バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「no バリアフリーの
パリだけど、生きやすい?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「no バリアフリーのパリだけど、生きやすい?!」

バブー

みなさんご存知の通り、
パリはとても古い街並みで
道路もアパートもメトロも、
どこもかしこも、
工事などの際には
かなりの制限がある街。

だからなのか?
「バリアフリー」という観点から見ると
「no バリアフリー」なのが、パリ。

例えばパリっ子の足となる
メトロの階段には
エスカレーターすらないのが当たり前
(ぼちぼちはあるけどね‥‥)、
奇跡のエレベーターに関しては
本当に「あの駅とあの駅と‥‥」
って思い出して数えられるくらいしかない。

とのまりこ

一方パリに比べたら東京は
「スーパー・バリアフリー」な街。

ほとんどの駅にエスカレーターなり
エレベーターなりが設置されていて、
道はガタガタじゃなく滑らか。

ところが、「no バリアフリー」のパリで
ベビーカーを押している時より、
「スーパー・バリアフリー」の
東京を歩いている時の方が、
よっぽど生きづらいと感じてしまう
両国のベビーカー事情なのです。

それは、パリでベビーカーを押していたら、
自分でなんとかなるような
ほんの些細なことに対してですら、
絶対に、手伝おうかと声をかけてくれたり
助けてくれたりする人がいるという
状況があるから。

バブー

門や扉を通ろうとしたら、
必ずみんなが開けて
押さえておいてくれる。

メトロの階段にベビーカーがいたら、
ほぼ100%、当たり前のように
人が手助けをするよ。

いちいち立ち止まって、
誰か手伝ってくれる人がいないかと
探さなくても、
いちばん近くにいる人が、
すっと声をかけて、一緒に持ってくれるよ。

男性も女性も。みんなが。

だからメトロにエレベーターがないことは
あまり大きな問題にならないよ。

とのまりこ
メトロやバスの車両に、
乗りにくそうにしてたり、
降りにくそうにしていたら、
席を立ってみんなが
すぐ駆けつけてくれるし。

お母さんがベビーカーに
かかりっきりになっていたら、
一緒にいるまだ小さい兄妹の様子を
気にしてくれます。
乗り降りの面倒を見てくれたり
階段を一緒に降りてくれたり。

だから、「バリアフリー」どころか、
ベビーカーにとっては障害だらけの
パリの街並みですが、
どこに行こうとしても、スムーズ。

ほぼ全員が助けてくれるという事実があるから、
手のかかる子供を一人で連れて出るのも
全く心配なしなのです。

バブー
東京でも優しい人はたくさんいてね。
子供に声をかけてくれたり、
席を譲ってくれたりしたことは
もちろんいっぱいあるのだけど。

ベビーカーに対しては
なんとなく無関心が
ほとんどの気がしたんだ。
「無関心」というか
声をかけることに慣れていないのかな??

ひとりで怪力出して持ち上げて
階段で上り下りしていても、
誰も助けてくれないのが
普通なんだなあ‥‥って印象。

電車を乗り降りするときなんて
ベビーカーは差し置いて、
むしろ我先にって急ぐサラリーマンがいたり、
駅のエレベーターも、
ベビーカー、赤ちゃん連れ、お年寄り、
怪我をした人が並んでいても
譲らず先に行っちゃったり?!

とにかく自分が急いでいるのが先!
って感じの人、多いよね‥‥。
1分1秒に追われている
東京という大都会では
しょうがないんだろうか‥‥。

「no バリアフリー」でも、
とても生きやすい
パリのベビーカーライフ。
だから今日もどこかに
出かけたくなるんだよね〜♪

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)

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東京都杉並区西荻北4丁目5−24
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2019-05-14-TUE

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illustration:Jérôme Cointre