ほぼ日手帳だと、なぜ続くんだろう。

2016年11月に福岡・天神ロフトで開催した
「ほぼ日手帳ミーティングキャラバン」では、
手帳ミーティングの合間に、
浅生鴨さんと糸井重里がふたりで話す
ちいさなトークイベントも開催しました。
元「@NHK_PRの中の人」で、
作家としても活動されている浅生鴨さんは、
「ほぼ日手帳」の10年ユーザーでもあります。
短い時間のトークイベントでしたが、
「ほぼ日手帳」について、深い話ができました。

(前編)浅生鴨さんの使い方      2017-01-22(日)

(後編)ほぼ日手帳だと、なぜ続く?  2017-01-23(月)

▶︎手帳ミーティングのようすはこちらからどうぞ!

糸井
今日はおもしろかったねぇ。
浅生
時間の捉え方がひとりずつ、
全然違う感じがして、おもしろいなぁって。
糸井
さすがSF作家。
浅生
勘弁してください(笑)。
糸井
手帳ミーティングに来てくださったみなさんは、
たまたま抽選で選んだら
甲子園に出るような人が集まっちゃったみたいで。
浅生
手帳エリートが勢ぞろいでした。
糸井
かといって、押しつけがましくもなくて。
なんでしょう、この感じ‥‥。
ほぼ日手帳を使っている人は、みんなすごいね!
浅生
ルールをきっちり決めている人と、
まったく決めていない人がいるのが
おもしろいな、と思いました。
「ほぼ日手帳」って、構造としては
1日に1枚の紙があるわけですよね。
その1ページを、日付の通りに使う人と、
まったく関係なくノートとして使っている人がいて。
どちらも、使い方としておもしろいなぁ。
糸井
日付関係なく書く、という人の中に
自分も含まれているんですよね。
ぼくの場合、書ききれない日は他の日付を借りて、
その行き先を前のページに書いておきます。
今日のページに書いていることが、
書ききれなくなったら空いているページを探して、
たとえば、3月3日が空いてるなと思ったら、
今日のページに“3月3日”と書いて飛ばすと、
あとで見たときに追えるようになるんです。
でも、みなさんのお話を聞いていると、
日付をまったく無視する人も多いですね。
浅生
はい。ぼくは「まったく無視派」です。
糸井
へえーー!
鴨さんって、几帳面に見えるけど、
日付は関係ないんですね。
浅生
まったく関係ないです。
糸井
ずいぶん自慢そうに言うねえ。
浅生
だってこれ、そもそも来年の手帳ですし。
糸井
来年の手帳(笑)。
浅生
今日は11月26日ですけど、
2017年の1月15日まで、もう埋まっています。
生き急いでいるから、ゆっくりしたほうがいいですね。
糸井
というか、なんでそんなことに。
浅生
来年にかけて続く仕事は、
もう来年の手帳に書こうと決めたんです。
去年までは、1年に1冊で完結させていたんですけど、
手帳って、過去と未来と今が
同時に存在しているって思ったんですよね。
糸井
うん、そうですね。
浅生
だったら未来のことはもう、
未来の手帳に書いちゃえと思って。
糸井
はあーー!
最初に時間の捉え方という話が出ましたけど、
ふだん生きているときも、
現在を生きているようでいて、
未来と過去もズルズルと引きずって
歩いているようなところがありますよね。
それを鴨さんは、区切りをつけずに
ズルズルとまとめて面倒みちゃうと。
浅生
過去と未来を、全部持ち歩いちゃえと。
糸井
ということは今、
手帳を2冊持って歩いているということですね。
浅生
2冊持ちです。はい。
糸井
鴨さんは、お仕事で外国に行く機会が、
とても多いですよね。
海外にも、「ほぼ日手帳」は持って行きますか。
浅生
持って行きますね。
糸井
どんな使いかたをするんでしょう。
浅生
たとえばこれ、フィンランドの言葉で、
「いくらですか?」と書いてあります。
使いそうな言葉を、手帳に書いておいたり。
あとは、外国で行ったお店のショップカードとか、
飛行機のチケットを貼っておいたり、
街の地図を書いたりしてますね。
ぼく、ものすごい方向音痴なので、
地図を書いておかないと
自分の泊まっているとこに戻れなかったりするので。
糸井
鴨さんの手帳は、色も付いてる。
色エンピツも持ち歩いているんですか。
浅生
はい、持ち歩いてます。
糸井
絵を描くっていうのは、
写真を撮るのとは全然違いますよね。
色を付けるのは、楽しいんですか。
浅生
色が付いてると、見返したときに楽しいですね。
ぼくは、無駄に色を付けたがるんです。
赤で丸をするだけとか、
ちょこちょこ、細かく色を付けてます。
糸井
見ていると、たしかに楽しいですね。
浅生
楽しいです。
糸井
ミーティングに参加してくれた人にも、
文字だけでも色分けをする人がいましたね。
嫌な仕事は赤、うれしい仕事は黒、みたいな。
浅生
プライベートはこの色、
という方もいらっしゃいましたし。
糸井
いらっしゃいましたね。
手帳の中に、時間が込められていくのが、
「ほぼ日手帳」が続く理由のひとつなのかな。
過去を読み返すこともできるし、
予定というのは未来だし、自分は今を生きている。
全部が入るものって、あまりないですよね。
スマートフォンで管理していても、
ひとつずつ呼び出さないとないんですよね。
浅生
ぼくは今朝、東京から福岡へ来る間、
飛行機の中でずっと、
手帳を頭から読み返していたんです。
気になったところに丸を付けたり、
新しい手帳に書き写したり。
そうすると、自分が今、課題にしていることが、
もうずいぶん前に考えられていたりして、
「あっ、これだ」とか思いました。
過去に自分が使っていた手帳を、
読み物として、ずーっと読み直せるんです。
糸井
自分が書いたことを、読み物として読み直す。
スケジュール管理の表だと
あまり読み直さないですよね。
浅生
そうですね。予定が終われば終わりですから。
糸井
ミーティングに参加してくれた
みなさんとお話をしてると、読み返すっていうのは、
わりと当たり前のこととして行われていましたね。
浅生
ぼくの場合、単純な日々の記録だけじゃなくて、
自分がものを考えるときの途中経過も書いてあるので、
そこをもう1回たどれる良さがいいんです。
糸井
「すでにいいこと考えてる」というのが出ていたり、
あるいは考え途中になっていたことがあっても、
「今の俺だったら、この続きができるんだけどな」
ということがあったり。
誰より親しい友達と、ゆっくり話しているようなことが
「ほぼ日手帳」に溜まっていく、
というようなことは、ぼくも思いますね。

(つづきます)

←天神ロフトミーティングキャラバンのレポート

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