ごはん片手のおいしい時間。ごはん片手のおいしい時間。

トースターでみんなをあっと言わせた
バルミューダが、2月に炊飯器を発売しました。

いまも品薄状態がつづくほど好評らしいです。

ぜひそのごはんを食べてみたい!

寺尾玄社長を迎えてお茶碗片手に話す
糸井重里の「おしゃべり編」と、
伊藤まさこさんによる「定食」編、
ふたつの読みものにして
ごはんを囲むおいしい時間をお届けいたします。

4月7日(金)より
TOBICHIとWEBのほぼ日ストアで
特典つきの販売をいたします。

くわしくはこちらをごらんください。

バルミューダ株式会社 寺尾玄さん+糸井重里 食べるおしゃべり編

第3回おいしい時間。

寺尾
私たちが作っているのは道具です。

なぜ道具があるかというと、便利だからです。

洗濯機や炊飯器は、それらがなかった時代と比べると、
劇的に家事が便利になりました。
あれが日本中の家庭に提供したものがなんだったか?

それは、お母さんの時間でした。

洗濯に2時間かかってたのが、
最初と最後の10分だけいればよくなった。

それまでのまるまる2時間をなんにでも使える。

自由な時間が提供されるということは、
その人の暮らしに、可能性が増えるんです。
道具は人の役に立ちますが、
それ以上のことできません。

どんなユーザーに対しても、
その人生を、少し広げること。

道具ができるのはそれだけです。

そこからは、その人次第になっていくと思います。
糸井
そして、寺尾さんたちは最終的に、
人がたのしくなる食事を提供する道具を考える、
ということに行き着いたわけですね。

寺尾
うちが作る炊飯器が
どういう道具であるべきかを考えると、
人が食事をする場所に出てくる、
ふつうのごはんを炊いてくれるものがよかったんです。

ただ‥‥その「ふつうのごはん」が難しい。
糸井
そうですよね。
寺尾
じつは私は、炊飯器で炊いたお米の匂いが
好きじゃなくて、
10年以上、ガスを使って土鍋で炊いてきました。

ですから最初から、
ガスを超える味を
電気の力を使った道具で実現できないか、
という試みからスタートしました。
糸井
それは、成功したと思います。

寺尾さんの中には、
人間である寺尾さんと、
バルミューダ社長の寺尾さんがふたりいて、
両方まざってるのがおもしろいですね。

おいしくなくていいのに、おいしくなきゃいけない。

それをこの炊飯器は実現していると思います。
寺尾
ありがとうございます。

糸井
うれしい食事をするのって、
食事以外に用事のない人と食べるのが、
いちばんですよね。
寺尾
ああ。なるほどそうですねぇ。
糸井
ただ食べて、ただうまい、という状態。

究極は、やっぱり家族です。

両方機嫌が悪くても、
用事がない状態がごはんをうまくします。
もしもぼくがいまから寺尾さんと
おいしいものを食べに行ったら、
「これうまいな。どうやって作ってるんだろう」とか
「おいしいとは何か」とか、調べちゃうと思います。

そういうことをやると、やっぱり落ちる。

何にも用事がなくて、
相手がおいしそうにしてるのを
自分がおいしがるのがいちばんいい。
寺尾
それはありますね。

人がおいしそうにしてるのって、
すっごくうれしい。

私の最高のごはんは、ハムエッグ定食です。
糸井
誰のハムエッグ定食ですか?
寺尾
親父のです。

親父と弟と、
3人で暮らしてたことがあったんですよ。

もう、キャンプみたいな毎日で、
そのときに作ってもらった
ハムエッグ定食が最高だった。
糸井
ハムエッグに「定食」ってつくのが
おもしろいです。

寺尾
ハムエッグと、ごはんとみそ汁。

丸くて薄くて、5枚パックで売ってるハム。
糸井
薄いハムね。いいね。

薄いハムと厚いハムって、別ものだと思う。
寺尾
薄いハムはね、絶対に
火を通しすぎちゃだめなんですよ。

ベーコンとソーセージは、
弱火でじっくり火を入れてったほうが
おいしくなるけど、ハムはダメ。

表面はちょっと焦げめがついたほうがおいしいから、
油をしいて、火を強くして、
1枚ずつハム入れて、20秒ぐらいでひっくり返す。

表面が照り照りで、焦げがついて、
なかに水分が充分残ってる状態で
フライパンからあげて。
糸井
いいなぁ、食べたくなってきちゃう。
寺尾
うまかったなぁ。

糸井
この炊飯器「保温機能がない」というのも特徴ですが、
冷えてもおいしいのがすごいと思います。
寺尾
保温って、まずくなりますから。
糸井
そうですよね、どうしても。

このごはんは、冷えてもちゃんとほぐれるし。
寺尾
お米がほぐれるという評価は
これまでの炊飯器家電に
なかったかもしれないですね。

べたべたの水分が出てないんですよ。
糸井
見事ですね。

ということは、
お茶漬けにもほぐれがいいね。
寺尾
まあ、多分、最高だと思いますね。
糸井
(笑)
寺尾
特におにぎりはもう、世界一ですよ。

ほんとに世界一だと思う。すごいもん。

糸井
バルミューダがやっていることと
ほぼ日に似ているところがあるとすれば、
「なにを売っている会社ですか?」
というときに、家電と言わないところだと思います。

便利さによってできた自由な時間、いい時間、
その「いい時間」に、
いっしょにすごせる何かを作っている。
寺尾
それは物語と言いかえてもいいですよね。
糸井
確かにそうですね。

だれかを助けてくたびれた時間も、いい時間。

どこかの人に接待されて、
仕事でおいしいごはんを食べてるのは、
いい時間じゃないかもしれない。

「いい時間」にはその人の「思想」が入っているから、
物語とも言えます。
寺尾
そうですね。
糸井
今度、TOBICHIでまた、試食会をやります。

そのときに、お客さんたちに
どんな時間がひろがるか、たのしみですね。
寺尾
はい、ありがとうございます。
とてもたのしみです。

(つぎは、伊藤まさこさんの、

ごはんに合うおいしいものが

どんどん登場しますよ!)

2017-04-04-TUE