ほぼ日の塾から生まれたコンテンツ。
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おっ、いい質問ですねえ~!

新卒の面接をする人って、大変だと思う。

事前にエントリーシートを読んで
何を質問するか考えないといけないし、
朝から夕方まで、似たような恰好に
似たような髪型をしている若者たちと
ずーっとやりとりをしなければならないのだ。

ある大企業のインターンシップの面接に行った時、
面接官が終始とっても眠そうだったことがあった。
「こちとら必死の思いで来てるんだから
そちらも必死の思いで目をかっ開いてください!」
と思いながら面接をしていたが、終わってから
「そりゃ、面接官だってたくさんの大学生と
休みなしでお話してるんだもんな。
目を覚ますような気の利いたことが言えなかった
わたしも悪いよな」
とも思ってしまった。

そのインターンシップには呼ばれなかった。

どの企業だって、まったく興味のない学生を
面接に呼んだりはしまい。

わたしを面接に呼んでくれた企業の方々も、
たとえそれが必死の思いで書き上げたESの、
「志望動機」とか「自己PR」じゃなくて、
「学歴」とか「顔写真」とか
「字」とか「趣味」だったとしても、
わたしのどこかしらに興味があったから、
書類選考を通して、
面接に呼んでくれたのだろう。

そしてその面接の時間は、
わたしだけに興味が注がれる。

もしかしたら、面接官の方々は
「ああ、みんな同じ格好をしているから
みんな同じ子に見える‥‥」
「ESの細かい字を読んでいたら
目がしょぼしょぼしてきた‥‥」
とか思っているかもしれない。

でも、会社の未来がかかっているから、
みなさん真剣にわたしの話を聞いてくださる。

初めのうちは、
「答えられない質問がきたらどうしよう。
逃げられない!」
とビクビクしていた。

でもだんだん、
「何も芸能人じゃあるまいし、
わたしに回答NGな質問なんてないわ」
「自分にしか答えられない質問しか
されないのだから、
ありのままで話したらいいんだ」
と思うようになった。

知識を問われる質問をされることもあるから、
最低限の勉強はしていく。
それで答えられたら「よかった!」って思うし、
もしわからなかったら
「すみません、わかりません。
次回はもっと勉強してきます!」と正直に言って、
改めて勉強して次の機会に備えればいい。

すべてをポジティブに考えるようになってから、
緊張していた面接がどんどん楽しくなっていった。

「楽天ファンなんだ?今年はちょっと厳しいねえ」
「そうですね~、今年は辛抱の年ですねえ」

「大学では日本人の名前について研究してます」
「例えばどんなの?」
「具体的には‥‥(説明する)」
「へえ~~、面白いですねえ!」

「特技は山手線ゲームって書いてあるけど‥‥(笑)」
「はい!山手線の駅全部書き出せます!!」

「わたし、りんご娘が好きで!」
「ああ、そう~!(りんご娘に)なろうとは思わないの?」

志望動機って、意外と必ずしも聞かれない。
ESに書いてある場合が多いからだ。
改めて面接で聞かれたとしても、
ESに書いたことをきちんと説明すれば、
相手はちゃんと納得してくれる。

自己PRは、会社によって変えるものじゃないから、
自分でいくつかPRポイントを決めておけば、
どこでもそれを言えばいい。

でもそれだけで面接は終わらなくて、
きっと「その人自身」を見る目的で
たくさんの質問をされる。
そうなった時が楽しくてしょうがない。

「そんなにわたしについて
聞いてくれるんですか!?
ありがとうございます!!
どんどん答えちゃいますよぉ!!」
という気分になる。

わたしもありのまま、誠意をもって全力で答える。
趣味のことだって全力で。
これで受け入れてくれない会社は、
きっとわたしには合わない会社だ。
こっちから願い下げだい!

あの池上さんのように、
「おっ、いい質問ですね~!!」
と思いながら精一杯答えて、
面接官の方に笑ってもらえたり、
強く相槌をうちながら聞いてもらえた時ほど
嬉しいものはない。

(つづきます)
2016-09-09-FRI