Hobo Nikkan Itoi Shinbun
ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン ゼネラルマネージャー塚越隆行さん✕糸井重里 対談
第6回 女神がクマになっちゃった。
塚越 MovieNEX
進化型コンテンツという言い方をしているんですが、
ぼくらのPRにしても、まさに同じことです。

ぼくらはいままでコンテンツもつくってこなかったし、
進化という発想もなかったけども、
こうして、あたらしいバリューをつくり、
エンターテイメントという切り口で
情報やサービスを絶え間なく出していくことができます。
そのしくみができたことが
とても大きいことだと思っています。
糸井 あのツリーハウス1号が気仙沼にあるあいだ、
最初に協力していただいた人たちとして、
ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンは
ずっと関わりがあるわけです。

MovieNEXとツリーハウスが重なるようにして
コンテンツが広がっていくイメージをもつことができた、
ということはものすごく‥‥いや、
なんていうんだろうな?
未来のしっぽをつかんでる感じになった。

塚越 そうなんですよ。
未来のしっぽをつかんだ感触が
あるんですよね。
糸井 うん。
「ツリーハウス1号」に着工する前は
それこそ映画館にしようとか、
ツリーハウスにキャラクターを呼ぼうとしたり、
映画のストーリーをなぞった
ツリーハウスをつくろうとしたりしたんだけど、
「いや、そういうことじゃない」
というのも、やっていくうちにわかりました。
塚越 そうでしたね。
糸井 何がコストが高くて、安くて、
何が効果があって、何が自由度あって、
何が高くても難しくてもやるべきことか?

広告代理店からメディアを買っていた時代と違って、
家計簿と人びとを触るように、
ぼくらは実践していきました。
ツリーハウス1号を建てるいろんな段階で
「これはやめておこう」という判断がありましたが、
だいたいが塚越さんと
同じタイミングで同じ意見でしたね。
塚越 「優先順位でいくとそこは違うよね」
というのが、
糸井さんと話していて、すぐにわかったので。

糸井 もしも頭が問題解決型になっていたら
そんなことはできないんです。
「上司から言われたから
 これはやらなきゃいけないんです」
ということが、ない。
まぁ、ひとつは
ぼくらは上司同士で話をしているわけだから。
塚越 それは、ないですよね。
ものすごく、ない(笑)。
糸井 これは、実は堤さん(=堤清二さん)との
仕事の経験が、生きているんです。

堤さんとやっていた西武百貨店の仕事は、
堤さんが代表者でしたから、
堤さんが何と言うかで決まります。
子会社の社長、常務、専務、何人いようが、
堤さんが「ダメです」と言ったらダメ。
堤さんが「やめましょうか」と言ったら、
それは、やめましょう、なんです。

いまの広告デザイナーや
クリエイティブディレクターたちは
みんな「トップの人」と仕事をしているんじゃないかな。
そうじゃないとできないことが
ものすごく増えてると思います。
塚越 なるほど、そうでしょうね。
糸井 「上司がいるんで、怒られます」
という、設計図と部品のような関係が
いままでの仕事のしかたでした。
だけどもう、塑像の時代が来ていますよね。
みんなで女神をつくってるつもりでも、
最終的にクマになっちゃってもいい。

「何が目的だっけ?」と振り返ったときに
「人を呼びたいんです、みんなに喜んでほしいんです」
ということがわかっていた場合、
女神がクマになっちゃっても、
「そのクマはいいね」ということになれば
トップはOKです。

塚越 うん、そのとおり。
糸井 でも、トップ2は、
「それは女神じゃない」ということになる。
「じゃあ、クマ女神という名前をつけましょうか」
というように、ちょっと苦労が要るんだよ。
会社の組織というものが
そこの苦労に力を割いちゃうから、
それがどんどん仕事を占領していきます。

ただでさえ「その苦労が要るんだよ」ということ
だらけなのに、さらに
管理が幅をきかせるようになってしまった。

それだとやりたいことができないじゃないか、
ということに気づいてる人はいます。
わかっている人は、自分の会社から
変えていきたいと思っています。
塚越 ホントにそうですね。
わかっている人は、もう、とんでもなくわかってる。
「未来のしっぽ」のつかまえ方が
うまいんだね。
糸井 そういうことです。
で、そうじゃないと、
結局ただルールを守ってレールの上にいる人だけが
うまくやっていくことになって。
塚越 そうなると、だめなんだ。
確実につぶれてっちゃいますね。
そんなのは無理だ。
糸井 そう。
会社として、力が弱くなります。
そんな要素って、あっちこっち、
いっぱいあるわけですよ。
そこを、ドーンと。
塚越 やりたいですね。

(つづきます)
2014-02-26-WED
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