今回は「着ると、凛とした気持ちになれる、
きれいで、気持ちのいい服を。」というの大切に、
たくさん着たくなる、欲しい服をつくりました。
テーマは特にありませんが、
撮影場所を選ぶときも、
私が大好きなイタリアの画家、
ジョルジョ・モランディが
静物画を描いたアトリエの光をイメージしました。
静かな空気感やムードを
着た人がちょっとでも感じられるといいなと‥‥。
けど、みなさん自由に着ていただきたいです!
一枚で着てもきれいなもの、主役になる服というものはあって。
それから、どの角度から見てもきれいなデザインの服とか。
お洋服を着たときって、
朝、出かけるときに全身鏡でチェックをするけれど、
生活をしていると、座っていることがすごく多いです。
人と会って会話をするときも上半身を見て話しますよね。
そして、スタイリングの仕事で、
女優さんのインタビュー記事の撮影のときとか、
アップの写真が多いから、
上半身になにかポイントがあるものを選ぶこともあって。
そんなわけで、立っているときも、座っているときも、
後ろ姿もすてきなデザインにしようと。
それでつくったのが、ディッキーフロントシャツです。
胸元に切り替えのデザインあって、
ボリュームのある袖。手首はきゅっと細く。
それから、ほかに見かけないデザインのものが、
新鮮でたのしいと思って。
ウイングシャツがそうですね。
もともとTHEFACTORYでつくられていたものを、
アレンジしました。
THE FACTORYとの出会いは、
雑誌のカフェ取材のページだったんです。
THE FACTORYのデザイナーのシルバさんは、
パン屋さん、ライフスタイルショップ併設のカフェ
「ラ・ヴィア・ラ・カンパーニ」のオーナーでもあって。
そこに並ぶオリジナルのお洋服のブランドが
THE FACTORYだったんです。
ラ・ヴィア・ラ・カンパーニに取材でうかがったときに、
ちらっとお洋服を見て
「なんだ、このすてなお洋服は! 知らなかった!」思って。
その後、ファッション誌の撮影にお借りするようになりました。
「ほぼ日」でも、水沢ダウンや、
Ponte de pie!の撮影のときによくお借りしています。
THE FACTORYの服は、
ヨーロッパ ヴィンテージの良さを知っている方が
つくっている服だな、と。
ヨーロッパ ヴィンテージの「味」がありつつ、
デザインに新鮮さもあるところがいいんです。
それから、ものすごく細かいタックづかいもよくされていて。
「縫製屋さん泣かせ」だろうな、と想像しちゃう
凝ったディテールのある服って、魅力的なんですよね。
素材の選び方も自由でおもしろいんです。
たとえばSilvaバッグは、
フランスのヴィンテージのベッドリネン生地を使って、
まるでレザーのボストン型の
ボーリングバッグのようなつくりをされています。
この持ち手も縫製工場さん泣かせですねえ。
THE FACTORYは、
ヴィンテージのワークウェアを再現した服も
時々作られていますが、
仕事着ルーツの中に、
シュッとしたエレガントな美しさがあって。
ハイファッション的なフォルムの服にも、
ワークウェアがソースになっているからか、
少しだけ牧歌的なやわらかさがあります。
だから親しみがもてて、ふだんの装いになじむんですね。
そういうバランスがすてきだなと思っていて。
「ほぼ日」さんから、お洋服をつくりましょう、
とお声がけいただいたときに、
ぜひTHEFACTORYさんとつくりたいと思いました。
お願いしたら、シルバさんに快諾いただけて、実現しました。
すごくうれしかったです。
今回、担当してくださったTHE FACTORYの原さんとは
好きな服の感じがすごく似ていて。
2人とも、ディテールにちょっとしたポイントがあって、
マニッシュな仕上がりのシュッとした服が好きで、
ヨーロッパのヴィンテージの服や軍モノのディテールも好き。
服づくりのときも、たのしかったですね。
今回、ワイドパンツ以外のすべてのアイテムは
タイプライタークロスをつかいました。
「凛とする」をかなえてくれるきれいな生地です。
ぱりっとしたはりのあるコットンで、
名前の由来はタイプライターの文字が打てるくらいに
高密度で織られているから、という説があります。
綿の繊維が密に織り込まれているので
保温性もあって、じょうぶ。
そして、このタイプライタークロスは、
THE FACTORYのオリジナル生地で、
縦糸と横糸の番手を変えてあって、
ぱりっとしているけれど、 着やすいんです。
自然なシワも味ですし、
もちろんアイロンをかけて、きりっと着てもOKですよ。
タイプライターって元々は
上質なメンズのシャツ生地として使われることが多かったので、
季節を問わず着てだいじょうぶです。
昔と違って、秋冬シーズンは薄手は着てはダメとか、
濃色を着なくちゃってことはないと思うんです。
コットンや白も、ニットや厚手のウール混のタイツと合わせて
すてきなコーディネートができます。
ワイドパンツはどんなトップスと合わせも、
モダンな印象に着こなせるブルー、1色勝負にしました。
素材やディテールにこだわってつくっていたら、
どこから見てもすてきで、
着ると、シュッと気持ちが盛りあがる服ができました。
轟木節子さんとTHE FACTORYがコラボした服は
10月18日(木)午前11時から販売開始です。