はじめてカメラを買ったんです。その9 わからなくっても大丈夫。

講師

菅原 「小川さんの写真のつづきですね。
 ちゃんとカメラをもつのがはじめて、
 というだけで、ぼくはうらやましいですよ」

司会

「いえ、もう、
 なんでもダメだししてください!」
「そんなダメじゃないよー?」
「そうよ、そうよ」
司会
シェフ 「前回の更新から時間があいちゃってすみません。
 小川さんのつづきですね。
 まいりましょう!」
これなんて、もう、
もうしわけなくって。
ひどいピンボケです。

あやちゃんだ。
菅原 これは何でだめなの?
面白いじゃないですか。
シェフ うん、おもしろいです。
あやさんを撮ろうとしたら
あやさんのほうから
ずんずん近づいてきて。
シェフ 「撮りなさい〜!」って?
こわっ!(笑)
でも、そういうあやさんが
出ている写真だという気がしますよ。
シェフ うん、面白い。
ほんとに?
ピントあってないですよ?

菅原 でも、これ、
ピント合ってたらちょっと怖いでしょ。
あー!
シェフ そうだ、そうだ。
じゃあ合ってなくていいんだ。
合ってなくていいんですか。
菅原 ピンボケ写真が悪い、
ということは、ないと思うんですよ。
「偶然を狙う」のと一緒で、
狙って撮るピンボケ写真はよくないし、
僕は嫌いだから、自分でやらないですけど、
「なっちゃった」っていうのは
いいんじゃないかなと思ってるんです。
自然に森山大道さんの写真に
なっちゃったみたいな。
シェフ 森山大道さんというのは、
とても有名な写真家ですね。
菅原 あのかたの写真、すごいじゃないですか。
でもそれをわざと狙うとかっこ悪いけど、
なっちゃったのはいいと思うんだ。
シェフ それに、いつも半目で写るあやちゃんが
目を見開いている写真が撮れたのは
すごい! って思うことにしよう。
(笑)。
シェフ もう一枚、ピンボケがありますね。
ハイ、これです。

ちゃんと写したい人にピントが合わなくて
奥のほうに合っちゃいました。
名前が入ったクッキーをくれたので、
その名前の本人とクッキーを
一緒に撮ってあげたかったんですけど。
菅原 そうですね、この場合はピントが合わないと
なにを写したかったのかわかりにくくなりますね。
今度は、ゆっくり、慌てないで、
ちゃんとピントを合わせて撮れば、
それで解決しちゃうことだと思います。
これね、画面の中央にいるひとの
スカートあたりにピントが合っちゃってます。
デジタルカメラのクセでもあるんですけど、
オートフォーカスが白に強く反応するんですよ。
明るいところ、明るいところに引っ張られがちなの。
だから確認しながら撮る、
ということでしょうね。
とってもいいカメラを持っているので
ぜひ、ね。
わかりました!
シェフ じゃあ「よく撮れた」ほうを
見せてもらいましょう。
ドキドキ‥‥これ、
わたし、とても好きで。

わたしもこの写真、
すごく好きです!
銭っ子に向かってウヒウヒ笑ってる私(笑)。
GRを買うための貯金箱をあけたときですね。
「意外と、貯まってた!
 ムフフフフ〜!」みたいじゃないですか。
すっごく好きです。
ありがとう!
でもちょっとブレてる。
菅原 いいの、いいの(笑)。
気にしすぎないで。
冨田さんの嬉しさが
ほんとによく出ているし、
「何が撮りたかったか」が
はっきりわかりますよ。
そして、冨田さんのストーリーが
見えてくるのも、
写真のいいところだよね。
もう一枚、この時、撮りました。
「貯金で、カミら卒業!」っていう。

菅原 ある意味、記念写真ですね。
僕、記念写真ってステキだと思うんです。
わかります!
シェフ 「ハイ、チーズ!」って
あつまって撮った写真って
そのときは「なんだかなぁ」って
思ったりもするんだけど、
あとから見ると、
しみじみ、撮っておいてよかったなぁって
思ったりしますよね。
菅原 いい記念写真って、ちゃんとピントが
ぴっと、みんなに合うと、力あるよね。
カメラをやっててよかったなって、
いつも、一番思うところっていうのは、
実はそういうとこだったりするんです。
たとえば実家に帰って、
お袋とか親父とか、
たまには写真でも撮ってやるかって、
記念写真を撮ったときに
いい感じの写真が撮れたりすると、
喜んでもらえるじゃないですか。
そんなときに、写真やっててよかったなって
思うんです。
何人か、人がいるとき、
ピントはどこに向けて
合わせたらいいんですか?
菅原 「この人」と決めると、らくですよ。
たとえば、母親を中心にしよう、と決めて、
そこにピントを会わせるといい。

シェフ 主役を決める感じですね。
わたし、自分の意図していないところで
褒めていただいた気がするんです。
人を撮ってそれがいいって言われて
びっくりしました。
やはりそういうところを意識して
のばしていったほうがいいんでしょうか。
菅原 いや、気にしなくていいですよ。
わかんないままで、いいんです。
わかろうとすると、
いやらしい写真になることもある。
「わたしはこのあたりらしい」くらいの意識で
いいと思いますよ。
シェフ おがわさんは、まじめだなあ。
そんな(笑)。ありがとうございました!
(つづきます!)
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2008-08-12-TUE