうのは、
向こうではスポーツウェアのデザイナーと言われてた。
これを伊勢丹が展開した。
一方、西武は、ラルフ・ローレン。
ほぼ日 同じトレンドの下で、
競い合っていたんですね。
徳光 当時は、伊勢丹への電話の問い合わせで、
一番多かったのが、ラルフ・ローレンについて。
伊勢丹
宣伝部
「扱ってないんですか?」と。
徳光 西武で一番多かったのが、
「カルバン・クラインを
 扱ってないんですか?」(笑)。
僕、西武の人に、
「交換しようよ」って言ったことあるんだけど。
ほぼ日 (笑)
徳光 当時、西武に、僕の立場と同じ人がいたんだけれど、
伊勢丹と西武の違いが、まざまざ出てましたよ。
「一度、伊勢丹の宣伝部に遊びに来てくださいよ」って、
いらしたんです。そうしたら、
半ズボン履いてね、探検隊みたいな帽子被って、
サングラスかけて来たんだ(笑)。
「西武って、そんな格好でいいんですか?」
って言ったら、
「いいんじゃないの?」って。
ほぼ日 企業文化、ずいぶん違いますね。
徳光 そうですよ。僕らはスーツでしたから。

女の記録は、やがて、男を抜くかもしれない。

先日の国際女子マラソンで一着に入った
藤村信子さんの記録が2時間28分。
さて、男子の方は、
だいたい2時間10分ちょっとで入るとして、
男女間の差はいぜんとして20分近く開いていますよね。
ISETANが1980年に出した、
この予言風広告が描いていた男と女の位置の逆転は、
まだまだ先のようです。
でも、この広告の根底に流れているコンセプトは、
マラソンという題材をかりて、
なにごとにつけ男が優先する社会に対して、
抗議のカネを鳴らすことにあったのですから。
女性がんばれという風は、
つねにISETANサイドから流れていなければなりません。

(文:土屋耕一
 伊勢丹社内報 1997年1月号より)

徳光 この辺は、また女性に戻ったんですね。
これは1980年の、年頭キャンペーンですが、
ちょうど前年、資生堂が協賛して、
東京国際女子マラソンが始まったんです。
ほぼ日 女の人のための広告なんですね。
徳光 そうなんです。
時々、こうやって、女性に戻るんですよ。
本来だったら、もっともっと、
ライフスタイル寄りでやりたかったと思うんですが、
これは、土屋さんが戻ってるんじゃなくて、
伊勢丹が、ぶれて、戻るんです。
大先生といえども、クライアントの意向がある。
それも、一担当者がこういうこと言ってるんじゃなくて、
伊勢丹全体のそのトレンドですから。
伊勢丹研究所がそういうことを決めると、
仕入れが、全部、そういう形になるんですよ。
店の中がそうなるわけだから、
広告だけがそれに反発しても、お客様と店との距離が出る。
広告と店が離れてるデパートって、あるじゃないですか、
「伊勢丹は、そういうことがないようにしよう」
っていうのは、土屋さん、いつも言われてたんで。
でも、これも決して、商品広告ではないんですよね。
1979年(昭和54年)はこんな年


1月・初の国公立大学共通一時試験
6月・東京サミット開催
7月・東名、日本坂トンネル事故
11月・第1回東京国際女子マラソン


・「3年B組金八先生」
・「マー姉ちゃん」


・「スーパーマン」
・「チャンプ」


・VSOP
・夕暮れ族
・天中殺
・ソニー・ウォークマン


・「好きだと言うかわりにシャッターを押した」(オリンパス)
・「トースト娘ができあがる」(全日空)
・「ヒーローになる時、それは今」(SEIKO)


・「関白宣言」(さだまさし)
・「チャンピオン」(アリス)
・「YMCA」(ヴィレッジ・ピープル)


・ガソリン(1リットル) ¥125
・大卒銀行初任給 ¥98,000
・牛乳(1本) ¥55

1980年(昭和55年)はこんな年


6月・初の衆参同時選挙
8月・静岡駅地下街でガス爆発
  ・新宿駅西口バス放火事件
9月・イラン・イラク戦争勃発


・「池中玄太80キロ」
・「なっちゃんの写真館」


・「クレイマー・クレイマー」
・「地獄の黙示録」


・ルービックキューブ
・ぶりっ子
・ハマトラ、ニュートラ
・イエスの方舟


・「不思議なピーチパイ」(資生堂)
・「いまの君はピカピカに光って」(ミノルタ)
・「少し愛して、ながーく愛して」(サントリー)


・「大都会」(クリスタルキング)
・「哀愁でいと」(田原俊彦)
・「ダンシング・シスター」(ノーランズ)

2013-08-26-MON