ドワーフさんの「たのしんで、やる」ものづくり。

みなさん、もう見ていただけましたでしょうか。
ほぼ日手帳「day-free(デイフリー)」に入っている
かわいいおばけのパラパラマンガ。
このマンガとムービーを作ってくれたのが、
「どーもくん」や「こまねこ」などの作品で知られる
アニメーション制作会社のドワーフさんです。
今回はじめていっしょにお仕事をしながら
ドワーフさんの「たのしんで、やる」パワーを
びしびしと感じた手帳チーム。
人の目にとまるキャラクターやアニメーションが
日々どのように生まれているのかを見せてもらいに、
西東京・秋津にある撮影スタジオにおじゃましました。

もくじ
もくじ
  • 1:1日5秒の世界。
  • 2:どーもくん。
  • 3:ぎらついた目で。
 
 
プロフィール
プロフィール
 

2:どーもくん。

撮影後、ミーティングルームに移動してインタビュー。左手前が合田さん、左奥が松本さん。

ほぼ日
ドワーフさんといえば、
有名な作品が「どーもくん」ですよね。
どうやって誕生したんですか。
合田
ちょうどNHKのBSが10周年のときでした。
それを記念するキャラクターを探しているという情報を
松本が聞いてきまして、なにかやってみようか、と。
まわりのCGのアニメーターやイラストレーターなど
いろんな人にキャラクターを作ってみてもらって、
70個ぐらい出し合った案のなかから
みんなで話し合って10個ぐらいにしぼり、
NHKに持っていったんです。
その中に、ぼくが描いた「あれ」も入っていて。
ほぼ日
その中から選ばれたんですね。
どーもくんって
似たようなキャラクターがいませんよね。
そもそも何かのかたちなんですか、どーもくんは。
合田
いえ、全然なにも考えていなくて(笑)。
ほんとにもう、そのときにいろんな
キャラクターを描いてみたんですけど、
どれもしっくりこなくて、尽き果てまして。
夜中の3時、4時になってきて、
明日の会議で何か出さないとヤバイというときに、
丸を描いたり、三角を描いたり、
四角を描いたりしていたら、ポロッとあの顔ができて。
それを取り囲んでみたら、
何となくストーリーがあるような感じがしたんです。
ほぼ日
最初に顔が生まれて、
そのあと輪郭ができたんですね。
合田
そうです。そこから無理矢理
企画書みたいなものを作ったので、
自分では何かって聞かれてもわからないんです(笑)。
NHKのかたは、明確に
テレビのかたちだと思ったみたいですが。
ほぼ日
たしかに、テレビのおばけみたいな
感じにも見えますね。
あと、どーもくんは名前がいいですよね。
最初に、落書きのように描いていたときから
名前は決まっていたんですか。
合田
いえ。NHKさんから
名前を考えてくださいと言われて、考えました。
NHKは当時わりと真面目で堅めなイメージがあったので、
フレンドリーなイメージに近づけるのが
キャラクターの役目かなと思ったんですね。
どうしようかなと考えていたときに、
隣の席にいた人が電話をしてまして。
ほぼ日
ええ。
合田
「ああどうもどうも、
 ああ、この間はどうも。
 またどうもー」
ほぼ日
(笑)
合田
これはすごいぞ、と。
「どうも」しか言ってないのに、通じてる。
ほぼ日
「どうも」って、すごい日本語ですね。
合田
よし、これだ! って。
ほぼ日
どーもくんって、
何年前に生まれているんですか。
松本
1998年の年末にデビューしているので、
ちょうど20年ぐらいです。
ほぼ日
20年。ほぼ日と同じぐらいなんですね。
ぜんぜん古びた感じがしない
キャラクターですね。
松本
そうですね。
あっという間に20年、
経ってしまいました(笑)。
ほぼ日
合田さんのキャラクターは、
どこからどのように、生まれるんでしょうか。
合田
たとえば黄金比のようなものがあって、
そこにに当てはめるとかわいくなる
みたいな方法論は、ないんです。
こうやって、ノートとかに
ああでもないこうでもないと描きながら‥‥
頭はフリーにして、手だけ動いてて、
その中から見つけていくという感じですかね。

合田さんが使っているノート。day-freeのムービーに出てくるくじらのスケッチが描かれています。

ほぼ日
方法論は、ない。
合田
考えてもなかなかわからないというか、
頭の中でギューンと
かたちができるわけではないんです。
たとえば猫だったら、描いてみて、
目をちっちゃくしてみようとか、
大きくしてみようとか、
太らしてみようとか、痩せさせてみようとか、
3本足だったらどうなんだろうとか。
ほぼ日
どーもくんが、まさにそうでしたものね。
合田
ええ。
ほぼ日
松本さんはいかがですか。
ドワーフという会社に
「キャラクターを作ってほしい」
という依頼がくることもあると思うのですが、
プロデューサーとして
どういうところを大切にしていますか。
松本
企業のキャラクターなのか、
映画やアニメのキャラクターなのかによっても
違うんですけど、
やっぱり、バックグラウンドや物語が
大事かなと思っています。
ほぼ日
物語。
松本
どーもくんの提案のときもそうでした。
多くの人は紙1枚にぺらっと
キャラクターを描いてきたんですけど、
合田の提案は最初の3枚ぐらいまで、
こんなところに住んでいて、
こんな人がいて‥‥というものが描かれていて、
どーもくんがなかなか登場しなかったんです。
で、4枚目をペラッとめくって、
「あ、いた」っていう。
ほぼ日
まず、背景から
キャラクターを紹介したんですね。
松本
ただかわいい絵、というのとキャラクターの違いは
そこなんじゃないかなと思います。
キャラクターっていうからには、
どういう性格で、どういう環境で生きてる子なのか
答えられないといけないなと。
ほぼ日
はい。
松本
もちろん、環境やバックグラウンドを
あえてナシにするケースもありますが、
そういう位置付けまでを考えて作るのが
いいんじゃないかなと思ったりはします。
‥‥でもやっぱり、合田が言っていたみたいに
必勝パターンはないんですよね(笑)。

(インタビューは、明日につづきます)

月間ノート手帳「day-free」発売記念ムービー
監督・キャラクターデザイン・アニメーター
合田経郎
プロデューサー
松本紀子
文字
駒﨑友海
撮影・編集
杉木完
音楽
いいのまさし
制作
平松桃