Hobo Nikkan Itoi Shinbun.

ほぼ日ブックスフェア2017 3冊買うと、酒井駒子さんのマグカップとコースターがついてきます。

うれしいセーター
P148-149
山下

「わー! ごめんなさい平さん、小さかった!」

12人のすばらしい方々からオーダーをうかがい、
それをもとに三國万里子さんがセーターを編むという
『うれしいセーター』プロジェクト。
これを進めるなかで、上のようなことばを、
三國さんが発したことがあったのでした。
ファッションデザイナー・平武朗さんのために編んだ
カウチンセーターが、
実際に着てもらったら小さかったのです。
現場は凍りました。ど、どうしよう‥‥。
三國さんはさすがでした。
それ以上あわてることもなく「編み直します」とひと言。
あのときの決断の速さ。かっこよかった。
そして実際に編み直す速度も、驚きのスピードで。
ご覧のように、
平さんにぴったりサイズのカウチンができあがりました。

そういういきさつで、平さんのページには、
2点のカウチンセーターが掲載されています。
小さいほうの着用モデルは‥‥そう、三國万里子さんです。
いわゆる「手芸本」というジャンルの書籍で、
作家である著者がこういうかたちで登場するケースは
かなり稀なことだと思います。
「ここは三國さんがモデルになりませんか?」
というぼくらの最初の提案に、
戸惑い、「それはないと思います」
と反応した三國さんの表情をよく覚えています。
でも、最終的にはこのカットに。
しつこく三國さんを説得した記憶はありません。
ごく自然に三國さんが受け入れてくれた、
というのがぼくら編集サイドの印象です。
三國さんはがまんして
モデルをつとめてくださったのかもしれませんが、
でもやっぱり、「小さく編めたカウチン」を着て
この本に載る資格をもつ人は三國さん以外にはいない。
と、それは今でも思っています。

制作中には様々なことが起きました。
その都度、よりよい方法を考えてきた
「うれしいセーター」チームの2年の道のりを、
象徴的に表わしている見開きを選ばせていただきました。

あと、家で黙々と編み続けている
自称・編みものどうぶつの三國さんが、
こんなに表に出てきてくれたうれしさもあります。
その意味でも、この見開きが大好きです。
(ちなみに小林薫さんのページにも三國さんが登場。
たまたま撮れたツーショットが
あまりに自然にすてきだったのです)

最後に、もうひとつ。
この本には三國さんのエッセイが8編、掲載されています。
読んでほしいと、心から思います。
編み続けるニットデザイナーが綴る文章は、
その作品と同様に、受け取る人の心に響いてきますから。

オトナ語の謎。
P146-147
ひらの

大学4年生で就職活動をしていた頃、
さらに正確な時期を言うと、
まわりの友達が就職活動を終えて
自分だけ進路が決まっていなかった、あの夏。
僕が手に取った本が「オトナ語の謎。」でした。
アグリー、本チャン、バンバンザイ‥‥、
いろいろと思い出す単語はありますが、
見開きで記憶しているのが「料理シリーズ」です。

素材 → 料理する → 煮詰める →
煮詰まる → 寝かせておく → 焦げつく

ことばだけを聞いても、
ごくごく普通の料理のことだけれど、
「オトナ語」として聞くと
いっきに仕事で聞くことばになる。
なにかに例えると説得力が増すからなのかな、
料理でも、野球でも、マラソンでも、
なーんでも仕事になっちゃいます。
(人生にたとえることもありますね)

オトナ語と縁のない大学生だった僕も、
うっかりオトナになってしまいました。
この春に社会に出る学生のかたがいたら、
ぜひぜひ読んでみてください。
この本に書かれていることばや人物に、
いつか社会で出会うかもしれませんよ。

みんなのおやつ
P106-107
読者メール

わたしもあんこが大好きなのですが、
びっくりするほどあんこのことばかり
書いてあって、
ページの色まであずき色で、
あんこが大好きな人たちが作ったんだろうなあと
笑ってしまうくらい、愛が伝わってきました。
あんこってこんなに奥深い食べ物なんだと
ますますあんこが好きになりました。