白いシャツをめぐる旅。2020 わたしのマスターピース。 白いシャツをめぐる旅。2020 わたしのマスターピース。
04 上等なシーツにくるまれているみたいに。nooy
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若山夏子さんと平山良佳さん、
ふたりの日本人女性が、
2001年にニューヨークで立ち上げたブランド
nooy(ヌーイ)。
2003年に拠点を東京に移したあとも、
「じぶんたちが、つくりたいものをつくる」
という姿勢で、ずっとふたりだけで
服づくりを続けてきました。



今回、nooyがつくったのは、
スタンドカラー、後ろあきのシャツ。
デザインのこと、布地のこと、
ふたりに話をうかがいました。
今回のシャツは、布地がおもしろいですね。



「これ、ジャガード織りで模様をつけてあるんです。
1枚の布に、いろんな柄が混ざっていて」(若山さん)
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ほんとだ! 
白一色だとわかりにくいけれど、
光の当たり方で、独特の陰影が出ますね。
これは生地から作ったんですか?
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▲ こちらが図案。
ジャガード織りにすることで、
見る角度によって浮き上がってみえます。
「そもそもは、生地屋さんのストックに、
同じようなニュアンスで、
ウール素材のものがあったんです。
それを、コットンでできないかなと相談しました。
織り糸もちょっと細くして、
シャツにできるように、いろいろやってみて。
そういう意味では、オリジナルですね」(平山さん)



「織機も、ドイツのドルニエ織機を使っています。
柔らかさの調整ができるんですよ。
うんと柔らかくしてください、と注文すると、
もうそのまま柔らかく、きれいに織れる、
そういう織機なんです。
肌触りもすごくいいんですよ。
上等なシーツにくるまれているみたいな感じです」
(若山さん)



「軽くて乾きやすくて。
洗って、干して、洗いざらしみたいに、
ノーアイロンで大丈夫な生地なんです。
ワッシャー(洗いっぱなしのようなしわ加工)が
かかっていて、凹凸があるから、
白でもそんなに透け感はありません。
1枚で着て、全然気にならないと思います」
(平山さん)
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なるほど、凹凸があるということは、
少し汗ばんだぐらいならペッタリせず、
肌離れがいいですよね。



このシャツのデザインのいきさつを
おしえていただけますか。



「Tシャツ代わりに気軽に着られる、
でもちゃんとしたブラウスがほしい、と思いました。
夏はTシャツがいい、って言うひとにも、
抵抗感なく着ていただけるように、って。
そうしたら、ちょうどこの生地と出会ったんです」
(平山さん)



なるほど、軽くて、洗えて、乾きやすく、
透け感も気にせず着られるというのは、
まさにTシャツ感覚ですね。



「なかなかシャツを着ないっていう方も、
気軽に着て頂けるようにと考えました。
春先でも真夏でも着られて、
かつ、ちゃんとして見えて、
アイロンをかけなくてもいい。
スカートにもパンツにも合いますよ」(平山さん)
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かたちは、身幅が広くて、
平らに置くと、まっすぐ、四角っぽい。
でも、着ると、印象が変わりますね。



「プレーンで、平面っぽいんですけれど、
後ろはボタンあきで、たっぷりのギャザーですから、
華奢な方でもふくよかな方でも、
もう、その人に委ねるサイズ感で着ることができます。
袖は二の腕がちゃんと隠れるくらいの袖丈で、
気になるところがカバーできますよ」(若山さん)



袖付けの縫い目がないから、
肩幅も気になりませんね。
それに、スタンドカラーの高さが絶妙。
首をほっそり見せてくれそうだし、
きちんとした感じになっていいですね。



「ちょっとクラシックな感じでしょう? 
後ろあきがボタン3つで、
足つきの貝ボタンを使ってるのも、
かわいい、アンティークな雰囲気をめざしました」
(平山さん)
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首もとは詰まっているけれど、涼しそうですね。
身幅がたっぷりしていて、
ギャザーも入って、ふんわりしていて。



「そう、風が通るので、脇が涼しいんです。
ワッシャーがかかっているとカジュアル過ぎるって、
大人の方は敬遠されるんですけど、
これはジャガードの柄が入っているのと、
首の詰まり具合で、ちゃんとして見える。
ジャケットを羽織ってもかっこいいんですよ」
(若山さん)



ちょっと反則かもしれませんけど、
後ろ前に着ることってできませんか?
試してみても?
nooyのおふたりは意図していなかったけれど、
みんなで話していたら、
そんなアイディアが出てきました。



「うーん? 肩の線が合わないかもしれないですね。
‥‥あ、前ボタンを開けたら、大丈夫かな?
襟を抜く感じで、肩線を後ろに動かせば、
着られますね!」(平山さん)
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後ろ前にすると、ギャザーが前に来て、
胸のあたりがふんわりするのもかわいいですよ。



「このギャザー分量の調整、難しかったんですよ。
多すぎると甘くなり過ぎちゃうし、
少ないと寂しくなって、インパクトもない。
だから何度もやり直したんです」(若山さん)



「結果、合わせるもので印象が変わって
ちょっとハンサムにも、かわいくもなる、
そんなギャザーの分量になりました」



いろいろな表情がたのしめますね。
夏に、大活躍しそうです。
どうもありがとうございました!



nooy

http://www.nooy.jp
(次回はScyeを紹介します!)
2020-04-12-SUN