バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
2003年、フランスに単身で渡り、 現在はパリを拠点にヘアメイク&フォトエッセイストとして 活躍しているとのまりこさんが、 愛犬のバブーくん(アイルランド出身)を相棒に、 パリ暮らしのちょっとびっくりな出来事や、 へぇ〜っと感心する習慣などなど(*)をお届けします。 *もちろんすべてのフランス人やフランス全土に共通しないこともあります。 週に1回、でも気まぐれにもっと更新するかも? すてきな写真とともに、おたのしみください。 Amusez-vous bien!

 
とのまりこさんと バブーくんのプロフィール
 




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フランスのテニスは
ゲームのレベル上げみたい?!

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フランスのテニスは
ゲームのレベル上げみたい?!

バブー

みなさん、ボンジュ~ル。
今週は南仏からお届けだよ!

7月上旬から地中海沿いの街に
滞在していたボクたち。
ボクの兄弟プチモンスターは
テニスやマリンスポーツのスタージュ
(バカンス中限定の集中講習)や
地元で開催されるテニスの試合に参加しながら、
元気いっぱいに夏休みを過ごしているよ。

 

南仏のテニスクラブで息子が参加している、
スタージュ(休み中限定の集中講座)。
クラブに所属している子だけでなく、全国から参加可能。
同じパリから毎年来ているという家族にも出会いました。

 

とのまりこ
息子が本格的にハマっているテニス。
フランスでは人口の約67人に1人が
フランステニス連盟に所属しているそうで、
サッカーについで2番目に
競技人口が多い人気スポーツです。

1年ちょっと前くらいからは
少しずつ公式試合にも参加するようになり、
フランスのテニスシステムを
知れば知るほど感心しています
(後述しますがこれは
テニスだけではなく他の多くのものに共通)。

バブー
それがね、大人も子どももみんな
当たり前のように口にする
「Classement」(クラスモン)、
つまり、ランキングについて。

自分が所属しているクラブ内ではもちろん、
今回のようにバカンス先で初めて参加した
クラブの人とも、
試合で出会ってできた友だちとも、
「君、ランクいくつ?」
「30/5だよ。君は?」
「僕はまだ40なんだ」
という会話が成り立つんだよ。

 

地元クラブの子たちがほとんどの中、「はじめまして」の
初日の朝から一緒に遊びはじめるプチモンスター。
フランスの子どもたちは、毎バカンスごとに
いろんなスタージュに参加して、普段と違う相手と
過ごすことに慣れているからか、
グループ意識もなく、あっという間に仲良くなる気がします。

 

とのまりこ
全員がフランステニス連盟の
同じランキングシステムの中に
組み込まれているので、
「数字」が共通言語になっているんです。

ちなみに、ちょっと細かくなりますが
テニスの場合、年齢や実力によって
いくつかボールカテゴリーがあります。
例えば息子は、一般的なテニスの
試合で見る黄色ボールの1つ手前、
グリーンボールのカテゴリーでプレーし、
そのなかでのランキング。
10〜11才以降は、
通常の黄色ボールでのランキングに移行します。

 

バブー
このシステム、いままりこちゃんが言ったように
オレンジ、グリーン、普通の黄色ボールという
ボールカテゴリーごとにではあるけれど、
7才の子どもも80才のおじいちゃんも、
年齢に関係なく、ランクが決まるんだ。

そのランキングは
フランステニス連盟(FFT)が運営する
アプリで全部管理されているんだ。

NC(=初心者)から始まって、
第4シリーズ(初心者~初級者)は
40、30/5、30/4‥‥など6階級の数字、
第3シリーズ(中級~上級)も6階級、
第2シリーズ(全国レベル)が10階級
その後フランス最高レベルの
第1シリーズからは、TOP100という
馴染みのある数字になっていくよ。

国内TOP100に行くまでに
23段階あるけれど、
1段階上がるのもとても大変なことなんだよ!
段階的にランクが上がっていく仕組みで、
まるでゲームのレベル上げみたいじゃない?!

 

たとえばこれ、クラブ内試合のときの
トーナメント表。
名前の右側に30/3、30などと書かれている
数字がランキング。
この数字で相手のレベルがわかります。

 

オレンジボールも、グリーンボールも、
小さな子どもたちの試合ですら、自分たちですべて
試合を進めます。審判もおらず自己申告。
言い争いになることもたま〜にあるけれど、
「見ている親は一切介入してはいけない」がルール。
こうやって少しずつ精神的にも成長していきます

 

とのまりこ
しかもこのシステム、
日本のテニスのランキングとは
考え方がちょっと違うんです。

日本だと「どの大会で何位になったか」で
ポイントが決まることが多いのですが、
フランスでは
「誰に勝ったか
=ランキングいくつの人に勝ったか」
が何より重視されます。

バブー
自分より格上の相手に勝つと、
ランキング計算上価値のある評価に。
フランスではこれを
「Perf(ペルフ)した!」
っていうんだ。

逆に格下に負けると
「Contre(コントル)」
といって、
評価が大きく下がる痛手になるんだよ。

遠征費をかけて大きな大会に出なくても、
地元の大会で格上の相手に勝ち続ければ、
ランクも上がる。
誰もがチャレンジできる「下克上」が
システムに組み込まれているんだ。

 

日本の試合は一度負けたらおしまいの
トーナメント方式が多いようですが、
フランスは1日に3試合から4試合はできる
グループごとの総当たり方式。
だから強い子も弱い子もたくさんの試合を
経験するチャンスがあります。
(日本も少しずつこの方式に変わってきているようです)

 

とのまりこ
大会のエントリーも気軽で、
アプリを開けば
場所、年齢やボールのカテゴリーなど
公式大会が全て検索できて、
エントリーから決済まで完結!

今回も南仏に滞在中、
「滞在先から車で30km以内で
参加できるところ」という形で探して
申し込むことができました。

 

フランステニス連盟のアプリでは
自分のランキングから試合申し込みまで、
全て一元化されています。
たとえばこれは息子の画面。
9才の12,729人の男の子の中で、
自分より上のランキングの子が3,301人いる、
なんてことまでわかります

 

バブー
そして面白いのが、このシステム、
テニスだけじゃないんだよ!
バドミントンも、スカッシュも、卓球も、
スポーツじゃないけどチェスまでも‥‥。
フランスでは対戦型の
スポーツやゲームのほぼすべてで、
同じ発想の全国共通ランキングシステムが
動いているんだ。

ちなみにチェスや卓球は、
テニスのように年齢や実力でボールカテゴリーが
変わるようなこともないから、
誰もが全体ランキングに入るんだって。

ランキングにこだわることが
いいことばかりではないのだけど、
本気でがんばりたいと思っている人に
自分の実力や進歩が数字で見えるのは、
とてもわかりやすいし、
才能ある原石を探し出すのにも
とても有効なシステムみたい。

実際に、強いクラブが選手育成コースの
子どもを選ぶときも、
このランキングが評価対象のひとつに
なったりもするんだ。

 

フランステニス連盟のアプリには、
素人が見ていてもわからないポイント加算も
細かく書かれています。
上のランクに行くために足りないポイントなども一目瞭然。
息子の場合、ポイント数は次のランクへの条件が
足りているけれど、自分より強い相手に
1回でも勝つことが必須とも書かれてます

 

とのまりこ
「なんで日本には同じ仕組みがないの?」
と思いもしたけれど、
実はこれ、フランスならではの
社会の構造と深く関係しているみたいです。

日本のスポーツは長い間「部活動」が中心。
中学・高校の部活で競技を覚えて、
大会も学校の体育連盟が主催する形で
発展してきたので、
競技の連盟と学校のシステムが
別々に育っていった歴史があるよう。

一方フランスには学校の部活動という
概念がほとんどないため、
スポーツをする人は全員、
習い事として、街の地域クラブに
所属するという選択肢しかありません。

『クラブに入る=
自動的に連盟のライセンスを購入する』
という仕組みになっているので、
最初から全員が1つのデータベースに
集約される仕組みができあがっているのです。

 

午前中はテニス、午後はマリンスポーツのスタージュ、
夜はビーチへという過ごし方をしたバカンス。
もちろん学校の宿題もなし‥‥。
お勉強の時間は1日一体何分‥‥(汗)。
ですが、のびのび子どもらしい夏休みを過ごす
フランスの子どもたちがうらやましい。

 

バブー
「地域クラブ」と「国の連盟」が
最初からまっすぐ直結していて、
子どもからお年寄りまで、
初心者からプロまで、
全員が1つの数字でつながっているのは、
スポーツの根っこ作りとして
とっても強い気がするよね。

プチモンスターは公式試合に
参加するようになってまだ約1年。
負けて、負けて、負けて、
悔し泣きをしてを繰り返してきて、
最近少しずつ勝つことも出てきた。
だけどまだ格上の相手には
勝ったことがないよ。
競技人口が多い人気スポーツのテニス、
それだけ壁は厚いけれど
楽しみながらがんばっているよ!

日本も学校が終わり、
本格的な夏休みに突入しているかな?
それではみなさん今週もよい1週間を!

 

 

*とのまりこさんの本*


「シンプルシックで心地よい暮らし
パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間」
出版社 : 世界文化社
発売日 : 2021/5/29

 

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)

フランス雑貨のお店オープンしました。
バブーくんは日本滞在時に、お店にいます。

「Boîte」(ぼわっと)
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illustration:Jérôme Cointre