一本の糸から、思いをつむぐ。

tsuki.s デザイナー 末永津喜子 パタンナー 小澤花樹

予告05

フリルがついていたり、
体の線を強調するわけでもないし、ごくシンプル。
華美ではないけど、ちゃんと気分が上がり、
着た人がうつくしく見える。
なぜこんなに女性らしさが引き立つような、
着ていてうれしくなるような服を
つくることができるんだろう?

tsuki.s(ツキドットエス)の魅力をひも解きに、
デザイナーである末永津喜子さんと
パタンナーの小澤花樹さんのもとを訪ねました。

末永 津喜子(すえなが つきこ)

糸会社にて編物講師、ニットテキストのデザインを経て、
大手アパレルのニットデザイナーとなる。
2011年に自身のブランド tsuki.s を立ち上げ
現在にいたる。

小澤 花樹(おざわ はなき)

美術大学で版画を学んだ後、
アンティーク着物の販売や
アパレルでの経験を経て、tsuki.sの立ちあがりを共に手伝い、
現在にいたる。

体がよろこぶ。

──
以前にTOBICHIのイベントで
tsuki.sの服を扱わせていただきましたが、
そのときのお客さまの沸きように驚きました。
試着された人の多くが購入してくださるのを見て、
これはすごいぞ! と。
末永
ありがとうございます。
──
たとえばパンツ。
私たちスタッフも試着して、鏡の前に立って、
あらためてびっくりしたんです。
ラックにかかっているときは
ごくふつうのパンツに見えるのに、
はいてみると脚が長く見えて上品だし、
ひざの曲げ伸ばしも楽ちん! だし、
トップスにしても、tsuki.sの服はフリルがついていたり、
体の線を強調するわけでもないし、ごくシンプル。
なのに、なぜこんなに女性らしさが引き立つような、
着ていてうれしくなるような服を
つくることができるんでしょう。
服づくりにおいて、
どういうことを心がけていらっしゃるんですか?
末永
そうですね‥‥まず、体がよろこぶ服であること。
──
「体がよろこぶ」。
末永
いくらいい素材を使っても、デザインに凝っていても、
ストレスを感じてしまったら着たくなくなります。
素材選びからシルエットまで、
「着たときの心地よさ」をつねに意識しているんです。
──
たしかに。着ていて、本当に気持ちいいですよね。
イベントで試着されたお客さまも、
「わっ! 何これ?!」と驚いていらっしゃいました。
何枚あってもいいと、
色ちがいで買っていかれた方もいるぐらいです。
小澤
それはうれしいですね!
末永
それから、前にもお話ししたことですが、
tsuki.sの服は、いろいろなものに合わせられる
脇役のような存在でありたいと思っています。
レギュラーの服ではなくなっても、
クローゼットの中に残り続けているような。
よい素材を選んでいるので、
年月を重ねても生地がへたりにくいんですよ。
小澤
たまにお直しの依頼がくるのですが、
よくぞここまで! と私たちが感激するくらい、
着倒してくださる方もいらっしゃいますよ。
ネームのところにまで穴が空いていたりして、
本当にありがたいです。
末永
それがいいところでもあり、
私たちの物づくりの欠点でもありますね。
──
長持ちするし、飽きが来ないから、
なかなか次を買ってくださらない?
末永
そうですよね(笑)。
でも、長く着られるようなデザインではありますが、
流行を気にしていないわけではないんですよ。
ちゃんと“今っぽい”雰囲気を
もつように心がけています。
小澤
そうですね。決して過剰にはしませんけれど。
服一着で主張するのではなく、ほかの服や靴と
いっしょにコーディネートしてもらったときに
しっくりなじみ、今っぽさが出る服でいられることが
大事なことだと思っているんです。
なので「去年これがよかったからまたやりましょう」
という話が出ても、
「ちょっと手直しするところがありそうですね」
という話をお互いがして。
「これの下にボリュームのあるパンツをはきたいから、
2センチ着丈を短くするのはどうですか?」
とか。
──
ああ、なるほど。
微妙なバージョンアップをしている。
デザイナーの末永さんだけじゃなく、
パタンナーの小澤さんと、
何度もやりとりをしていることが、
tsuki.sの服づくりの特徴のひとつのように思えます。
末永
はい。小澤はパタンナーとして
だいたい何でもできるんですが、
やっぱり自分で着てくれているっていうのが大事ですね。
私もいろいろな会社を経験してきましたが、
やっぱりそこのデザイナーが手がけた服を
着なければわからないことは
たくさんありますから。
小澤
たとえば、最初にTシャツをつくるときは
パターンを引いて、生地を切ったり縫ったりしたあと、
まず、末永に着てもらうんです。そこで、
「袖がもう少し広いと女らしくなりますね」
とか、
「今だったらスリットを入れたほうがいいよね」と、
そういう意見を交わしながらつくり上げていっています。
末永
さらに、もうひとりいる外注のパタンナーさんの意見や、
展示会でお客さまから聞いたことを取り入れて、
毎年アップデートさせています。
レディースに関しては特に見直していますね。
たまに、イチから作り直したほうが
早いんじゃないかってこともありますが(笑)。

男は黙って畦。

末永
そんなふうに、レディースは
自分たちが実際に着るので、
楽しみながらつくることができるんですが、
メンズはそういうわけにはいきません。
ですから、理想像を念頭に置いてつくっています。
──
「理想像」!
それはどんなものなんですか?
末永
「男は黙って畦(あぜ)」(笑)。
──
「黙って畦」???
末永
男性には定番のニットを着てほしい、という意味なんです。
私の、今は亡き尊敬する先輩が
「男は黙ってネイビーを着る」と言っていたのですが、
それと同じように、普遍的なものこそ、
その人の個性を際立たせるのかなって。
畦のニットも、トレンドではないし、
よくあるもののひとつですが‥‥。
──
「その人の個性が着てくれる」ということでしょうか。
tsuki.sには男性のファンも多いですよね。
tsuki.sの服について熱く語っている
男性のブログも複数見つけました。
末永
「女性がつくるメンズ服」に
みなさん興味を持ってくださるみたいですね。
小澤
レディースでも、ちょっとメンズライクな部分があると
言われることもありますよね。
末永
そうですね。
いわゆる「女性的なデザイン」のものを扱っていないお店に
置いていただいていることが多いですね。
使われている素材に気をつかったりとか、
すっきり見える服を好む方に
気に入っていただけているようにも思います。

糸も生地も生きている。

──
tsuki.sの服は
着てみてはじめてわかる品のよさがあります。
華美ではないけど、ちゃんと気分が上がる。
あらためてお聞きしたいんですが、
そんなふうに着た人がうつくしく見えるデザインの、
最初のアイデアって、どんなふうに生まれるんでしょう?
末永
やっぱり自分が着るという意識からでしょうか。
1本1本の糸から、生地選びまで、目で見て判断するなかで、
自然に「ここをこうしよう」とアイデアが生まれてくるんです。
──
それが、誰もが美しく着られる服になっているのが不思議です。
末永
自分も「着る人」のひとりなんでしょうね。
──
逆に、難しいなと思うことは?
末永
やっぱり糸も生きているし、生地も生きている。
いいところを引き出して1着の服をつくっていくんですが、
「ああ、むずかしいな、生き物だな」とよく思いますね。
それでも、長い人生でもないですが、
いろんな失敗を経験して、
それを繰り返さないようにやってきた結果、
体が覚え、蓄積された経験と知識が、
いまの自分の教科書になっているように思います。
──
ひとつひとつ、自分で選び、自分で作られている、
というのがお話を伺ってよくわかります。
そして、お2人はいつも、とても楽しそうですね。
末永
ええ。楽しみながらやってますね。
服づくりはまだまだ奥が深いです。
わたしはニットを中心につくってきましたが、
部位によって生地が伸びたり伸びなかったりしますし、
色によっても伸縮率がことなったりします。
それを覚えていくことはすごく大変だけども、
そういうことが分かっている人は
少なくなってきているようにも思います。
小澤
そうですね。少なくなっていますね。
末永
いま世間ではデザイナーという人があまりいない状況でも
洋服が大量につくれるようになっていますが、
わたしは最初から最後まで見ていたいという想いがあります。
──
大きな会社だったらなかなか出来ないこと、ですね。
末永
そうですね。
「この糸だったら、こんな色で、こんな感じに輝く?」
みたいにずっと見ていてあげたい。
糸が一本あるところから
楽しみながらつくっていくということ、
これからもその姿勢で服づくりを続けていきたいですね。
──
末永さん、小澤さん、ありがとうございました。

ジャージーホワイトシャツ
¥22,000(税込・配送手数料別)

伸縮性のあるコットンのカットソーのボディに
パリッとしたブロード生地の襟と袖口を組み合わせた
柔らかで着心地が良いのに
きちんとした印象をあたえてくれる
一粒で二度おいしい、べんりなアイテム。

レディス
ウールフライスカーディガン
¥20,900(税込・配送手数料別)

ウールとは信じられないほどの、
さらりとした着ごこちのカーディガン。
かるくてかさばらないので、
「ちょっとはおるものを持っていこうかな」と思ったときに、
きっとお役に立てるはず。

レディス
ウールフライスハイネック
¥16,500(税込・配送手数料別)

うすい、かるい、でもあたたかい、
三拍子そろったハイネックのカットソーです。
1枚で着ても見ばえがいいし、
フライス編みによるフィット感のよさも
インナーとしての役割をじゅうぶんにはたしてくれます。
万能に使えて長く着られる、
コストパフォーマンスにすぐれた秀作です。

レディス
ダブルサテンパンツ
¥23,100(税込・配送手数料別)

ストレッチのきいた生地を使い、
ウエストの後ろがわにゴムが入った、
ストレスなく穿ける「ツキドットエス」で人気のパンツです。
フォーマルなパーティーからオフィスカジュアル、
ふだん着まで幅広いシーンで活躍してくれるはず。

シェアする