HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN いまの時代のナポレオン。厚切りジェイソン(ジェイソン・ダニエルソン) × 糸井重里
6 ずっとこのままではないかも。
糸井:
いま「厚切りジェイソン」という
芸人さんとしてメディアに出てて、
さらにこれから先、それがものすごく
うまくいったとしますよね。
ジェイソン:
ええ。
糸井:
でも、あなたの本当にやりたい夢からしたら、
そのかたちですごく高い所へ行くのは
むずかしいんじゃない?
ジェイソン:
いや‥‥どうですかね。
たとえば、いまはまだ小さな一歩ですけど、
芸人としてメディアに出ることを足がかりに、
日本の教育とかを全部変えたら。
糸井:
なるほど、そこを足がかりにしてね。
ジェイソン:
まだ、ぜんぜんはじまりですけど、
日本の子どもたちが
自分の意見を言えるようになったり、
英語で自由にコミュニケーションを
とれるようにする貢献が、すこしでもできたら。
そんなふうにぼくの行動が、
日本の人々が今後よりグローバルに活躍する
きっかけのひとつになれば。
それは実は、大きいことにつながる
けっこう偉大な任務であると思っています。
糸井:
でも、芸人といういまの立場からだと、
むずかしい気もする。
もうひとつ、何か別のアイデアがいるような。
ジェイソン:
そうですね。
それ、よく考えますけど。
まだ考え中ですけど。
糸井:
そっか。あるんだね、頭に。
ジェイソン:
そうですね。
たぶん、ずっとネタをやっている芸人では
ないと思います。
糸井:
なるほどね。
ジェイソン:
いまはすごく楽しいから、いただいたいろんな機会を
全部やろうとしています。
でも、たぶん将来的には、うちの事務所の先輩の
林修先生みたいな軌道になっていく。
もうすこし真面目な、コメンテーター寄りの方向に。
そしたら教育の話もできるし。
糸井:
興味があるのは、教育なんだ。
ジェイソン:
そうですね。
ぼくは娘が2人いるんですけど、
彼女たちが日本で育って自分の意見を
ちゃんと言えるようになるか、本当に心配なんですよ。
糸井:
娘さんはいま、何歳ですか?
ジェイソン:
4歳と1歳です。
だけど幼稚園でも、すでに思うんです。
たとえば先日娘が家で紙飛行機を作ってました。
それを見て「どんな飛行機を作るの?」と聞いたら、
こう言ったんです。
「先生が言うように作る」って。
その答えにびっくりして、
「えっ、自分で考えて試さないの?」と聞いたら
「好きにやったら怒られるから、言われた通りやる」と。
それを聞いて、ショックで。
4歳の子を考えさせないで、
「周りとまったく同じことをやりましょう」
というのは、どうなんだろうって。
それでみんなが結局
いちばんできない子の速度に合わせるので
いいんだろうか、と思うんです。
糸井:
それは、自分はやっぱり違ったんだね。
そうじゃないことができてたんだね。
ジェイソン:
まぁそうですね。
アメリカだと上級・中級・下級と、
学ぶレベルが選べるんです。
その中でぼくは飛び級とかもして、
周りと合わせる必要はなかったので。
糸井:
では、いま特に興味があるのは教育で、
しかも、これからの日本の教育に興味がある。
ジェイソン:
はい、いまはそんな感じですね。
しかも、こういう話をいろんな場所で言ってるから、
すでに機会をいただきはじめているんです。
たとえば今週は、NHKで、
日本のいまの教育が経済にどう影響しているかを
話す番組に参加します。
そういうことから、出会いも増えてて。
糸井:
なるほど。
機会自体もだんだん増えてるし、
やっていくことによって、
その分野でのノウハウも積み重なるから。
ジェイソン:
そうなんです。
また、やりながら軌道も修正していきますし。
だからいま、芸人になって、
あるていど注目を集められたことは、
とてもありがたいことだと思ってます。
今日もそうですけど、なかなか会えない人に
会わせてもらえたりもする。
こんなふうにいただいた機会を、
次はどう生かせるかという段階だと思ってます。
糸井:
たしかに芸人さんとして知られるというのは
とてもスピードがありますね。
思えば、芸人さんという選択はよかったですね。
ジェイソン:
そうなんです。
糸井:
あと、芸人さんとしても、
知られるのがとても早かったですよね。
ジェイソン:
早かったです。
1年くらいしか経ってないのに、
うれしい出会いにたくさん恵まれて。
糸井:
その流れで、教育という分野で
どこかと組むことだって、あるかもしれないですし。
ジェイソン:
あると思いますね。
ぜひ、組みましょう。
糸井:
これはまだアイデア段階ですけど、
ぼくもいつか、学校的なことができないかと
考えているんです。
それは大人のための学校ですけど、
「人がなぜ喜ぶか」とか
「本当はどんなサービスがうれしいのか」について
いろんなジャンルの先生に来てもらって、
教われる場所を作れたらいいな、と思ってて。
ジェイソン:
よさそうですね。
糸井:
実現したら、ぜひ先生で来てください。
ジェイソン:
はい、ぜひぜひ。
これも日本の不思議なところですけど、
日本だと、大学に行くのも
一浪、二浪くらいが限界なんですよね。
いちど働いてから、大学行くケースもなかなかなくて。
アメリカだとたとえば
「10年働いたあとで大学に行きたい」と思っても、
ぜんぜんウェルカムなんですけど。
糸井:
そこは日本、もったいないですね。
仕事を1、2年休んだら、
「もう戻れないんじゃないか」みたいなムードがある。
ずーっとひとすじで行くしか道がないみたいな。
ジェイソン:
そうなんですよ、ふしぎですよね。
糸井:
それ、おかしいですよね。
ジェイソン:
そうそう。
‥‥それ、「Why!?」
糸井:
(真似をして大声で)
それ「Why!?」
ジェイソン:
そう「Why!?」
糸井:
「Why!?」(笑)
ジェイソン:
‥‥ありがとうございます(笑)。
一同:
(笑)
<つづきます>
2016-03-08-TUE