第26回 タコの強さ。イカの足。
あと、タコっていうのは、力もあるんだよ。
タコを入れておく水槽にね、
フタがしてあるんだけど、
その上にブロックが4つも乗っけてあるんだ。
糸井 タコはね、タウリンがあるから。
うん、タウリンがね。
糸井 1000ミリグラム以上、あるからさ。
好きなんだね、その話が。
糸井 あとさ、タコはさ、
強そうじゃないのに強い、というのがいいね。
「思ったより強い」わけだよ。
だって、ブロックを‥‥何個だっけ?
4個も。
糸井 4個も乗っけてあるんだからさ。
強いったって、1個も乗せれば大丈夫だろう、
って思うけど、4個だからね。
タコは、予想よりも4倍強いわけだよ。
いや、1個だって必要ないだろうと思うよ。
フタしておけば十分だと思うもの。
糸井 じゃ、8倍だ。
タコは、予想よりも8倍強い!
どういう計算なんだかわかんないけど、
ともかく予想以上に強い。
というか、ふつうは、
フタさえ必要ないと思うよな。
糸井 じゃ、16倍だ!
タコは、キミが思ってる16倍くらい強いぞ!
うん。そして、足は8本だ。
糸井 足は予想どおり8本だ。
でも、8本って、足にしちゃ多いね。
うん、多いです。
糸井 イカは10本あるけど、
1本1本は細いからね。
足の話で思い出した。
あのね、関川夏央が、昔出した
『ソウルの練習問題』っていう本の中に
書いてあった話なんだけどね、
あの、ソウルでスルメを
道ばたで売ってるところがあってさ。
糸井 うん。
それでさ、韓国人の女のコと、
関川がそのへん見ながら歩いてるとさァ、
おばちゃんが、売りもんのスルメの足を、
こうやって、
ときどきむしって食ってるんだって。
糸井 うん(笑)。
あれはマズイだろ‥‥と
関川が言うんだよ。
スルメの足の数はきまってんだからさ。
一本へってたって商品としてキズモノじゃない。
糸井 ああ、そうだね。
そもそもね、韓国の人って、
タコとイカをあんまり峻別してないらしいんだ。
いちおう、ことばは違うんだけど。
糸井 日本人ほど区別してない。
その女のコがいうには韓国の人は
スルメ買っていちいち足の数、
数えないってこういうわけよ。
糸井 うん、うん。
「でも、タコの足は8本だし、
 イカの足は10本だろ?」
って、関川が食い下がるとね、
その女のコがさあ。
「‥‥日本人は、またそういう細かいことを言う」
一同 (爆笑)
(ヒザをバシバシ叩く)
糸井 いいねぇ(笑)。
この話は笑ったなぁ(笑)。
糸井 韓国の人からすると、タコもイカも、
足のいっぱいある、ぬるぬるしたもの
っていうことなんでしょうかね。
韓国じゃタコの足とか、
ブツブツに小さく切るよね。
まァとにかく日本人は細かいなと、
そう思ってるみたいですね、
タコもイカも同じだろうと‥‥。
糸井 なるほどなぁ。
でも、同じじゃないよな。
同じじゃないよ。
タコは8本、イカは10本。
おまけにイカの2本は手なんだから。
糸井 あ、そうなんだっけ。
そういえばイカは2本だけ長いね。
あれは手。あとの8本が足。
糸井 またそういう細かいことを言う。
一同 (笑)
(終わりが来るのかな、この連載?)

2008-05-30-FRI


(C)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN