乗組員やえの疑問

いまのタワーは傾いて見えるような気がするけど‥‥?

スカイツリーおじさんの解説

新聞や雑誌、テレビの取材でも
よく聞かれることなんですが、
タワー自身が傾いているわけではありませんので、
どうぞご安心くださいね。

この理由としては3つあると考えています。
ひとつ目は、これまでにお話してきた「そり」と「むくり」。
上部へ伸びるにつれて、
平面が、底面の正三角形から
円形へと変化していくため、
「そり」と「むくり」という2種類のカーブが生じ、
これによって、見る方向によっては、
両側が「そり」に見えたり、
右側が「そり」左側が「むくり」に見えたり、
その逆に見えたりとすることです。
片側が「そり」で、
もう片側が「むくり」のラインが見えるときには
いまはまだ上部が完成していない段階ですから
偏って見えるのかもしれません。

ふたつ目は、
低層部の正三角形平面から伸びているあたりで、
方向によって、中心軸がずれて見えることです。

これは、平面で見れば分かりやすいと思います。
底面正三角形の中心と、
上部の円形の中心とは、
ずれているわけではなくて同じ位置にあります。

円の中心は360度どこから見ても、
直径を二等分した位置にあります。
でも、底面の三角形はどうでしょうか?
ここでいう中心とは算数では重心といい、
三角形の各頂点と対辺の
中点(辺を二等分する位置の点)を結ぶ
線分=中線の交点となります。
また、この重心は、どんな三角形でも
中線を2:1の比に分けるのです。

タワーの姿を、
底面正三角形の辺に直角する方向から見ると、
辺の二等分の位置に中心の軸が見えますが
底面正三角形の辺と平行する方向から見ると、
三角形重心のため、
端から端までの2:1の位置に中心の軸が見えます。
つまり、タワー低層部の、
正三角形から円形へと変化しつつあるところでは、
中心軸が真ん中に見えないために、
「ひょっとして、傾いてる?」なんて
思ってしまうのでしょう。

さいご、3つ目の理由は、現在はまだ工事段階であり、
上部の中心軸として見える部分が完成していないことです。
第一展望台から上部は、
タワーがより細くなりながら円形平面で伸びていきます。
また、最頂部には「ゲイン塔」と呼ばれる
アンテナを取り付ける部分が、
タワーの中心でまっすぐに伸びていきます。
現状ではこれらの部分がないために、
タワーを見たときに、中心軸を認識しづらいのだと思います。
そのために、ひとつ目、ふたつ目で説明した、
かたちの変化が、「タワー自身の傾き」と誤解される
のではないかと考えています。
これが、タワーが完成すれば、
「そり」と「むくり」は、かたちの変化として、
低層部で中心軸がずれて見えることは、
「そり」のラインの足元が広がった姿として、
見えてくるのではないかなと思われます。

これらは、工事中ならではの「見え方の不思議」
ともいえるでしょうから、
ご安心いただいた上で、この時期を楽しんでください。
夏休みの自由研究テーマになるかも!?です(笑)。

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2010-08-24-TUE