HOBONICHI

つきのみせ。2021 私たちのほしい、心地いいもの。

私たちのほしい「心地いいもの」は何か。
もっと突きつめて考えたときに、
心も身体も手軽に、気分よく過ごせる
アイテムがほしいと思いました。
今月ご紹介するのは、「寝かせ玄米」。
「寝かせ玄米」とは、
圧力鍋で炊き3~4日熟成させることにより
もっちもちに仕上げる結わえるさん独自の手法です。
これまでの玄米のイメージを一新するような、
甘みとうま味が豊かな、「おいしさ」を追求したごはん。
気持ちのいい生活につながるおいしい玄米といっしょに、
自然と共生する香り、WABARAの冬のブーケも
用意しました。
食事と健康は密接につながっているものだと知りながら、
食べたいものを我慢できないのも、事実。
できることなら、好きなものを食べて、飲んで、
それが健康につながっていたらうれしいものです。
身体に向き合ったとき、よく聞いたのが「玄米」でした。
玄米菜食は身体に良さそうだけれど、おいしいのだろうか‥‥。
そんな疑問を払拭してくれたのが、
「結わえる」さんの「寝かせ玄米」でした。
寝かせ玄米とは、圧力鍋でやわらかく炊いてから、
3~4日保温ジャーで寝かせて
もっちもち食感を生みだす結わえるさん独自の製法です。
その、やわらかく、
程よく甘くてうま味たっぷりの味わいは、
和食だけでなく中華や洋食にも合い、
身体がよろこんでいるような気持ちになります。
毎日を「白米」から「玄米」に変えたいと思っていた人はもちろん、
健康関係なく「おいしいごはん」を食べたい人にも届けたい、
「寝かせ玄米」の生まれたきっかけやエピソードを、
社長の荻野芳隆さんと広報の斉藤春佳さんに伺いました。
ほぼ日
ほぼ日の社内にも、「結わえるのごはんパックが大好き」
っていうスタッフがおりまして。ファンが多いんです。
荻野
そうなんですか。
ありがとうございます。
ほぼ日
荻野さんは玄米とどんなふうに出会ったんですか?
荻野
僕は、前職が経営コンサルタントだったんです。
ちょうど、日本の伝統産業がどんどん衰退して、
伝統産業だけじゃなくて、農業とか林業とか工芸品も、
どんどんなくなっていってる頃だったんですね。
そういうところのブランディングや商品開発、
それから地方活性のお手伝いをしていたんです。

本物の味噌や醤油を扱っている顧客がたくさんいて、
そのときに初めて食事療法とか東洋医学とかも知りました。
指導してる先生たちの話も聞いたりして、
食べ物と健康って、こんなに密接につながってるんだと
初めて知ったんです。
さらに、我々が何を選ぶかによって、
伝統産業が衰退もするし、生き残りもする。
そして、このままだとそういうの全部なくなっちゃうし、
世の中もどんどんひどい状況になるし、
特に健康問題がいちばんえらいことだなと思って、
東洋医学や食事療法、栄養学、いろいろ勉強したんです。

食べ物と健康がつながっていることは
全然不思議なことではなくて、理論的に説明もできる。
それはわかったんですが、実践してる人たちは、
だいたいみんな、玄米菜食なんですね、ベースとして。
そのとき僕、22歳か23歳でしたけど、
初めて玄米を食べてみたら、
おいしくなかったんですよね。
ほぼ日
そうだったんですか。
荻野
これは毎日続けられないと正直思ってしまって、
食べている人たちも、おいしいとかおいしくないじゃなくて、
健康のために、必死で頑張って食べてるんですよね。
玄米も、菜食の料理も、もっとおいしくなればいいのに。
玄米の魅力は理解しているので、
どうにか一般化できないかと思いました。

それからもうひとつ、
玄米菜食の多くは、
「肉はダメだ」「魚もダメだ」
「添加物も砂糖もダメだ」って、
ダメなことばっかりでストイックなんですよ。
それも違うだろうと思ったんですね。

そのふたつが大きな問題だと思いました。

僕がやりたかったのは、
世の中の人たちが、僕も含めて、一生たのしく、
おいしいものも楽しみながら、生活習慣病にならずに
一生すごせる世の中になればいちばんいいなと。
食生活をちゃんとするのはもちろんですけど、
そのときに、いい調味料を選ぶ人が増えたり、
木のテーブルを使う人が増えたり、
日本のいいものを使う人たちを
増やしていけないだろうかと思ったんです。

もっと、玄米をおいしく食べる方法として考えたのが、
「寝かせ玄米」っていう炊飯の手法でした。
寝かせ玄米は、
圧力鍋で炊いた玄米を3-4日寝かせる方法です。
ほぼ日
寝かせ玄米には、 どうやって行き着いたんですか?
荻野
玄米に出会ったのは入社1年後ぐらいです。
勉強しながら玄米の有用性が分かって、
あとはこれをおいしくすることさえできれば、
世の中変えられるんじゃないかと思いました。
日本中の玄米を出すお店に行ったり、
自分でもいろんな炊飯の機器を買って、
いろんな種類のお米で、いろんな炊き方を試して、
っていうのをたぶん2、3年やってました。
その中でたどり着いたのが、寝かせ玄米のやり方です。

まず絶対に必要なのが、圧力炊飯なんですね。
玄米には表皮がついているので、
圧力をかけない限りはモチモチにならないんですよ。
そこを削ったのが白米で、食べやすくなりますけど、
食物繊維が減ってしまうんです。
圧力炊飯をすると、食物繊維が残ったまま、
皮をやわらかくすることができるんです。
ほぼ日
そして、「寝かす」ですね。
荻野
いろいろなヒントからベストな炊き方を探って、
たどり着いたのが、
何日か玄米を保温ジャーに寝かせる方法。
圧力炊飯をして、保温ジャーに移して、
保温しっぱなしで、3〜4日寝かせると、
いちばんおいしいっていうところにたどり着きました。
ほぼ日
そこまで寝かせてる人は、あんまりいなかったんですか。
荻野
そうですね。
数日っていうのは、だいたいビックリされますね。
ほぼ日
もう実験ですね。
荻野
そうですね。最大2週間ぐらいやりましたね。
その時はカッピカピになって、硬くなって、
微妙なニオイがしました(笑)。
ほぼ日
寝かせると、どうおいしくなるんでしょう?
荻野
炊きたてはすごくやわらかい感じなんです。
それを寝かせると、余分な水分がとんで、
モチモチになって、食感がよくなる。
それから、甘味・旨味が増えていく。
味が全く違うんですよ。
数日寝かせたのがいちばんおいしいですね。
「これでもう絶対いける」と思って、
寝かせ玄米という名前をつけて、商標もとって、
会社を5年で退職し、
「結わえる」をつくりました。

世の中に「寝かせ玄米」を広げるキモは、
「おいしさ」が絶対だと思ってたので、
その追求をずっとやってましたね。
ほぼ日
もうひとつ、問題がありましたよね。
荻野
「あれダメ、これダメ問題」ですよね。
そこに関しては、
「メリハリ玄米生活」っていうのを考えたんです。
僕らの提案は、
おいしい飲み食い、お酒も含めて、
一生太らず健康で楽しむために、玄米をうまく使って、
好きなものは我慢しないで、十分に楽しもう、と。
1日1食でいいので、主食に玄米を取り入れる。
いろいろ制限をしなくても、
メリハリをつければ大丈夫っていう
ライフスタイルを提案することにしたんです。

そうすれば、自分も気持ちいいし、
伝統産業も継承されていきます。
地方にある産業が生き残ることができて、
そこで働く若者が増えれば活性化にもつながりますし。
ほぼ日
好きなものを食べたり飲んだりしていいんですね。
荻野
はい。でも、僕がお店を開いた12年前は、
「普段は肉もラーメンもお酒も楽しんで、
でも玄米を食べてコントロールしましょう」
っていう僕の提案は、
ちょっと突拍子がなさすぎました。
ほぼ日
玄米を食べるならストイックに、
みたいなイメージって、ありましたね。
荻野
それが邪魔してましたよね。
何かをきっかけに、健康に興味を持ったり、
今の食生活の問題点に気づいて勉強すると、
そういう人って真面目なので、
肉をやめたり添加物に神経質になったりする。
でも結局、お肉を食べたくなったりして、
罪悪感を抱えた迷子の人たちがいっぱいあらわれてしまう。
で、ウチで落ち着くっていう人はけっこういます。
「好きなものと一緒に、玄米を食べればいいんだよ」とか
「健康って70点でいいんだよ」って伝えてあげると、
「はあ、良かった」、「これを求めてたんだ」と安心するみたいです。
ほぼ日
70点でいいよっていうのは、すごく安心しますね。
荻野
12年前、蔵前のお店からスタートして、
最初から変わらず、お昼は玄米定食。
夜はガラッと変わって、季節料理と、
日本のいい日本酒、いいワインが中心の、
飲める料理屋さんというかたちです。
全国の伝統製法などのいい調味料や食材の
店頭販売とネット通販もやっています。
ほぼ日
すごく間口が広い感じがします。
とはいえ、
白米が好きな人、やっぱり多いと思いますし、
玄米って、何がいいの?って言われませんか。
荻野
これがなかなか難しいところですね。
いちばんの違いは、玄米って、
白米と比べて、カロリー・糖質はほぼ一緒なのに、
副栄養素と言われるビタミン・ミネラル・食物繊維が
2倍から12倍ぐらい含まれています。
副栄養素は、健康的に消化・吸収・代謝をするうえで
絶対に必要な栄養素なんです。
分かりやすいのは食物繊維で、玄米は白米の6倍あります。
この6倍の食物繊維があることで、いいウンチが出ます。
他にもいろいろな栄養素が複合的に働いて、
健康体をつくるベースが上がるようなイメージですね。

今、健康食品とかサプリメントが多くあって、
「目にはブルーベリー」、「膝にグルコサミン」みたいに、
「何が何に効く」っていう思考になりがちですけど、
全体的な健康を作るのが大切だと思います。
それには、微量な副栄養素が何種類も必要なんですよね。
野菜とか海藻とかキノコとか、それこそ玄米とか、
そういうものを食べることでも摂取できるので、
説明が難しい部分ではあるんですが、
おいしさと合わせて伝えていくしかないと思っています。

みんな、カロリーと糖質は気にするんですけど、
副栄養素ってあんまり気にしないんですよね。
これも知ってる人が少ないんですけど
副栄養素がたくさん入ってる食事と、
ほとんど入ってない食事が、
カロリーも糖質も一緒だったりするんですよ。
ほぼ日
そうなんですか。
荻野
白米と玄米で言えば、
同じ180グラムのごはんを食べたときに、
糖質もカロリーも全く一緒なのに、
玄米には副栄養素が含まれています。
白米って、玄米を削って削って削ったものですよね。
その削った部分、皮と胚芽と糠に、
ビタミン・ミネラル・食物繊維っていう
すぐれた副栄養素がある。
それをわざわざ削って捨ててしまうのは
もったいないと感じています。
だから、同じカロリーなのに、
こんなに栄養素が違う食材があるっていうことを
知ってほしいなという思いが、すごくあるんです。
そして主食を玄米にしましょうと。
おいしい食べ方も提案していますから。
ほぼ日
「寝かせ玄米ごはん」のパックは取り入れやすいですね。
荻野
冷凍のごはんパックを創業すぐにつくったんですが
システムが確立していなくて、
たくさんは作れませんでした。
それに冷凍だと、冷凍庫に頑張って入れても
10個が限界で、持ち運びもできない。
だから常温保存できるパックはずっとつくりたくて、
自社工場をつくったのが、2014年です。
常温保存で賞味期限1年のごはんパックができて、
そこから一気に広がりました。
ほぼ日
自宅で「寝かせ玄米ごはん」を作れるキットも
販売されてますよね。
荻野
はい。
圧力鍋と保温ジャーがあれば、ご自宅でも全然できますよ。
毎日食べたい人は、ごはんパックだと
便利だけど経済的に難しいと感じる人もいる。
書籍で炊き方を紹介していますし、
店でやってる寝かせ玄米炊き方教室は、毎月2回、
もう10何年ですけど、ずっと満席なんです。
炊き方もどんどん伝えるし、
面倒くさい人にはごはんパックも用意するし、
「いろんな手法を用意するから
寝かせ玄米を食べてください」
という気持ちなんです(笑)。
ミッションは世の中の主食を玄米にすることなので、
玄米を食べる人が増えればいいんです。
ほぼ日
玄米の伝道師みたいな感じですね。
荻野
世の中の主食を玄米に変えて、健康問題を解決したい。
その健康問題の先に、伝統産業とか、
持続可能なライフスタイルとかがある、
そういう商売がしたいな、
というので始まったのが、2009年です。
そのときから今も、
やりたいことっていうのは変わってないんです。
ほぼ日
ありがとうございます。
次は、今回ご紹介するアイテムについて
お話を聞かせてください。
(つづきます。)
つきのみせ。「わたしが心地よく過ごすヒント。」
結わえる

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