●最初は”考えるジャム”だった。

じつはこのミックスジャムのシリーズには当初、
”考えるジャム”という名前がついていました。
小菅くみさんのつくってくれた
いろんなジャムを初めて食べたとき、
「何が入ってるんだろう?」などと
いろいろ考えるのがおもしろかったんです。
そこから決めていった名前でした。

ただ、しばらく”考えるジャム”と呼んでみて、
だんだん、違うかもしれないと思いはじめました。
「考える」というのが
批評しながら映画を見ているみたいで、
どうも気になってきたんです。
たしかにぼくは食べたときに
「どの材料が何パーセントかな?」とか、
ジャムについて考えるのをたのしんでいました。
そんなふうに考えるのも、たのしいジャムなんです。
だけど、このジャムについて、
食べる人たちみんなに「考えて」ほしいかというと、
そうじゃない。
自由にたのしんでもらえたら、それでいい。
この名前だと、変に「考えなきゃ」と思ったり、
せっかくのおいしいジャムが
たのしみづらくなるかも‥‥と思ったんです。

それで、しばらく考えてみてたどりついたのが、
“感じるジャム“という名前でした。
振り返るとぼくは「考える」のと同時に、
このジャムならではの味わいを
「感じる」ことがたのしかったんです。
豊かな「感じる」があったから「考える」もできた。
食べてくれる人たちに
このジャムの味わいを感じてほしいというのは
すなおな思いとしてあります。
そんな過程を経て、”感じるジャム”に決めたんです。

●“感じるジャム”は、どうおいしいか。

一般的にジャムが「あんまりおいしくない」とか
「わたしはつけなくてもいい」とか思われる原因って、
マンネリな味がするから、ですよね。
多くのジャムって、わりと食べながらちょっと
「つまんない」ところがあるんです。
”おらがジャム”はくだものの複雑な味わいが
しっかり残っていておいしいけど、
たとえば、ふつうに売っているジャムを
パンの上にいっぱいのせてもらっても、
うれしくないでしょう?
あれはやっぱり「単調でつまらない」。
そういうことなんだと思うんです。

だけど”感じるジャム”は
すくうたびに中身がちがうし、
ひとさじのなかにも味の変化があるから、
食べたとき、口のなかがたのしいんです。
もっと味わってみたくなる。
「どうしてこうさっぱりしてるんだろう?」とか
「今のはラズベリーが香ったのかしら」みたいに、
考えも、いろんな方向にひろがっていく。
パンにのせたり、ヨーグルトに入れたりすると、
またそれぞれにおいしくて、
「あれ、これ何のジャムだったっけ!」
と思ったりもする。
このジャムを食べる人たちには、
その感じを、味わってみてほしいんです。
それぞれのくだものが
「わたしもいます、わたしもいます」って
言っているのを、感じてみてほしいんです。

●会話のはずむジャム、うれしいジャム。

また、ミックスジャムである”感じるジャム”は、
会話がはずむジャムでもあります。
「わたしはこんな印象だった」
「これ、なんの味だろう?」とか、
家族や友人、みんなで一緒に食べると
会話からさらに「感じる」がおもしろくなる。
舌で感じて、会話で感じて。
そんなたのしみかたのできるジャムなんです。

第1弾は「みっくすベリージャム」。
小菅くみさんとサンクゼール社の力を借りて、
とびきりおいしい、感じるのもたのしい、
5種類のベリーを使ったミックスジャムができました。
ぜひ、このシリーズならではのおいしさを
感じてみてもらえたら、うれしいです。

2015-02-04-WED