バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「来月から、交通が
徹底的な無期限スト?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「来月から、交通が徹底的な無期限スト?!」

バブー

ここ数日、
パリに住んでいる友人たちの間で
飛び交っている話題が
12月5日から始まる
交通機関の無期限スト‥‥。

「無期限スト」って、すごい言葉でしょ?!
ついこの間、パリのスト事情について
書いたばかりだけど。

「通勤ラッシュの時間のみ、
いくつかの路線は数本に1本、運行させますよ」
という、前回のものとは比べ物にならない
かなり徹底したものになりそうなんだ。
旅行でパリに来る人にも
大きな影響がありそうだから、
ここでもお知らせすることにしたよ!

とのまりこ

ニュースのサイトには、軒並み

『noメトロ、no郊外電車』
『ゼロメトロ、ゼロ郊外電車』
『手段はキックボードか自転車か徒歩のみ』
『クリスマスバカンスにも大きな影響か』

という、
先行き不安な言葉が並んでいます‥‥。


sortiraparis.com


lebonbon.fr


parissecret.com

メトロも、RERも(空港とパリなどをつなぐ郊外電車)、
トラムも、バスも、首都圏をつなぐ電車も。
何もかもが徹底的な無期限ストに入るようです。

「バスは、もしかしたらほんの少しだけ
動く可能性あり」
という言葉だけが唯一のプラス情報だったくらい。

バブー
すでにここ数日、
TGV(フランス版新幹線)などは
数本に1本がストで運休、というのも続いていて、
バカンス中であちこち出かけていた人、
出かける予定だった人たちに
大きな影響が出ているんだよ。

とのまりこ
それに加え、パリやパリ近郊の
交通公共機関の手段が
一切なくなるという
12月5日からの無期限ストのニュース。

2020年にかけて、
いつまで続くかはわからないということだし、
一番寒い季節に交通機関なし、という
厳しい年末がやってくることになりました。

これは、マクロン大統領の
年金制度改革に反対するためのスト。
今回の12月からのストを予定している
パリ交通公団の年金制度は、
普通の人よりも過酷な条件で
(例えば土日祝日も働かなくてはいけないとか、
夜も働かなくてはいけないとか、
地下で働かなくてはいけないとか。)
労働環境が悪いとして、
なんと通常より10年早い、
52歳から、となっているのです。
その権利を絶対に逃すものか、というのが
今回のストの理由なわけなのです。

(えええっ!
まさかのそれで普通の人よりも
過酷な環境の労働だから、となっちゃうの?!
そしてなんと
年金が52歳からだとっ?!?!
ってことに私はまず、
驚かずにはいられないのですが‥‥。)

バブー
自分の住んでいるところで、
地下鉄もJRもバスも路面電車も、
何もかもが動かなくなる無期限ストを
ちょっと想像してみてね。

「会社はどうするんだ!!」
「学校はどうするんだ!!」
「予定している旅行はどうするんだ!!」
って怒ったって
もう誰もどうしてもくれない、無期限スト。

クリスマスだって年末年始だって
いつ動き出すか誰にもわからないんだよ。
3時間かかっても4時間かかっても
歩くか自転車でひたすら
目的地に向かうしかないんだよ。

赤ちゃんがいたって子供がいたって、
足の不自由なおじいちゃんやおばあちゃんだって、
もうたくさんの人が困っていると言っても
全員がどうすることもできない、無期限スト。

こういうことが起こるたびに、フランスは
自分の意見を徹底的に主張し行動にうつす
「革命の国」であることを実感し、
日本にはない面を羨ましく思ったりもする反面、
「世界一の観光大国なのにこれでいいの?!」
って思っちゃったりするよね。

12月以降にパリに来る予定がある方は、
公共交通機関はないという前提で
いろいろ計画を立ててみてね。

空港とパリをつなぐ電車も動かないからね。
そして郊外や地方に旅する予定の方も、
電車のキャンセル情報などのチェックを
お忘れなく!

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)

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2019-11-05-TUE

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illustration:Jérôme Cointre