Drama
一夜かぎりのくだらなさ。
清水ミチコ/リリー・フランキー/darlingの夜。
去年の秋。『蝶の舌』という映画の試写会をやった。
そのときに、しょうもない3人が集まって、
ゆるゆるのトークショーをやったテープを、
お蔵からひっぱり出して連載にした。寛容に読んでね。
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<2001年10月6日深夜/東京・シネスイッチ銀座にて>

※『蝶の舌』のシネスイッチ銀座での上映は、終了です。

第1回 食いたくなるよねぇ?肉。

第2回 あまり意味のない話かもしれないけど

第3回 たこ八郎のサイン

第4回 シアトル

第5回 デパートの恋

第6回 ちゃんとした恋愛、したことある?

第7回 胸が苦しくなる

リリー 糸井さんが、
「いやぁ、リリーさん、
 結婚したほうがいいよ。
 でもね、離婚は、結婚の3倍大変だよ」
って、怖い話ばっかりするもんだからさー。
糸井 3倍っていうより、300倍、ぐらい。
清水 あ、わたしの友達も、
最近離婚したんですけど。

たとえばふたりで、
テレビを買ったとするじゃない? 
いざ離婚となると、ほんとは
「テレビなんていらないわよ」っていう
気持ちなんだけど、考えれば考えるほど
ひとつでも相手にものを取られるのが
すごく悔しくなるんですって。
だから、まず
「これをどうしようか」っていうところから、
すっごいエネルギー使うらしい。
糸井 ハハハ。そんなとこに使うのは、
なんてことないエネルギーですよ。
清水 エッ、そうなんだ。
糸井 ものに使うエネルギーなんてね、
全部あきらめればいいだけだから、
簡単なんですよ。
清水 (笑)何も、そんなに胸を張って言わなくても。
糸井 結婚は、たやすいことなんです。
すればいいんだからね。
離婚はちがう。
それはもう、世界全体対
自分の闘いっていうぐらいの、
たいへんなもんです。
清水 落ち込むの? 
やっぱり。
糸井 うん。
「離婚は30歳までだな、
 30すぎると体力失うから、難しいぞ」
って、ふたりの人から
同じアドバイスを受けたことがある。
清水 へぇぇ。
じゃあ、しょっちゅう
離婚と再婚をくり返してる人って、
そうとう強い、タフな人ってことなんじゃない?
糸井 あれはつまり「結婚」してないんですね。
清水 あ、儀式だけで。
糸井 うん。
リリー なんかロマンチックな未来が
ないみたいだなぁ、結婚には。
糸井 リリーさんみたいなセンチメンタルな男が
結婚なんかしたら、どうなるんだろうなぁ。

きっと恋愛をしても、「これが完成形だ」と
自分で思えるようなかたちになんないと、
結婚までいかないんじゃないですか。
リリー うーん。
糸井 そうしたらもう、
離婚はすごいことになりますよ。
鋼鉄のロープを断ち切るような苦しさになる。
リリー でも今日はね、お客さまの中には
独身の方々も
たくさんお見えになっていて。
糸井 いますね、たぶん。
リリー (笑)・・・というより、見た感じ、
ほとんど独身なんじゃないですか。
糸井 ここにいるのは独身だからだよねぇ。
オールナイトだもの。
清水 主婦は、いる?
(客席で手が挙がる)
・・・お、いるんだ、すごい!
リリー 今日は3連休の頭の日ですよね。
糸井 そうですね。
リリー ぼくは、だめなんですよ、
こういう女性たちが。
清水 どういう意味で?
リリー 金曜日の夕方とかにね、
スーパーのできあいのおかずを
ひとりで買ってる女の子とか、
こういうオールナイトのイベントに
ひとりで来ている人を見ると、
もう、胸が苦しくなってくる(笑)。
清水 おかしいよ(笑)。
リリー ・・・抱きしめたいって思う。
愛おしいっていうか、
「俺がいなきゃ」って、勝手に思う(笑)。
糸井 アハハハ。それはわかる。
リリー わかりますよね?
糸井 ハグしたくなるんだよなぁ。
ポンポンって、背中たたいて。
清水 ハグをねぇ・・・。
あ、最近、ハグでもないけど、
電車で男女で入り乱れてる人、多いですよね。
リリー あ、俺、ここに来る途中で
すごい酔っ払い見ましたよ。
男女のカップルなんだけど、
男のほうがドーンとひっくり返ってるんですよ。
そして、女がずっと、男の股間を握ってる。
清水 電車の中で?
リリー うん。
「何してるのかなあ」って、
よく見たら、男が股間から
モノを出そうとしているのを
彼女がずっとおさえてるの(笑)。
清水 ハハハハ。
糸井 彼女は、とめてたんだ。
清水 どんなシチュエーションなんだろう?
男性が欲情してるってこと?
リリー 男はね、なんかもう、
幻を見ちゃってるかんじ。
清水 ハハハ。
無意識の行為なのかしら?
糸井 尿意、ですかね。
リリー そうですね、
「大地を味わっている」かんじがしました。
いずれにしろ、
あれは性的な行為ではなかったですね。
彼女からすると、男がしてる行為が
かなり性的なにおいを放つものだから
恥ずかしくて、隠しちゃう。
糸井 「わたしにはわかっても、
 人はいやらしいと受けとるにちがいないわ」。
リリー やらしときゃいいのに(笑)。
糸井 でも、股間に手をあてるのは、
勇気がいるよね。
リリー 彼女がそういう行為をした時点で、
ふたりの関係は、きっと
「同僚」じゃないですよね。
糸井 関係が浅いと、
股間に新聞紙のせるくらいだよね(笑)。
「この新聞紙かぶせとけ」って。
清水 よく見つけましたよね、そんなの。
・・・あ。後ろのほうで
「もうひっこめ」ってかんじのサインを
スタッフのかたが送ってるんですよ。
さっきからずっと(笑)。
・・・もう相当、時間が経ってますよ。
糸井 ええと、
じゃあ、夜も更けてまいりましたので
ひっこみましょう。
リリーさん、なにか言い残したことは?
リリー いや、みなさん、
これから『ニュー・シネマ・パラダイス』
見るんだなぁ、と思って。
清水 (笑)ほんとにねぇ・・・。
どうぞ、いい1日になりますように。
(おわり)

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