Drama
一夜かぎりのくだらなさ。
清水ミチコ/リリー・フランキー/darlingの夜。

第3回 たこ八郎のサイン

糸井 もうひとつ意味のない話、しようかな。
清水 はいよっ。こうなりゃ、なんでも。
糸井 この前、巣鴨で、
焼肉屋さんに入ったんですよ。
店にサインが並べてあって、
そのなかに「たこ八郎」ってのがあった。
清水 生前の、たこさんの。
糸井 そう。
「ああ、たこ八郎が
 サインしたんだなぁ」って。
「たいしたことないな」って思ったんだ。
清水 そんな(笑)。
糸井 なんだか、とってもだめな字で
「たこ八郎」って
でかく書いてあるんですよ。
「このたいしたことのなさは
 いったい何だろう?」
って、すごく心にひっかかったの。

で、お店の人に
「たこさんがよくいらっしゃったんですか?」
って聞いたんですよ。
清水 そしたら?
糸井 「アッ、あれは、ですね、
 ちがうんですよ、
 赤塚先生が書いたんですよ」
リリー ハハハハ!
清水 ハハハハ!
糸井 それ、二重に情けなくない?
清水 アッハハハハハ。
糸井 赤塚不二夫が、「たこ八郎」って
どういうことよ(笑)。
リリー まあ、しかたがない、
両方酔っ払いですから。
清水 そうだね。
泥酔型だからね。
糸井 (笑)人のサインを書くなよ!っていう。

・・・戻して下さい、清水さん、
このトークショーの流れを、なんとか。
清水 話をもとに、ってこと?
糸井 うん。
清水さんなら大丈夫。
タレントとして、
あとは子どもの心さえつかめたら。
清水 (笑)なによそれ。

えっと、糸井さん、リリーさん、
今日いらしたお客さまは、
みなさん、どういうものを
求めていらっしゃると思いますか?
糸井 ・・・・・・。
リリー ・・・・・・。
清水 ・・・わたし、さっきから
なにげなく察してるんだけど、
何となく、このままでいいんじゃないか
っていう気が(笑)。
糸井 ま、ぼくたちにいま
いちばん求められているものは
きっと「眠気ざまし」ですよね。
(※註:このトークショーは、
    午前2時頃に行われました)
清水 あ、なるほど。
糸井 ここで笑っておけば、
あと3時間くらいも持つかなっていう感じ。
(※註:徹夜イベントで、トークショーの後に
    映画を見るという流れでした)
リリー これからみなさん
『ニュー・シネマ・パラダイス』
見るんですもんね。
・・・たこ八郎の話なんて、
ほんとは聞きたくないんだよ(笑)。
糸井 そうだよ、この寸前には
『蝶の舌』見てたんだぜ(笑)。
すごいいい映画なのに。
清水 そうだねぇ。
リリー このトークがなければ、
すごくきれいな1日として
終われそうじゃないですか。
清水 ほんとは透き通った、
さわやかな1日のはずだったんだ。
リリー うーん・・・。
俺、正面見づらいのは、
みなさんに求められてない気が
すごいするからなんですよ。
清水 そうだ、みなさん、
もし途中で飽きたら、
わたしたちが傷つかないようなかたちで
マキを入れてくださいね。

おふたりとも、9月に
シアトルに行っておられたんですよね。
あの事件があって
日本に帰って来れなくなったんでしょ?

みんなが「ドッキリ、オオ!」って
思うような話はないですか。
糸井 ないです。
リリー まったくの偶然なんですよ。
糸井さんとぼくは
別の用事でシアトルに行ってて。
清水 アレ、なに?
シアトルって
そんなにはやってるの?
っていうか、そんなにしょっちゅう
日本人が行き来するようなところなの?
糸井 ・・・まあ、3日にいっぺんは
シアトルに行きますね。
清水 (笑)プッハハ。
思いっきりいつも
日本じゃないですか、糸井さん。
糸井 (笑)たぶん、リリーさんは
野球のためにですよね。
リリー ぼくは野球を見に。
清水 あ! 
ははぁ。わかったぞ。
わたし、野球オンチなもんで、
よく知らないんだけど、
あそこで活躍してるんだ?みんな。
糸井 (笑)「みんな」って。
リリー あの、イチローって、知ってます?
清水 ああ、はい、
すごく、すごい、ねぇ?
糸井 (笑)
リリー (笑)はい、はい。
清水 世界でいちばんすごく、ね?
リリー (笑)ハハハ。
まあ、そうですよ、いまは。
清水 打つほうで(投げるジェスチャー)。
糸井 ・・・打つほうで(笑)。

2002-01-23-WED
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