ほぼ日の水沢ダウン2021《秋の抽選販売》 ほぼ日の水沢ダウン10年めの冒険 02 112枚のちいさな絵それぞれの、111のちいさな物語。 ほぼ日の水沢ダウン2021《秋の抽選販売》 ほぼ日の水沢ダウン10年めの冒険 02 112枚のちいさな絵それぞれの、111のちいさな物語。
2012年にはじまった「ほぼ日の水沢ダウン」は、
今年(2021年)で10年めを迎えます。

ひとつの節目だし、せっかくだから、
特別なものをつくってみたい。
いままでとちがう風景が見てみたい。
そう思いながらすすめた製品開発は、
最終的に自分たちでも意外な場所に着地しました。

そのささやかなチャレンジの足跡をたどります。
その日わたしたちは、完成した裏地のデザインを抱えて、
笹尾さんのご自宅をたずねました。
自分たちなりにベストを尽くしたこともあって、
その日の天気とおなじ、晴れやかな気分でした。



こじんまりとした、しかしさすがに瀟洒な
笹尾さんのお住いには、
「ちいさな絵」に描かれたアイテムが
そこかしこに並んでいました。
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「やあ、いらっしゃい。どう、できた?」



はい、できました。これです。
このページをご覧のみなさんも、ごいっしょにどうぞ。
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笹尾さん、ど、どうでしょうか。
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「うーむ‥‥」
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「いやあ、これは‥‥」
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「すっごく、いいね!」



わあ、ほんとですか。
ありがとうございます!



「すばらしい。びっくりした。
こんなふうになるとは、想像してなかったなぁ。
すごくうれしいです。
いやあ、なんか興奮してきちゃった」



ああ、よかった。
わたしたちも、うれしいです。
実は、絵だけ抜き出したのも試してみたんですけど、
やっぱり額入りのほうがいいかなと思いました。
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「ああ、こんなのもやってくれたんだ。
これもいいなぁ。
でも、うん、こういうのなら、ほかにもあるかもね。
やっぱり、さいしょに見せてもらったやつがいい」



そうですか、なんか、ほっとしました。



「実はこれ、むずかしいデザインだなと思っていたんです。
おまかせとは言ったものの、
ちょっと心配してたんだけど、だいじょうぶでしたね」



そう、たしかに、むずかしかったのです。
笹尾さんから112枚の「ちいさな絵」を受けとってからが、
わたしたちのほんとうの冒険のはじまりでした。



「ダウンのなかに、ちいさな絵の展覧会がある」
というコンセプトは、たいへんすてきですが、
実際にデザインするとなると話は別です。
写真に撮った112枚の「ちいさな絵」を
ただふつうに並べるだけだと、
なんだかシュールになってしまって、
洋服の裏地として成立しづらい感じがあるのです。



絵の部分だけを抜き出してみたりして、
つい逃げたくなってしまうのですが、
でも、それだと、つまらない。
デザインとして安定はするけれど、おもしろくないのです。
やはりまず、笹尾さんのコンセプトを信じ切らないと。
途中でそう思い直しました。



最終的に、絵が飾ってある感じと
洋服の柄みたいに見える感じのあいだが、
わたしたちが出した答えだったように思います。



これでひとまず、笹尾さんと手をたずさえて出かけた、
わたしたちのささやかな冒険はおわりです。



さいごに、せっかくの機会なので、
笹尾さんのアトリエを拝見させていただきました。
ブラインドごしに陽光がふりそそいで、
いかにも居心地がよさそうです。
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ちょうど秋の展覧会に向けて制作中とのことで、
「ちいさな絵」も、もうすこし数を増やすべく、
描きつづけていらっしゃいました。
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秋の展覧会でごいっしょするのも、とてもたのしみです。
笹尾さん、ありがとうございました!



(おわり)
笹尾さんが回想する、そのときのこと
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水沢ダウンチームから出てきた答えには、
もう、ほんとうにびっくりしました。
きれいだし、おもしろいし、ほかで見たことないし。
提案させてもらったコンセプトが、
お渡しした「ちいさな絵」を素材として、
こういうかたちになって出てきたのが、
すごくうれしかったです。
言いかたは妙かもしれませんが、
こんな突拍子もない裏地ができて、よかったなと。

コンセプトに思い悩んでいたとき、
そうだ、「ほぼ日」だったら、
思いきったことができるはずだと気づいて、
「ダウンのなかの展覧会」を提案したので、
その意味でも、いい着地点だったと思います。
2021-04-13-TUE