白井さん、秋冬のフィーロを語る どうしても、自分が感動した素材を えらんでしまいます。

FIRO BIANCO UNO 白井 賢治さん

春夏で大好評を博したFIRO(フィーロ)に
待望の秋冬アイテムが登場しました。
個性のちがう3つの素材の特長について、
代表の白井賢治さんが語ってくださいます。
わたしたちが「魔法」と呼んでいる、
ストレスのない極上の着ごこちは、
ひとえに白井さんの情熱からうまれてくるのです。

白井 賢治(しらい けんじ)

有限会社フィーロ代表取締役社長。
大手アパレルメーカーにてニット製品の素材開発、
商品企画、MDなど幅広く経験したのち独立。
1998年にブランド「FIRO BIANCO UNO」を設立。
40年以上、素材と向き合った経験を活かし、
ベーシックかつ肌ざわりがいい商品をうみだしている。

春夏にフィーロをはじめて扱っていただいたとき、
販売がはじまってすぐ、すべて完売したとうかがって、
ゾクゾクッと鳥肌が立ったのを憶えています。
そんな状況はまったく想像していませんでした。
決して安くはないものだし、
インターネットだと実物が見えないし、
わかってもらえるのかなと疑心暗鬼だったのですが、
こんなにも多くのかたに受け入れてもらえるとは‥‥。
なんか、すごいことが起こった。そう感じました。
やってよかったなと思います。

夏はハイブリッドラマというコットン生地でしたが、
秋冬はカシミヤやアルパカなどの獣毛素材を使った、
あたたかさもたのしめるアイテムを提供します。

「魔法」とまで呼んでいただけるのは、
ちょっとくすぐったい気持ちもしますが、
着る人の体型に自然に沿うストレスのない着ごこちと、
抜群に気持ちいい肌ざわりには自信があります。

しなやかなドレープ感と、かるいタッチ

FIROのコットンカシミヤ

コットンカシミヤの生地はほかでも見かけますが、
なんとなくもっさりした感じがあって、
あまり好きではありませんでした。
この生地は、コットンとカシミヤをブレンドした
80番単糸という特注の細い糸と、
撚りをすこし甘くしたハイブリッドラマを
交互に編んでいます。
そうすることで、しなやかなドレープ感がうまれて、
さらりとかるいタッチになるんです。
さらに、製品染めした後にバイオ加工をほどこして
毛羽をとっているので、
つるりとした気持ちいい風合いをたのしめます。

着ごこちは、夏に出したハイブリッドラマのカットソーと
似たような感じで、圧迫感もありません。
見た目はなんともないんですが、
着てみると、ここちよさがわかってもらえるはずです。

すそと袖口には伸び止めテープを入れて補強しているので、
着ていて伸びることはありません。

まるでお風呂に入っているかのよう

FIROのロイヤルベビーアルパカ

生後1年以内のアルパカから、ごくやわらかい毛だけを
すきとったのが「ベビーアルパカ」です。
「ロイヤルベビーアルパカ」は、そのなかでも
さらによりすぐった高品質の素材で、
かるく、じょうぶで、シルクのような光沢をもっています。
アルパカはウールの数倍あたたかいと言われるのですが、
チクチクするイメージがありませんか?
ぼくもそう思っていたのですが、
この素材に出会ってイメージがくつがえりました。
カシミアに匹敵するくらい、ふわふわとやわらかです。

実は10年ほど前から目をつけていたのですが、
ハイネックにしたとき、刺激に敏感な首まわりは
さすがにチクチクしそうで、使っていませんでした。
でも、あるとき思いついたのが、
ハイブリッドラマをネック部分の裏地にすること。
そうすれば肌にあたってもチクチクしないし、
伸縮性があるので、脱ぎ着もさまたげません。

コットンカシミヤと同じように、
着たときの圧迫感はまったくありません。
ぼくでもレディスのサイズを着られるぐらいです。
しかもぬくぬくとあたたかいので、
「お風呂に入っているみたい」と言う人もいます(笑)
あたたかさにつつまれる感覚をぜひ味わってください。

これぞ、カシミヤの中のカシミヤ

FIROのカシミヤ

このカシミヤ100%の生地は特別に糸からつくったもので、
60番単糸というかなり細い糸を使っています。
2本の糸を撚り合わせた双糸のほうがじょうぶなんですが、
そのぶん生地が厚くなってしまうので、
うすさを優先して単糸を採用しています。
風合いをよくするために撚りもやや甘くしているので、
実はたいへん編みにくいんです。
だから、ほかではこんなこと、やってないでしょうね。
肌ざわりや着ごこちは、もう言わずもがな、
最高にあたたかくて、気持ちいいカットソーです。


今回紹介した3つとも、素材自体が高いうえに
扱いもむずかしいので、リスクは大きいです。
でも、どうしても、「これはすごい!」と
自分が感動した素材をえらんでしまいます。
「こっちのほうがいい」とわかっているんだったら、
利益がゼロでないかぎり、そっちでやりたいんです。
だって、着る人はぜったいそのほうが気持ちいいから。
たぶん性格ですね。

(おわりです)

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