バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「石畳は
手仕事?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「石畳は手仕事?!」

バブー

パリといえばで思い出すイメージのひとつ。
それが石畳の道と美しい街並み。
見た目には最高に雰囲気があって美しいけれど、
ヒールの靴では歩きにくいし、
キックボードや自転車で走っても
ガタガタしてすぐ転んだりするし、
車社会の現代の都市では
なめらかなコンクリートの方が
当然運転もスムーズ。

ということで、最近はなんの変哲もない
コンクリート舗装の道路が増えてきちゃって
趣ある石畳が減りつつあることが
残念なんだということ、
ずっと前にも書いたのだけど、
今日はパリの美しい石畳を作り出す
職人さんたちの工事の様子をお届けするよ!

とのまりこ
毎週通りかかるこちらの道路、
もう何ヶ月もの間道路封鎖をして
石畳を敷き直す工事が行われていたので、
毎週毎週、息子と立ち止まっては
ず〜っと観察するのが楽しみでした。


▲大量に積み上がる石を見て、元通りの石畳になるのだと一安心♪

ちなみに、道路工事など、
住人や交通に影響が出ることも、
何もかもとにかく時間がかかるのが
おフランス。
車やバスが通れなくて、たくさんの影響が出て
迷惑がかかるということは関係ない。
「封鎖するものは封鎖なんだ!」
と、何ヶ月もかけてのんびり工事します。
日本だったらできる限り交通量の少ない時間に
夜を徹して工事を急ピッチで進めるでしょうが、
そんなことは絶対にありません♪

バブー
というわけで、1週間ごとに通り過ぎるのに、
「この1週間、一体何をやってたんだ?!」
って思っちゃうような
ゆっくりの進み具合なんだけど、
おかげで石畳の道路を作る風景を
じっくり観察できたんだ。


▲ぴったりハマりそうな石を選びながら、ひたすらひとつずつ手作業で
この美しいカーブを描いた石畳を作っていきます。

道路を全てはがし終わったと思ったら、
次の週からは大量の石畳用の石を積み上げて、
ムッシューたちが1つ1つ、
ぴったりハマりそうな石を選んで
石を敷き詰めていく。
これ、ひとつひとつ人の手で作業してたんだ!
と、あらためて驚き。
パリの石畳特有の、扇型のカーブをかいていく
石は全部人の手で綺麗に並べられていたんだね。


▲毎週工事現場の様子を見るのが楽しみな息子。
ショベルカーを動かすムッシューが、なんとショベルカーのリモコンを
いじらせてくれました。自由〜(笑)。

とのまりこ
この道も、殺風景なコンクリートに
なってしまうのかと
残念に思っていたので、
積み上がった石を見て一安心。

そして、何週間かが経過し、
ようやくようやく道のはじまで
石が美しく敷き詰められたと感動していたら、
次の週、なんとそれを埋め始めたのです。


▲うわ〜パリらしい石畳の道が出来上がってる〜と喜んだのも束の間。

「え〜!! なんでなんで?
どういうこと?
せっかくあんなに時間をかけて
ひとつひとつ並べた石、
全部見えなくしちゃうわけ?
どういうことなんだ??」
と、石畳好きな私はかなり動揺したのですが、
どうやら、薄く薄〜く表面を覆って、
ほんのりだけど、石畳が見えそうで見えない感じに
仕上がった模様。


▲せっかくの石畳が覆われている‥‥泣。
え? 何? せっかくのこれをコンクリートで覆うの?? と思ったら。

その道に続く周辺の道路を観察してみると、
表面がはげて、石畳が露出してきている?
つまり日々、車やバイクやバスが往来すると
少しずつ少しずつ道路の表面がはげてきて
そのうちちょうど良い石畳感になるということ?

完全にコンクリートで覆われてしまって、
なんの変哲もない道路になっている場所
(特に車の往来が多い大通りは全てコンクリート)
も年々増えるパリですが、
なんとなく昔ながらの石畳感が残る
パリらしい道路も残っているのは
こういうテクニックを使っているからだったのかな??


▲うっすら下に石が見えるくらいの覆い方のようなので、おそらく数ヶ月後? 数年後? には
日々車両が上を通ることで表面がはげてきてこのような石畳が完成するのだと思われます。

バブー
ムッシューたちが一生懸命
時間をかけて1つ1つの石を敷き詰めていた
作業を見ていただけに、
最終的にコンクリートで覆っちゃうの?!
とショックだったボクたち。
パリらしさいっぱいの石畳感が残りつつ、
車の往来もしやすい道路になったんだなと
ちょっぴり一安心。


▲ちなみにこれが出来上がった道路。うっすら石畳が見えています。

世界中の人を魅了するパリ。
いつまでも昔から変わらぬ姿が
残っていてほしいな〜と思ってるよ。

 

 

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「シンプルシックで心地よい暮らし
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出版社 : 世界文化社
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※この連載を再編集し、
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2022-05-31-TUE

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illustration:Jérôme Cointre