あのひとの「ほぼ日手帳」 004 外食コンサルタント サカキシンイチロウさん WEEKSが「貼る」手帳として大活躍。アイデア満載、サカキさんのつかいかた。

「ほぼ日」の、長年にわたる人気コンテンツ、おいしい店とのつきあい方サカキシンイチロウさんの今年の手帳がすごいらしい、と聞きました。2013年はWEEKSを選ばれたそうなのですが、「WEEKSだけど、いろいろ貼って使っている」「エルメスの文具と合わせている」など、その噂だけで、すでに面白そう。取材させてください、とお願いしたところ、快く「いいですよ」とお返事いただき「ほぼ日」に来てくださいました。そして、お持ちくださった手帳には、参考になりそうな工夫がたっぷり!お聞きした話、余さず、ご紹介します。

おいしい店とのつきあい方

「貼る手帳」としての「ほぼ日手帳」の可能性を、一気に拡げてくれた人。

サカキシンイチロウさんには、
実は、以前にも何度か、
「ほぼ日手帳」の使い方を
取材させていただいたことがあります。

なかでも「ほぼ日」の手帳チームにとって
大きなきっかけをいただいたのが、
書籍『ほぼ日手帳の秘密』のときの取材。

ほぼ日手帳の秘密2007掲載の写真

そのとき見せていただいた手帳。
見事な『スクラップブック』になっていました。

『ほぼ日手帳の秘密』を担当したトミタ
こう語ります。

「初めてサカキさんの手帳を見たとき、
 衝撃を受けました。
 その頃はみんな、今よりもっと、
 『手帳はスケジュールを書くものだ』
 と思いこんでいたんです。

 だけどそこに、サカキさんによる
 素晴らしく完成度の高い、
 『スクラップブックのような手帳』が登場した。
 そんな手帳を見たことがなかったので、
 驚くばかりでした。
 それをきっかけに、ほぼ日手帳は
 もっと楽しめるということが
 いっきに見えてきたんです」

今回の取材でまず、
当時の手帳について、
サカキさんにお聞きしてみると、
こんなお返事をいただきました。

「当時は『ぼく、手帳が仕事なの?(笑)』というくらい
 時間をかけていました。
 いろいろ貼っていたのはもちろん、
 常に文房具セットを持ち歩いて、
 ああしよう、こうしてみよう、と
 様々なことを試していたんです。

 スプレーでデコレーションしてみたり、
 2つのページをつなげて
 手帳の中に収納袋を作ったり。

 オリジナルって、いろいろできてしまうから
 どんどん遊んでしまうんですよね。
 もともと、工夫が好きなほうでもあるので」

淡々と話されていましたが、
「スプレーでデコレーション」
「ページをつなげて袋をつくる」など、
かなり、独創的な使い方。

では、そんなサカキさんは、
WEEKSをどのようにお使いなのでしょうか。
今の手帳についても、詳しく教えていただきました。

WEEKSも「貼って」たのしめる。

サカキさんの今年の手帳はWEEKSですが、
使い方は、オリジナルをお使いだったときと、
変わりましたか?

「そうですね‥‥。
 たくさん『貼って』使っている、
 という意味では同じかもしれません。

 ただ、オリジナルと比べると
 WEEKSはスペースが少ないので、
 同じような使い方だと、まったく足りません。 
 でも、そのぶん、貼るものや書くことを
 『厳選』するようになりました。

 制限があると、創意工夫するじゃないですか。
 それも面白いんです。
 
 飛び抜けて大事なものだけしか貼れないから、
 自ずと、手帳の中身も濃くなりました」

今のWEEKSに貼られているのは、
具体的には、どのようなものなんでしょう?

「出かけて楽しかった場所のチケットも貼るし、
 いつか行ってみたいお店の情報や
 欲しいものを貼っておいたり、いろいろです。

 これはこの前の
 『サロン・ドゥ・ショコラ』のときのもの。
 チョコレートの香りが、まだちょっと残ってます」

サロンドゥショコラのページを開いている写真

確かに、かすかにチョコレートの香りが。
香りのあるものを手帳に貼るのも、
いいですね。

「写真もよく貼っています。
 デジタルカメラで撮ったものを、
 カメラ屋さんや、家電量販店にあるプリント用の機械で
 小さく出力するんです。

 この方法、おすすめですよ。
 とても綺麗に出力できるから、
 あとで見返したときに嬉しいんです」

6枚の写真が並んでいるページの写真

並んでいるちいさな正方形の写真が、
カメラ屋さんの機械でプリントしたもの。
非常に綺麗でした。

「スクラップブック」であるとともに、「スケジューラー」でもある。

手帳に、スケジュール等は書きますか?

「全部ではありませんが、書くこともあります。
 スケジュール管理は基本的に
 iPhoneなのですが、
 大切なスケジュールは、ここにも書くんです。

 あと、予定を入れるときに、
 いちどまず手帳に書いておいて、
 後にiPhoneに入れたりもします。
 仕事の場で予定調整をするときに
 iPhoneだと失礼にあたるような場合もあるので、
 そのときは、手帳をつかいますね」

なるほど、サブの「スケジューラー」といった
使い方ですね。

「ただ、そんなふうに
 スケジュールを書くことはあるんですが、
 予定は終わってしまうと見る必要がないので、
 週が終わると、
 『スクラップブック』のように
 そのページに、週の楽しかったことを
 貼っていくんです。

 思い出に残る写真とか、
 行った展覧会のチケットとか。
 あとで見返したいな、というものを、
 スケジュールの上から」

「白隠」展のページの写真

‥‥あ、上から!

「そう、楽しいことが、
 どんどんページを覆っていくんです」

ということは、
週が終わるまでは
『大事な予定が書かれたスケジューラー』で、
週が終わると
『楽しかったことのスクラップブック』になる、
ということですか?

「厳密に決めているわけではないですが、
 そんな感じですね。
 
 こうすると1年の終わりには、
 見たときに嬉しいことばかりが詰まった
 手帳ができあがるんです」

確かにそれは、嬉しい!
スペシャルなスクラップブックですね。

「あと、このページはぼくの誕生日の週で、
 友人たちがお祝いをしてくれたんだけど、
 ここはもう、特別なページだから、
 わざと『でっぱらせて』貼っているんです」

オレンジ色のクマのカードのページの写真

あ、開きやすいように!

「そう。開きやすいのがひとつ。
 それと理由はもうひとつ。
 手帳がデコボコしているのって、
 うれしいんですよね。
 『これだけ生きたんだ』という感じがするから」

「貼る手帳」の嬉しさって、
そういったところにもありますね。

手帳を「切ったり」「統合したり」。

見せていただいて思うのが、
サカキさんの使い方の特徴のひとつに、
「ページを切る」というのもありますよね。

これは、どんなときに切られているんでしょう?

「申し訳ないと思いながら、
 使わないページは、切ってしまうんです。
 自分がまったく使わない
 『月間スケジュール』とか『メモページ』とか。 

 ぼくは手帳にたくさん貼るため、
 いつも、どうしても分厚くなるから
 その対策でもあるんです」

切られているとはいっても、
丁寧に切ってあるので、
とても自然な印象がありますね。

「2つのページを糊で貼って、
 『統合』してしまうことも、よくあります」

なるほど。貼ってくっつけてしまう。

「そうなんです。ぼくの手帳の使い方は
 『あとで見返したときにゴキゲンになれるように』
 というのがモットーなので、
 『ここは見返さなくていいや』
 というページは、貼ってしまうときもあります。

 どのページをめくっても
 ゴキゲンになれる手帳にしたいな、と思うので」

切ってあるページの写真
カッターつきのハサミと小さなのりの写真

カッターつきのハサミと小さなのりは
いつも持ち歩いているそうです。
このハサミは「まっすぐ切れていいですよ」とのこと。

ほかの手帳のグッズと、合わせても楽しい。

今年のWEEKSには表紙がいろいろありますが、
サカキさんが選ばれたのは、どちらですか?

「最初にたくさん買ってみたのですが、
 最終的には
 ホワイトライン・ブラックになりました。
 選ばなかったものは、友達にあげてしまって。

 決め手は、この表紙の柔らかさです。
 たくさん貼ることで
 ぼくの手帳は絶対に分厚くなるので、
 ソフトカバーがいいな、と思って」

確かにものすごく分厚くなっても
折れることがないから、いいですね。

「そうなんです。
 そして、カバー・オン・カバーをつけた上に、
 黒のパスポートカバーを装着。
 その上に、WEEKS用ブックバンドをして
 使っています」

そして、そちらのオレンジ色のしおりと、
ノートがエルメスの‥‥。

「はい、どちらも
 エルメスが出している手帳のグッズなんですが、
 使い心地も好きだし、
 サイズがちょうど合うんです。

 このしおりは、ページを
 しっかりホールドしてくれるのがいいところ。
 ノートは無地で、
 雑多なアイデアを書き留めるのに使っています。
 サイズがちょうど良くて、
 ページがちぎれるので、使いやすいですよ」

確かに、あえて別の手帳のグッズを合わせるのも、
「自分の手帳」という感じがして、いいですね。

エルメスのしおりの写真
エルメスのノートの写真

持ち歩くペンにも、ちゃんと理由がある。

定番でお使いのペンなどはありますか?

「基本的にはシャープペンシルと、
 グレーのペン、オレンジのペンの3本を
 携帯しています。

 ペンの色にグレーを選んでいるのは、
 シャープペンシルで書く文字の色と、
 同じ色にしたいからです。
 黒だと濃すぎるんです。
 紆余曲折の果てに、この3本になりました」

ペンの写真

パスポートカバーの背の部分にも、1本
小さいペンを入れていらっしゃいますね。

「これは、サインをするときなどに使っています。
 手の中にすっぽり入って、
 書くときに目立たず、邪魔にならないサイズだから
 海外では『女性秘書は、これを持て』
 というようなサイズなんですよ。

 ライターなどを作っているデュポン社のものですが、
 使いやすくて、昔からけっこう重宝しています」

ペンの写真

白いページも、幸せな日。

非常に手帳を使いこなしてくださっている
サカキさんでも、
まったく手帳を書かないときって、ありますか?

「それは、もちろんありますよ。
 いろんな週があるので」

ぼくら、ときどき「ほぼ日手帳」を
うまく使いこなせない、という声を聞くんです。
サカキさんはとてもたのしく
使ってくださっている印象があるのですが、
それは、どこがポイントなんでしょう?

「そうですね‥‥。

 そういえばぼく、
 友人たちに『ほぼ日手帳』をあげると、
 半分の人は楽しく使ってくれるけど、
 半分の人が挫折しているんです。

 その挫折の原因って、きっと、
 白いページに
 『私って、こんなにズボラだったんだ』と
 思っちゃうからなんだと思うんですよね。

 でも、何もないときは書かなくていいと思うよ‥‥
 とは、ときどき思います。
 『スケジュールがないって幸せ』
 と思えばいいと思うんですけどね。

 何も書いてないことが素敵、という週だって、
 あると思うんですよ。
 ぼくにはありますし。お休みのときとか」

たしかに「スケジュールがないって幸せ」とか
「何も書いてないことが素敵」というのは
いい視点ですね。
実際に、そうですよね。

「そう、今、スケジュールは
 iPhoneでも管理できるところを
 せっかく手帳を使っているわけですよね。

 あえて使っている手帳なんだから、
 みんな、自分がいちばん楽しくなるように、
 使うといいと思うんです」

来年は、どうしようかなあ‥‥。

今年、WEEKSを使われてみて、
今の段階だとサカキさんは来年、
どの手帳を選ぶと思いますか?

「来年はどうしようかなあ‥‥。
 ちょっと気になっているのが『2冊づかい』です。
 だから、カズンが気になっています。
 あと、同じく気になっているのが
 『&こども』。
 ゴムで留められて、横に拡がるというのが
 どんな使い心地なのか、試してみたいというのはありますね。
 
 でも、いろいろやってみるのが好きだから
 もしかしたら来年は、自作カバーとか
 作っちゃってるかもしれない。
 きっと楽しいですよね。

 来年の手帳はどうなるか、まだわからないけど、
 どの手帳でも、すごく楽しんでいるとは思いますよ」

たくさんの質問をさせていただきましたが、
終止穏やかに、楽しく、答えてくださいました。
サカキさん、どうも、ありがとうございました!

イラストは「おいしい店とのつきあい方。」からお借りしました。

2013-03-29-FRI