HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN

WILD MOTHER PARTY

うれしいご縁がふたつ、
『MOTHER』でつながりました! 
新日本プロレスの大スターで、
現IWGPヘビー級王者のケニー・オメガさん。
ロックバンド「マキシマム ザ ホルモン」で、
バンドの全作詞作曲を担当するマキシマムザ亮君。
それぞれの世界で大暴れするおふたりから、
「『MOTHER』の大ファンです!」
という声をほとんど同時にいただき、
ならばということで、
糸井重里と『MOTHER』について、
大いに語っていただける場をご用意いたしました。
せっかくなので、ほぼ日まわりにいる
それぞれのファンにもお声がけをして、
ちゃっかり記念Tシャツまでつくって、
みんなでこの出会いをおもしろがってみました。
泣く子もだまる120分1本勝負! 
いや、エンディングまで、泣くんじゃない!

第2回 わかりにくい気持ち悪さ。

永田:
糸井さんはよく
「あのゲームをつくったおかげで、
出会えた人がたくさんいる」
ということをおっしゃっています。
他のゲームじゃなく、
『MOTHER』というゲームだからこそ、
いまのこういう場もあるように思うんです。
糸井:
はい。
永田:
みなさんは他のゲームも
たくさんやってらっしゃると思いますが、
『MOTHER』というゲームは、
なにがそんなにも独特で、
どういうところが人を惹きつけるのか、
そのあたりを伺ってもいいでしょうか。
糸井:
じゃあ、ぼくからしゃべろうかな。
それはたぶん、
ちょっとした「気持ち悪さ」だと思う。
永田:
気持ち悪さ。
糸井:
他のゲームが演出する気持ち悪さは、
「こういうの怖いでしょ?」って、
わかるようにやるんです。
でも、ぼくが『MOTHER』で
表現する気持ち悪さは、
わからないように入っています。

例えば、フリーマーケットみたいなところで、
番人のいないストアがあって、
そこでは好きに泥棒ができます。
見つかっても強制的に
捕まったりはしないんだけど、
あとでみんなに
「お前が盗んだことを知ってるよ」
みたいに言われるところがある。
『MOTHER』には、
そういう気持ち悪さがあります。
※参考:ポケットに『MOTHER』。

あるいは、フライングマンというのがいて‥‥。
ケニー:
はいはい、フライングマン。
糸井:
フライングマンは
「私は命をかけてあなたを守ります」って
言うんだけど、いっしょに戦ってると
ほんとに命をかけてくれるから、
だんだんと悪い気持ちになってくる。

「じぶんがフライングマンを
殺しちゃってるんじゃないか」と、
そういうふうに思いはじめるんです。

こどもなんかは
「フライングマンはタダだし、
いっぱい使っちゃえ」って言うんだけど、
そういうヤツがちょっとイヤな気持ちに
なるようなことを入れるんです。
死んだらお墓もちゃんと増えるしね。
ケニー:
私は『MOTHER』を8回クリアしたけど、
いつもできるだけフライングマンを
死なせないようにプレイしています(笑)。
糸井:
そうなってほしいと思って
つくった部分もあるんです。
こころが咎めるとか、悪い気はしないとか、
わかりにくいよろこびやら、
わかりにくい後ろめたさやら、
そういうものが「気持ち悪さ」になって、
あのゲームに入り込んでいます。
だから、なんどやっても
やり切った気がしないんだと思う。
やるたびに自分の心がうつっちゃうから。
ケニー:
ああ、たしかに。
永田:
亮君さんは『MOTHER』の
どういうところに惹かれましたか?
亮君:
やっぱ、あの無意味な会話とか(笑)。
永田:
ああ(笑)。
亮君:
ぼく、『ドラクエ』とかも好きで、
ゲームをしながらけっこうメモるんです。
どこどこの町になにがあって、
だれだれがなにを言ったとか、
忘れないようにメモを取る。

そのクセがあったから、
『MOTHER』の中の会話も
いちいちメモしてたんだけど、
結局「あ、ぜんぜん関係ないや」って。
会場:
(笑)
糸井:
でも、時々、関係あるのが混じるから困る。
亮君:
そうなんです。
糸井:
マジカントの中で
「ふゆのひにあそんだね」なんて言われるのは、
ゲームを解くのとは関係ないんだけど、
あそこで「あーーっ」てなるかどうかで、
ゲームの印象は変わってきます。

『MOTHER』というゲームは、
早くクリアすることにはあまり意味がなくて、
いっしょに遊ぶことに意味がある。
だから何回もやりたくなるんだと思う。
小説家の川上弘美さんは、
30周したって言ってましたからね。
ケニー:
ほんと、何回もやりたくなります。
他のRPGというのは、
よくわからないファンタジーの世界です。
でも『MOTHER』はそうじゃない。
なんていうか、旅の中でレベルアップすると、
じぶんもほんとに成長した気持ちになる。
だから、その、つまり‥‥。
すみません、私の日本語がヘタクソで。
糸井:
いやいや、日本語でえらいですよ。
ケニー:
すみません、ここだけ英語で話します。
(以下、通訳を入れて英語で)

『MOTHER』というゲームには、
私たちのまわりの世界で起きていること、
現実の世界のできごとが詰まっています。
じぶんの人生に通じることは、
そこから学ぶことができるし、
じぶんの人生に適用することもできます。

『MOTHER』での体験は、
じぶんのまわりで起きていることや、
じぶんの少年時代を理解するための
手助けになっていたようにも思います。
糸井:
あぁ、うれしいねぇ。
ケニー:
とくに『MOTHER2』は、
あらゆるものごとに、
いいこと、かわいいこと、
ゆかいな側面があるということを
教えてくれました。

例えば、最初のほうで、
いじめっこのフランクと戦いますが、
彼はゲームセンターの後ろに
ロボットをかくしてるような悪いやつです。
でも、最終的に彼は私を尊重してくれるし、
手助けをしてくれるようになります。

当時、私が学校に行けば、
現実の世界にもいじめっこはいました。
人生はゲームのようにシンプルではないので、
簡単にいじめっこと仲良くなったり、
やっつけたりできるわけではありません。

でも『MOTHER2』は、
すべてのものには「いい部分がある」ことを
教えてくれました。
最終的に良くはならなくても、
すくなくとも悪いことがちょっとは良くなる、
そういうことを教わったような気がします。

ただし、ポーキーはちがいます。
糸井:
ああ、ポーキーね。
ケニー:
ポーキーは完璧なヒール(悪役)です。
太っていて、みすぼらしくて、
たとえ人が彼を好きになろうが、
彼のことを笑おうが、
彼は純粋にひどいことをする人間です。
そういう意味で、彼は完璧なヒールです。

彼のことをいい人間に変えられると思っても、
彼に弱さを見出したとしても、
彼はただ単に悪い人間です。
そして、人は彼に勝つことができません。
だって、彼は逃げてしまうのですから。
彼に仕返しすることすらできないのです。

でも、私は彼のことが好きなんです。
なぜかはわからないけど、
私は彼のことが好きなんです。
それが「いい悪役」というものだと思います。
糸井:
バットマンの「ジョーカー」のようにね。
ケニー:
(日本語に戻って)
はい、そうです。
まさにジョーカーのようです。
ポーキーは悪役として、
すばらしいキャラクターだと思います。

(つづきます)

ケニーさんからのお知らせ!
2019年1月4日(金)
『WRESTLE KINGDOM
13 in 東京ドーム』
ケニー・オメガ選手と
棚橋弘至選手が激突!
新日本プロレス最大のイベント、
通称「1.4(イッテンヨン)」。
今年のイッテンヨンには、
王者・ケニー選手と挑戦者・棚橋選手との
タイトルマッチが組まれています。
この試合、お互いのプロレス観のちがいを主張する
「両者のイデオロギー闘争」とも呼ばれていて、
今後の新日本プロレスの未来を決める
大注目の一戦なんだとか。
ケニーさん、がんばってください! 
くわしくは特設サイトからどうぞ。
マキシマムザ亮君からのお知らせ!
マキシマム ザ ホルモンの最新作
『これからの麺カタコッテリの
話をしよう』、
好評発売中!
新曲CDとマンガ一冊がセットになった
マキシマム ザ ホルモンの最新作が発売中です。
すでに17万部を突破しており、
12月10日付のオリコン週間BOOKランキング
「コミック・エッセイジャンル」で1位を獲得! 
さらに総合BOOKランキングでも堂々の2位! 
収録されているマンガ
『マキシマムザ亮君の必殺!!アウトサイダー広告代理人』は、
マキシマムザ亮君が監修・脚本を手がけています。
購入特典も4つ付いて、お得感もメガテンコ盛り! 
お買い求めは、全国の書店か大型CDショップまで! 
くわしくは特設サイトからどうぞ。
ほぼ日からのお知らせ!
「WILD MOTHER PARTY」
開催記念Tシャツ、
30名様にプレゼント!
本企画の実現にあわせて
「それぞれのファンにプレゼントしたいから」
「単純にじぶんたちが欲しいから」
という理由で特別に制作した、
ケニー・オメガさん、マキシマムザ亮君、
『MOTHER』のロゴ入り記念Tシャツを、
30名様にプレゼントします! 
S、M、Lを各10枚ずつ、計30枚ご用意しました。
本編でケニーさんやセコンド陣が着ていたものと
まったく同じデザインですよ。

エントリーは1人1回まで。
応募者多数のときは、抽選とさせていただきます。

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たくさんのご応募ありがとうございました。

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