第25回 タコは気持ちいい。
糸井 しかし、タコの話はよかったね。
お互いに持ちネタがあるってのがさ。
やっぱり、タコがすごいんだろうな。
タコ以外じゃこうはいかないよ。
そうだね、タコはね‥‥
あ、もうちょっと、タコの話、いいですか?
糸井 いいよ、いいよ。
タコの話は、いっくらでも伸ばしていいよ。
一同 (笑)
その、タコ漁を取材したときなんだけど、
漁師のおじさんがさ、タコ壺をあげるとき
ものすごく乱暴にやるわけ。
最近のタコ壺って、素焼きじゃなくて、
プラスチックになってるもんでさ。
もう、ガーンって船の上にどんどん投げちゃう。
すると、その衝撃で、中からタコが
にゅるにゅるって出てくるんだよ。
糸井 うん。
でね、オレは、さっき話したように、
タコがものすごく狭い隙間でも、
クチバシが通れる大きさなら
通っちゃうことを知ってるからさ。
糸井 お茶殻の大きさは無理だけどな。
お茶殻は無理なんだけどね。
ともかく、なにかっつっちゃあ隙間から逃げる、
ってのを知ってるから、慌てちゃってさ。
船って、排水溝がついてるから。
もう、逃げちゃう逃げちゃうって、
一所懸命、水槽に戻そうとしてたわけ。
糸井 手伝ってたんだ。
手伝ってたんだよ。
ところが、漁師のおじさんは、
「なんか素人ががんばって手伝おうとしてるな」
みたいな、優しい目で見てるばっかりでさ。
糸井 まぁ、いくらタコが逃げるといっても、
排水溝を目指して一目散に、
という逃げ方をするわけじゃないんでしょ。
いや、逃げるんだよ。
でも、こっちだって一所懸命だからさ。
そのへんをにゅるにゅる這ってるタコを
つかんで、水槽に入れようとするわけ。
ところがタコには吸盤がある。
糸井 あるねぇ。独特だよね、あれ。
ぴたっと貼りつくからね。
だから、こう、つかむでしょ。
そうすると、足が、こうくる。
で、それをはがそうとすると、こう。
一同 (笑)
糸井 タコにからみつかれてるわけだ。
そう。
しかもね、その、タコがさ、
妙に気持ちがいいんだよ。
糸井 (笑)
だから、船の上で、
しばらくこんなにして、持ってたりしてさ。
にやにや笑いながら。
糸井 なにをやってるんだ(笑)。
(なにをやってるんだ‥‥あ、つづきます)

2008-05-29-THU


(C)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN