ほぼ日刊イトイ新聞
その14 MADISONBLUE 年をとるのは素敵なことです。

さて、シャツのブランド紹介も、ラスト。
連載はさらに「肌着」についての回がありますが、
今回で、すべてのシャツの解説がそろいます。
ラストをかざるのは、
MADISONBLUE(マディソンブルー)。
スタイリストの中山まりこさんがつくるブランドです。
(中山さんについては、前回のインタビュー
ぜひごらんくださいね。)

ぼくらの中山さんの印象は、
「シャツをカッコよく着てる女性」。
じっさいとてもよく似合っています。

「それはね、年をとってくると、
Tシャツ1枚でいるのは難しくなるからなんです。
それはこの10年ぐらいの変化かな。
汗なんかかいたら、ヨレッとして、
なんだかちょっとみすぼらしくなっちゃう。
だから、夏にもシャツを着ているんです。
ほら、冷房がつらくなってきたりするし!」

年齢にともなう変化を、
なんだかたのしんでいるみたい。

「冬でもね、ニットの上からシャツを着たり、
ニットの下も長袖Tだったのが、シャツになったり。
結局1年中、着ているんです」

中山さんって、世の中を見て
「こっちかしら」っていうんじゃなくて、
「私がこうだから」でものごとを決めるみたい。
それが、とても気持ちがよくって、
その姿勢がマディソンブルーのファンにも
伝わっている気がします。

「そういった意味では、
世の中をあんまり気にしていない、
見ていないかもしれませんね。
そうそう、私がこうだから、っていうところでは、
いままでジャストサイズで着るのが好きで、
そう提案をしてきたのだけれど、
あえてメンズサイズを着たら
『わ、かわいい!』なんて
思うようにもなったんです。
バイヤーの女性がね、
ダンナさんのシャツを着ていたのね。
それがとってもかわいくって」

ハンプトンシャツ、特注しました。

そんな中山さんから、
「ほぼ日」が仕入れるシャツは2つ。
まず、昨年大人気だったハンプトンシャツを、
綿麻の生地でつくりました。

「ちょっとだけ“フシ感”というのかな、
ツルツルじゃない生地をえらびました。
その気持ちはね、
ボテボテするリネンは気分じゃない、
けれども、サラッサラのも、
デザインと合わせたときに、弱い。
ワークシャツの良さを残すような肉厚のものを探して、
この綿麻を見つけたんです。
かなり探したんですよ」

じつは「リネンがいいな」ということは、
「ほぼ日」からも伝えておりました。
マディソンブルーは、定番的にかたちが決まっている。
だから素材を変えたら、
同じシャツだけどちがうシャツ。
そういうふうにワードローブが増えていくのは、
すごく素敵なことだと思ったのです。

「すごく共感します。
同じデザインでも、素材が変わるだけで、
全然表情が変わって、また楽しいんですよね。
私もね、好きなかたちが見つかると、
素材違い、色違いがほしくなっちゃう。
違うものを買うよりも、
“同じで違う”ものを選ぶっていうのが、
何とも楽しい経験なんですよね」

中山さんのことばの「経験」の重み!
今回のハンプトンシャツは、ボタンの色も
前回の白から変え、紺に。
マディソンブルーならではのカフ内側の刺繍も、
もちろん入ります。

そして「白いシャツをめぐる旅。」の特注品には、
さらにとくべつなことが。
背中の内側につくブランドレーベルに
中山さんが1点ずつ手書きの文字を入れてくださいます。
これで、同じ素材で同じデザインだけれど、
1点ずつ「違う」シャツになるのでした。

「たとえば、アウターみたいに、
バスクシャツの上に着るのもいいですよね。
あるいはこれ一枚で、
袖めくって襟立てて、春風を感じるのもいい。
ボトムスは自由にどうぞ。
その人のクローゼットに寄り添いたいっていう、
最初のコンセプトのシャツですから、
自分のインスピレーションで、
今日はアウトにして着ようかなとか、
ちょっと今日は入れてみようかなとか、
みなさんの今の気分で、自由にどうぞ」

新顔! 「J.BRADLEY」

もう1枚。こちらは「J.BRADLEY」
(ジェイ・ブラッドリー)という名前のシャツです。
映画『ローマの休日』で、
オードリー・ヘップバーン演じるアン王女と恋に落ちる
新聞記者のジョー・ブラッドリー(グレゴリー・ペック)の
名前がついています。

「アン王女が着用していたシャツから
インスパイアされたデザインなんです。
つまり、1950年代のイメージ。
アン王女が新聞記者のお家に遊びに行ったときに、
彼のシャツを着てベッドにいるシーンとか、
アン王女がスクーターで、
ブラッドリーさんの後ろに乗ったときは、
襟のちっちゃいフレンチスリーブのシャツにスカーフして、
シャツの袖をまくってたんですよね。
具体的にこのかたちのシャツを
着ていたわけじゃないんですが、
私はたぶん高校生ぐらいだったのかな、
あの映画を初めて観て、男物のシャツを着る女性って
なんて素敵なんだろう! って。
ブリジット・バルドーやジーン・セバーグも
そういうことやってたんだけど、
オードリー・ヘップバーンがやったときの清潔さが、
忘れられなくて。
あの当時って、男性が半袖のシャツを
普通に着てたんですよ、石原裕次郎もそうだけど。
特に映画の中の新聞記者の役柄の人って、
半袖のシャツにタック入りのパンツ穿いてるイメージ。
おじさんたちのワークウェアだったんでしょうね、
サイズのきちんと合ったものを着るっていうよりも、
脇のくりも大きくて、動きやすいつくりで。
それを、このシャツに託したんです。
背中を大きく見せる。
もうガブガブのものを、袖も落としちゃって、
背中でフワッと着る。
つまり、カッターシャツを女性が着たら?
ということなんです。
前立てがなくて、ポッケがあって」

このシャツは、マディソンブルーではもう4年になる定番。
台襟のカーブをきつめに設計することで
第一ボタンを外したときに自然と襟が外側に開く。
それが「抜け感」を表現します。
素材は、デビューのときに使った
コットンのタイプライターです。
(その後、いろいろな素材でつくられていますが、
あえて、原点回帰でえらびました。)

「これね、女性が、袖まくって、
ウエストインでデニムと着るとか、
ボリュームのあるスカートを穿くっていう
イメージだったんだけれど、
なんと男の人が着たらカッコよかったんです。
だから、パートナーとシェアできるシャツですよ」

袖丈は、何分丈というのだろう、
半袖じゃないし長袖じゃない、すごく微妙な長さ。
まくることを前提に、カフスはありません。
あえてのドロップショルダーは、
いまの空気があってたのしげです。

「変な丈で、かわいいでしょう?」

ガゼットに「B」の刺繍が、
襟裏に「hello」のプリントが入っています。
縫い目は、パッカリングといい、
生地をひっぱって縫い、洗いをかけることで、
細かなしわ感が。

「アイロンはかけず、くちゃくちゃなくらいで
着ていただいて大丈夫ですよ」

おもしろいなあ。
もともと男性向けのデザインを
女性に落とし込んでつくったものを、
あえて男性が着てもかっこいい。
いっしょに着たら、それぞれ、いい。
そういう空気感が、
「いま」なのかもしれません。
中山さん、ありがとうございました。
ますますのご活躍を期待しています!

さて、これでシャツのラインナップの紹介はおしまい。
次回はシルクの下着「ma.to.wa」の
惠谷太香子さんで、締めましょう。

2019-04-10-WED

INFORMATION

「ほぼ日ストア」ページで
ことしのコレクションを紹介するのが4/12(金)、
「ほぼ日ストア」と伊勢丹新宿店、
三越伊勢丹オンラインストアでの販売スタートは
4/24(水)からとなります。

また、ことしはジェイアール京都伊勢丹でも
販売を予定されています。
くわしくは、各店舗にお問い合わせください。

どうぞおたのしみに!

■ほぼ日ストア 「白いシャツをめぐる旅。」
2019年4月24日(水)午前11時より数量限定販売

■三越伊勢丹キャラバン
 「白いシャツをめぐる旅。-見惚れシャツ―」

・2019年4月24日(水)-4月30日(火)
 伊勢丹新宿店本館4階=センターパーク/ザ・ステージ#4

・2019年4月24日(水)-5月21日(火)
 三越伊勢丹オンラインストア

・2019年5月8日(水)-5月21日(火)
 ジェイアール京都伊勢丹 5階=スタンダード&モダン SPOT

■伊勢丹新宿店本館4階=センターパーク/ザ・ステージ#4では、
ほぼ日ストアでのラインナップと合わせて、
さまざまな「白シャツ」をご紹介します。
白シャツと合わせるチノパンや、カットソー、
肌着、バッグ、アクセサリーをはじめ、
「自分だけの特別な一枚」に出会えるシャツの
カスタムオーダー会も実施いたします。

※くわしくは、こちらをごらんください

・BRAND
※一部、お取扱いのない店舗がございます。

James Mortimer
Ataraxia
HAND ROOM WOMEN'S
Scye
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