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岡田斗司夫さんの仕事論『プチクリ』を軸に、
ふたりが話をしました。
「元祖オタク」「オタクの王様」と呼ばれる
岡田斗司夫さんの歩いてきた道と
糸井重里のここまでの道は、
似ているようで、違います。
タイプは違っていても、ふたりとも
「幸せを歌いたい」と思っている歌手のようだ、
というところが、なんだか同じです。
では、歌い手の登場です。
岡田斗司夫さん、糸井重里さん、
2曲つづけて‥‥いや、2曲こんがらがって、どうぞ。
岡田斗司夫(おかだ・としお)さんプロフィール
最新の記事 2006/03/23
 
第10回 プチクリのすごい国をつくるぞ。
糸井 岡田さんの『プチクリ』の次の展開としては、
できることなら、
「負け方」というのも知りたいですね。
バンドをやっている奴は無数にいるけど、
バンドやってうまくいかないけど気分がいい、
というコースがあることを
ちゃんと書いてあったら、
正直だな、読みたいな、と思う。

「モデル」と呼ばれる職業の人でも、
チラシのモデル、
ファッションショーのモデル、
いっぱいいます。
チラシのモデルになった人のなかでも
「私はチラシだなあ」と、悲しく思う人と
そうじゃない人がいると思うんだよ。

でもね、ショーに出るモデルがいいんだ、
ということが、これからは
変わっていくかもしれないんです。
これからは「すごいチラシ」をつくる
可能性のほうが
「ある」ことになっていくんだと思います。
最近、いろんなメディアの特性が変わってきたと
よく言われますが、
世の中変わるって、
そういうことだと思うんです。
テレビのコマーシャルをやるのと、
ほんとに効くチラシを作るのとでは、
チラシを作るクリエイティブのほうが
ほんとうはおもしろいんですよ。
岡田 うん、そうですね。
糸井 その背景が変わっていくなかでのプチクリは、
勇気が出ますね、きっと。
「負けるだの勝つだの考えるよりは、
 俺が切り開く!」
という気分になります。
プロが恐がって加減しているようなことを、
アマチュアは加減しないですもん。
そういうことが切り開いてきたことって、
これまでに、いっぱいありますから。

『プチクリ』の
「プロは、みんなダメだと言いたがる」
というところ、あそこなんか、
ぼくもそう思います。
ほんと、ひどいですよ。
プロは「どれだけプロが大変か」
という話をしたがりすぎる。
岡田 行ききった人は
「絶対に運だ」とか「楽しいよ」
とか言うんですけれども、
プロになっている人で後悔したくない人は、
必ずキツイことを言うんですよ。
「だって好きなんだもん」とか、
言ってくれないんですよ。
糸井 言っちゃえばいいのにね。
きっと「好きなんだもん」と言うと
「好きなんだったらできるはず」
ということになって、
「好き」を担保にとられちゃうからでしょうね。
それは気分がよくないんだろうね。
岡田 ぼくは、やっぱり、
この『プチクリ』には
なんだかんだ言って、
自信があるんですよ。
糸井 この考えが「つくったもの」がすごくなったら、
ニュースになりますね。
岡田 いま、同人誌の制作をしていて。
糸井 あ! それはおもしろい!
つまり、『プチクリ』の憲法をもとにして
国ができるってことでしょ?
その同人誌がすごかったなら、
それは、いいニュースになりますよ。
岡田 よっしゃよっしゃ。
糸井 しかし、はじめてですよ、
こんなにオタクの人としゃべったのは。
元祖オタクの岡田さんが、
こんなに話をしてくださって‥‥。
岡田 いやいや、ありがとうございました。
糸井 おもしろいなあ。
こういう人がいるのが、
ほんとうにおもしろい。
長い時間、話してくださって
ありがとうございました。
今日で、岡田斗司夫さんと
糸井重里との対談はおしまいです。
ご感想や岡田さんへのメッセージなどをどうぞ
postman@1101.comまで
お送りくださいね。



『プチクリ』

岡田斗司夫さんの、あたらしいクリエイティブ論。
プチクリとは、プチ・クリエイターのこと。
「才能がないから通用しない」
「地道な訓練ばかりアドバイスされる」
「プロをめざさないとダメ」
そんな思い込みが、
たくさんの人を苦しめてきました。
けれども、逆に、「思えば自分もプチクリだ」
というプロの人も多いものなんです。
クリエイティブは「好き」という
気持ちからはじまることを、
わかりやすく教えてくれる一冊です。


「プチクリ風雲録」第一号

岡田斗司夫さんがプチクリを売る奮闘ぶりが
掲載されたミニコミ誌。
「岡田斗司夫mixiプチクリ日記」のほか、
スペシャルインタビューとして内田春菊さんが登場!
そのほか「マンガでわかるプチクリ!」など、
プチクリを楽しめる記事が盛りだくさんです。

A548ページ 領布価格 500円
同人誌即売会のほか、吉祥寺笑門でも発売中。
青山ブックセンター六本木店で手に入れることができます。
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