糸井重里
・あらためて言うのも変だけれど、
いいニュースなんてちっとも見ない。
スポーツがらみでちょっとはあるかな、ちょっとある。
しかし、ずっと毎日、悪いことばかりが伝えられている。
国内国外、過去も現在も未来も、ご承知の通りである。
それでも、よくない話、暗い事実について、
もっと知らないといけないのではないかと思い、
あらゆるよくないニュースについて勉強もすることになる。
じぶんではどうしようもないことも山ほどあるし、
ちょっとはじぶんもなにかの足しになりそうなこともある。
だが、どうしょうもないことのほうが圧倒的に多い。
どうしょうもないなりに考えを持っていようとしたら、
それについて考えている時間も労力も多くなる。
生真面目によくないニュースに付き合っていると、
人生の大半を、よくないニュースについて
考え続け憂いている人になってしまいそうだ。
生まれてこの方、ずうっと憂いてきて、
すべてを憂いながら一生を終わる人だっているだろう。
実際、そういう生活をしている人もいるような気がする。
「まさか、あんたが?」と笑われそうだけど、
ちょっとまちがえば、ぼくだってそういう人になりそうだ。
ほんとだってば、濃いの薄いのあるけど、みんな危ういよ。
どうして、こんな悪いことばかりの世の中にいて、
それなりに今日や明日を生きていられるのだろうか。
とも思うのだが、たぶんそれは、どれだけ世界中が
よくないニュースにどっぷり浸かっていても、
ほっとする出来事だとか、よろこばしい人間の善意だとか、
かわいい人や生きものだとか、なにか美しいことだとかが、
ちょっとずつ「飛び石」のようにはあるからではないかな。
暗いニュースの水面からちょっと顔を見せている石を、
ぴょんぴょん飛んでいる時間が、ぼくらには残っている。
そして、もしかしたらその飛び石、総面積は少なくても、
しぶとく次々に生まれ続けているのではないか、と、
そんなことを思っているのかもしれない。
「人の善意などどこにもない」と、
本気でみんなが信じるようになったら、
ほんとに「人の善意」には居場所がなくなるのだろう。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
きっと大昔から、よくないニュースがほとんどなんだろうな。
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