もくじ
第1回釣られて3ヶ月。餌をもらえなくなったことにただ嘆く魚 2017-05-16-Tue
第2回29歳にして「愛されるより愛したい」へシフトチェンジ 2017-05-16-Tue
第3回バレンタインから始まった、自分を変える修行の日々 2017-05-16-Tue
第4回たかが恋愛でカウンセリング。されど大きな改善 2017-05-16-Tue
第5回勇気を出して「好きだよ」と伝えてみたら‥‥ 2017-05-16-Tue
第6回「愛されるより愛したい」は本当だった 2017-05-16-Tue

ライター、編集、コピーライターとして人の言葉を代弁してきた30代。そろそろ自分の言葉を持ちたいと思い始めました。

自分を変えると相手も変わる。彼と私の4年間。

自分を変えると相手も変わる。彼と私の4年間。

担当・のりこ

第3回 バレンタインから始まった、自分を変える修行の日々

「自分から愛する」を始めるために
愛するとはなんだ?と調べてみると、だいたいは
「見返りを求めず、相手の幸せを願い、心を尽くすこと」のようだ。

なにそれ? 今日、今、私は何をすればいいの?
もっと具体的なアクションを、事例を教えて!
‥‥と調べたけれど、インターネットはこれ以上の答えをくれなかった。
そこから先は、自分で考えろということらしい。
わかりやすい「愛する」の答えを探しつつ、
私はまず、「あなたのことを大事に思っている」を
今まで以上に形にしようと思った。

バレンタインデーが近かった。
手作りチョコレートだけじゃなくて、もっと特別なことをしたかった。
とはいっても、彼は露骨なプレゼントは嫌がる。

そこで私は、値段が高くなく、
かつ彼が喜んでくれそうな複数のプレゼントを
オリジナルのラッピングに包むことにした。
負担にならない手頃なプレゼントがいろいろもらえる嬉しさと、
統一したオリジナルのラッピングで特別感を出したかった。

東京・渋谷にラッピングの専門店があり、
プレゼントを持ち込むとオーダーメイドでラッピングをしてくれるのだ。
結果、プレゼントよりもラッピング代のほうが高くついた。

大した金額じゃないのに、今まで男性に
あげたプレゼントの中で一番特別で思い出深いものになった。
彼はすごく喜んでくれたけど、
もちろんラッピングに気づいてくれることはなかったし、
無造作に我が家に置いて行かれた包装紙やリボンは
私の胸をチクリと痛めた。
でも、それでもよかった。
「見返りを求めず、喜んでもらうために動く」の記念すべき第一歩。
自己満足かもしれない。でも妙に充実した気持ちだったのを覚えている。

とはいえこの一度きりで状況が好転するわけもなく、
苦しい日々は続いた。
彼は相変わらず、「(私という存在が)いなくてもいい」とか
「(衝突すると)じゃあ別れよう」とか、冗談ながら平気で口にする。
私はそのたびにメソメソし、さらに傷つくことを恐れ、我慢する。
この人にとって私は大事な存在ではないのだ、と思い込み、
自分の誕生日に「一緒にいたい」と言うことすら
たいへんな勇気が必要だった。

彼のことを考えないように、いろいろな友人と過ごした。
彼のことを相談すると、皆が口をそろえて「別れなよ」と言った。
なぜ別れなかったのか、今でもよくわからない。
それほどに好きだったのか、それとも逃げ出したくなかったのか。
きっと、その両方なのだろう。

バレンタインというとっかかりを得て、ここからは修行だった。
「自分から愛する」の答え探しで、
エーリッヒ・フロムの『愛するということ』という本を読んでみた。
知り合いに「こんな本を読んでるんですよ」と言ったら
「それならアドラー心理学もいいかもね」と言われたので、
当時話題沸騰中だった『嫌われる勇気』も読んでみた。
(我が家に置かれたフロムの本を見た彼は「気持ちわるっ」と一蹴した。
タイトルだけで判断したのだろう。ひどいやつだ)

どちらの本も、私の悩みについての指南はなかったが、
人間関係や愛情の持ち方について、考え方を整えてくれるような
ヒントがたくさんつまった本だった。

この頃、ある変化に気づいた。
彼との関係をどうにか変えたい!と始めたことだったが、次第に
「自分を変える(ことがいずれ彼との関係を変えてくれるだろう)」
という目的に変わってきたのだ。

彼は相変わらずひどいけど、
それを「ひどい」とメソメソするしか自分には能がないのか?
「してくれない」と嘆くほど、自分は彼に何かを「している」のか?
もっと彼を愛して、幸せにできる、大きな自分になるんだ!

‥‥と思ってはいるものの、
どうしても「してくれない」「傷つけられた」とメソメソしてしまう。
どうしても見返りを求めてしまう。
でも、こう思う回数を減らしたい。
この沈んだ気持ちに支配されない、強い自分になりたい。
という段階で毎日ふんばっていた。

「意志があれば自分を変えられる」
よく耳にする先人の言葉にすがる思いで、
きっと大丈夫、私は私を変えられる、と自分を励まし続けていた。

でも、それだけでは足りなかった。
自分の力だけで自分を変えられるほど
やっぱり私は強くなかったのだ。

(次回、4回目では、頼れる強い味方が現れます)

第4回 たかが恋愛でカウンセリング。されど大きな改善