スタイリング 伊藤まさこ  撮影 有賀傑  協力 pand
  • タオルのヘム(短辺の端)にほどこされた、
    カラフルで、かわいらしい刺しゅう。
    ちょっとゆがんでいたり、ななめだったり。
    この独特の「ゆらぎ」のあるデザインは、
    “お直し”の横尾香央留さんによる
    手刺しゅうを原型にしたものです。
    横尾さんが一針ずつ手で
    刺しゅうしたものをオリジナルとして、
    タオル工場の熟練した職人さんが忠実に再現、
    手仕事ならではのニュアンスを、まるごといかし、
    機械刺しゅうとは思えないほどに、
    やわらかく、かわいらしく仕上がりました。

「ふだん刺しゅうをする布は、
 こんなふうに黒っぽいものを使うことが少ないんです。
 それだけに、ふだんは使わないような色の糸を選んだり、
 竹炭を使った染色ということで、
 “竹っぽさ”をデザインすることを考えました」

という横尾さん。
そうなのです、この、
光を吸収するかのようなやさしい墨色は、
「ボタニカル・ダイ」といって、
植物から抽出した色素を使って染めています。
孟宗竹の炭の粉末を水の中で何度も粉砕、微粉にして、
“お守りの木”とも言われるログウッドの色素と合わせ、
この色を表現しました。
ひとつの色のなかに、ひとの目で見える幅をこえた
200種もの色素が入っているため、
奥行きのある色合いに仕上がっています。
そして、ほかの染料にくらべて、すこしだけ、
さわったときのやわらかさも、増しているんですよ。

さて、そこにほどこされた、
横尾さんの刺しゅうのデザイン。
一見、抽象的に見えますけれど、
よく見ると、竹が節で区切れているところや、
笹の葉などをモチーフにしているのがわかります。
竹、というと、和風あるいは
シノワズリのイメージのある素材ですが、
横尾さんの手で、なんともかわいらしく、
素朴で独特な印象がうまれました。

「糸の色えらびも、ふだんよく使う地味なものでは
 タオル地の色に沈んでしまうんです。
 あえて明るめのはっきりした色を選びました。
 墨色とのコントラストが、
 民族衣装に使われるような色あいにも思えますよね」

たしかに、刺しゅうという手仕事と、
ビビッドな色の糸が組み合わさって、
アジアや中南米にもありそうな印象もあります。

「バンブー」をふくむ
やさしいタオルの冬のコレクションは
2015年12月17日(木)販売スタートです。
もうすこし、おまちくださいね。

撮影協力:AK Labo

(カコミ)
横尾香央留の『プレゼント』展
2015年12月22日(火)〜24日(木)
11:00 - 19:00
※22日のみ17:30まで2015年12月22日(火)〜24日(木)
11:00 - 19:00
※22日のみ17:00まで

東京・南青山のTOBICHI2で
横尾さんの書籍『プレゼント』
復刊記念の展示を行ないます。
この本は、横尾さんが以前出版したものに、
8作品をプラスして増補改訂したもの。
TOBICHI2ではその作品を展示するほか、
ワークショップ「はがきに刺しゅう」もおこないます。
クリスマスやお正月、お祝いごとのメッセージカードを
横尾さんの指導のもと、つくることができますよ。
ひとり30分ほどのレッスン、予約不要、参加費は1500円
(横尾さんの刺繍をプリントしたポストカード4枚つき)です。
(満席のときはすこしお待ちいただくこともあります。)
くわしい情報は、TOBICHIのページでごらんください。

ボタニカル・ダイ
いろんな刺しゅう バンブー

“お直し”の横尾香央留さんの手刺しゅうを原型に、
ヘムの部分に、とくべつな機械を使って
こまかな刺しゅうをほどこしたデザインです。
タオルの地の色を染めるのに使ったのは竹炭とログウッド。
一見、チャコールグレイの単色に見えますが、
じっさいにはとても奥行きのある、
深い色合いに仕上がっています。

[4サイズ展開]ハンドよこなが720円、ハンド875円、フェイス2160円、バス5940円

2015-12-15-TUE