イラストレーター・福田利之さんが
すべての製品のデザインを手がけている、
テキスタイルや布プロダクトのブランドが
「十布」です。「テンプ」と読みます。

「十の布」とあるように、
発表されるプロダクトには数字がふられています。


tenp01からはじまって
tenp02、tenp03‥‥とつづき
このたびTOBICHI2で開催する「つつむ展」では
新作のtenp06が発表されます。

福田さんとディレクターの滝口さんに
「十布」のこれまでを
ゼロから教えてください、とお願いしたのが
今回のインタビューです。

デザインも、かたちも、国もさまざまな
6つのシリーズの布たち。

そこに共通する思いは「生活」でした。

全7回の連載です。

おふたりのプロフィール

正方形のダブルガーゼ

ほぼ日
今回はあらためて、
「十布」がどのようにはじまって、
どのようなプロダクトを作っているのか
ゼロからのお話を
おふたりにうかがいたいなと思っています。

よろしくお願いします。
ふたり
よろしくお願いします。

福田
ゼロから、ですね。
ほぼ日
はい、そもそものところから。
滝口
ぼくと福田さんの、どちらからお話しましょう?
福田
それはもう、ぜひ滝口さんから。

滝口
わかりました。では最初にぼくから。
そもそものはじまりは‥‥
福田さんとはずっと友だちだったんですが、
ある時期に、
「何か新しいことやりたいな」という気持ちが
ふたりでたまたま重なったことが
まずはあったと思います。
福田
ああ、そうでしたね。

新しくはじめたい気持ちが
互いに高まっていました。
滝口
ぼくには具体的な案はなかったんですが、
福田さんにはすでに考えがあって、
「実はテキスタイルをやりたいから
それをいっしょにどうでしょう」と。
福田
はい。
滝口
どうなるか見えているわけではないですし、
どうすればいいかもわからなかったですが、
福田さんと布‥‥やってみたいと思いました。
ほぼ日
福田さんは、なぜそこで布だったのでしょう。

福田
イラストレーションっていう仕事は
紙媒体が中心なんです。

広告や雑誌の絵になることはあっても
生活により一層グッと入っていけるような
仕事をしたいなと思っていました。

なんていうんでしょう、
「いろんな人の生活の中に
自分の絵が広がっていけばいいな」と。
ほぼ日
布が媒体になることで、
福田さんの絵が
人の生活に入っていくわけですね。
福田
そうですね。はい。

あとは、「十布」をスタートする前にも
いくつかはテキスタイルの仕事の経験があって
そのときに楽しかったというのもあります。

ただ、じぶんはイラストレーターなので
依頼があってできたことでした。

自発的に、自分のオリジナルで
やってみたいという思いがあったので
「布がやりたい」という話をしました。

ほぼ日
そうしておふたりは
あらたなプロジェクトの場に「布」を選び、
デザイナーの福田さんと
ディレクターの滝口さんによる
「十布」がはじまった。
滝口
はい。ただ、そこからです。

十布をどんなプロダクトではじめるか、
そのことがとても大切です。

十布はどうありたいのか、
ふたりで相談を重ねましたね。
福田
どんな布をつくりたいのか、
布と言ってもいろいろありますし‥‥。

でも、そこでぼくたちが考えていて
いまでもずっと変わらないことは
「生活に寄り添う」ということでした。

生活のなかでやさしいものでありたい、と。

「そういうテキスタイルってなんだろう?」と考えた時に
ガーゼという素材はすごく適性があるなと思いました。
ほぼ日
ガーゼ。
滝口
はい。

十布の最初の製品「tenp01」は
ガーゼのプロダクトになりました。

綿100%のダブルガーゼです。
ほぼ日
その1回目のシリーズ、
実際にお見せいただくことはできますか。
滝口
いま、お持ちしますね。

‥‥(広げる)これです。

ほぼ日
かわいい‥‥。

福田さんのイラストもすてきです。

これがいちばん最初ということですか。
滝口
はい。
福田
吸水性にも優れていて、乾くのが早くて、
肌触りも気持ちいい。
ほぼ日
気持ちいいです。

滝口
使うとどんどんやわらかくなるという特徴も
「生活にやさしく寄り添う」という
十布のテーマにぴったりだと思いました。
福田
使うほどに、風合いも出ますし。
ほぼ日
そして、大きいですよね。
滝口
ここまで大判なものはガーゼだと多くないんです。

スカーフのようにまとったり、膝かけにしたり、
もちろんタオルもいいですし、
さまざまなインテリアにもなります。

生活のなかでなににでも使えるように
このサイズにしました。
ほぼ日
たしかに用途をかぎらず
いろいろつかえそうな大きさです。
滝口
それからこの最初のデザインがなくなった後には
同じ柄のリピートとせずに、
デザイン違いでこれをつくりました。

ほぼ日
ええっと、これもtenp01なんでしょうか?
福田
そうです、同じテーマの範囲のなかで
01のシリーズの新柄というのが出ます。
ほぼ日
tenp01のその同じテーマというのは?
福田
「正方形のダブルガーゼ」です。
ほぼ日
あぁ、なるほど。

柄で固定しているわけではないから、
その範囲内であたらしい製品もうまれるわけですね。
滝口
そういうことです。

柄違いとか色違いで
tenp01がまた出てくるので、
その中でのチェンジですね。
ほぼ日
お洋服のコレクションのように
01は通り過ぎて終わるのではなくて、
テーマを同じくした枠のなかで
新作が追加されるんですね。
滝口
そうやって、4年目のいま、
発表するtenp01の新作が
こちらです。

ほぼ日
お野菜!
滝口
どうでしょう、いいなあとぼくは思っているんですけど。
ほぼ日
すごくいいです。好きです。

こうやってtenp01がまた新しくなった。
滝口
tenp01は、十布の特徴のある
象徴的な製品だと思っていますし、
最初のデザインを色違いで復刻したり
あたらしいデザインを加えたりしながら
たいせつに育てていきたいですね。

(つづきます)

2017-12-21 THU