フランスでは日本食がブームだとか。
フランスでは日本の漫画が人気だとか。
どこかでそんなニュースを聞いたことがあるよね？！

今日はその中でも「食」にまつわるお話だよ。

実際にパリで生活していると、
このブームはもう何年も何年も前から感じること。
日本食ブームは、ここ数年始まったものじゃない、
ブームといっても、
「老舗」感があるくらい浸透しているよ。

オペラ座近くの通称「日本食ストリート」に行けば
「ラーメン」「寿司」「お好み焼き」「弁当」
という文字が掲げられたお店がずらり。

「日本食ストリート」を離れても、
本物かニセモノかは別として
（いや、ほとんど、日本人から見ればニセモノ‥‥）、
パリ中に寿司と刺身と焼き鳥
（なぜか全部この組み合わせです）のお店が
点在しているのを見れば
日本食の人気と浸透度がちょっとわかります。

「まぐろの切り身 梅干しのシャーベット添え」

そんな中でもね、ここ数年、
ビストロやレストランで
和食に使われる素材そのものを
その名前のまま表示してあるのを
本当によく見かけるようになったんだ。

「醤油」こそ、もういつから浸透しているか
わからないほど昔からあるので
「Sauce Soja」とフランス語名がついているけれど、
「Miso」（味噌）、「Dashi」（だし）、
「Sake」（酒）、「Wasabi」（わさび）、
「Yuzu」（ゆず）、「Matcha」（抹茶）‥‥etc
などの言葉はローマ字表記のまま、
ビストロやレストランのメニューのところに
登場するんだよ！

例えば
「鯛のカルパッチョ　ゆず風味」
「とれたて野菜のサラダ　だし風味」
といった具合に‥‥。

「だし風味」ってなんじゃいな。
なんて言葉の使い方を不思議に思ったり、
ちょっと使い方が違う‥‥。
なんて、日本人的に納得できないこともあるけれど。

これらの単語が日本語のまま
レストランのメニューに使われる
（もちろんフランス人シェフのフレンチのお店でね！）
というのを目にするたびに、
日本食材の浸透度を実感するのです。

さて、今日のコラムで「日本食材」について
書いてみようかなあと思ったのは、
ちょうどこのコラムが掲載される今月６日から、
パリで開催される「にっぽんの梅干し展」の
お手伝いをしているから。

「スズキのタタキのマリネ 梅じそソース」

元ほぼ日のアルバイト、じゅんぺい君たちが
日本で開催していた「にっぽんの梅干し展」 が
パリに上陸するんだよ！

今のところ「Umeboshi」（梅干し）という
そのままの表記でのメニューは見たことがないから、
フランスでの梅干しの浸透具合はまだまだ。

当然あの強烈なすっぱさの梅干しを
そのままフランス人に差し出したら、
よっぽど変わった嗜好の人でないと
ビックリしてしまうよね？！

「鴨肉と焼きネギの 梅肉サラダ仕立て」

というわけで、パリの人気ビストロ＆レストラン
６店舗のシェフとコラボして、
梅干し展が開催される期間、
梅干しを使った料理orデザートを
メニューの中に入れて、体験してもらうという
試みもやることになっています。

フレンチの王道、フォアグラと梅干しを合わせたり、
鴨と梅干しを合わせたり、
バゲットが止まらなくなる
梅干しとシソバターを作ったり、
シャーベットやパンナコッタに
梅干しを入れてしまったり。
シェフたちのアイディアは
さすがとうなるものばかり。

もしかして、これがきっかけで、
フランスのビストロやレストランで
「Umeboshi」という文字を目にする日が
近づくのかな‥‥ なんて楽しみにしている私です。

「カリカリ梅と梅じそバター」

「昆布締めフォアグラの梅肉添え」

ちなみに、マルシェ（市場）でも
日本名そのままで売られているものが
年々増えているような気がするよ。

「Shiitake」（しいたけ）とか
「Mizuna」（水菜）とか「Shiso」（シソ）とか
「Kaki」（柿）とかね！

ちなみにまりこちゃんは昨日、
買い物カートからニョキッと飛び出た
「ごぼう」が一体なんなのか、どうやって使うのか
とフランス人から質問されて
ちょっと困っていたよ。

ほぼ日の土鍋 が毎日のように大活躍する
鍋の季節がやってきたパリ。
「ごぼう」を持っていると見たこともない物体に
驚くフランス人。
まりこちゃんの
「ごぼうをどうやって説明しよう‥‥」
の冬がやってきたね。
日本食材ブームのフランスで、
「ごぼう」の市民権が得られるのは
まだまだ遠いみたい‥‥。

「梅干しアイスと赤いフルーツのデザート」

※この連載を再編集し、書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
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