
- simicoさんは
「しみことトモヱ」という
2匹の猫について
描いていらっしゃいますね。

- はい。


- 「comico」で
連載なさっていまして、
スマホアプリでも読めるんですが、
simicoさんは「comico」があるから、
描きはじめたんですか?

- えーと、私は猫をもともと飼っていまして。

- はい。

- 1匹目は自分が拾ってきたんですが、
2匹目の三毛猫は、保護されて、
保護した人からもらい受けました。
そういうとき、そこまで育ててくれた人に
「元気です」「こんなに大きくなりましたよ」と、
写真なんかでよく報告するんですよ。
そういう感じで、
猫を保護してくれた人に
その後の猫のようすを報告するために
ブログで描きはじめたまんがなんです。

- ブログだったんですか?

- ブログです。
最初は写真を載っけて、
言葉で報告していたんですが、
自分としては、まんが形式で描いたほうが
やりやすかったんです。
だいたい1回4コマ程度にして
描きはじめたのが最初でした。

- それは何年前ですか?

- 2年前くらいでしょうか。

- そんなに最近!

- そうです。
2匹目の猫をもらってから描きはじめたので、
たぶんそのくらいです。


- 連載する媒体はなかったんですか?

- というよりもまず、
それをどこかに持ち込もうとかいう気は
まったくありませんでした。
たしかにブログという場所で
描きはじめたけれども、
みんなに見てもらおうというよりは
「保護してくれた人」に報告するための
メールがわりのような気分だったので。

- 絵手紙みたいな?

- はい、そんな感じです。
メールでもよかったんですが、
返事が来たりして、むこうにも
気を遣わせてしまうかな、と思って‥‥。
垂れ流しだけど
ターゲットはひとりに限ってブログを描く、
ということになりました。
考えてみればおかしなことなんですが。

- ターゲットはひとり(笑)。

- はい(笑)。
しかし、その「ブログの報告」が
連載10回もいかないくらいのときに
「comico」が立ちあがる時期に重なって、
ちょうど描き手を募集していたんです。
ブログのまんがを見てくれていた方が、
「応募してみませんか?」と声をかけてくださって、
じゃあ、と応募したら、
1回めはだめで。

- だめだったんだ。

- 内容が簡単すぎたみたいなんです。
「もう少し長くふくらませて、
再度見せてくれませんか?」
とおっしゃっていただいて、描きまして、
2度めで合格しました。
そうやって「comico」の立ちあげと同時に、
参加できることになりました。

- じゃあ、そこまでは、
別のお仕事をメインで
なさっていたんですよね?

- アルバイトで週2日、
夜勤をずっとやってて、
その仕事が収入のメインでした。
じつはいまも同じバイトをつづけていて、
週1回の勤務にしています。

- じゃあ最初は、まんがの収入は
あてにしてなかったんですか?

- まんが家にはなりたかったんですが、
ストーリーまんがの「お話」をつくるのが苦手で、
1作品描くのに1年以上かかってたんで(笑)、
自分でちょっと無理だなと思いまして。

- 描いたことはあるわけですか?

- はい、描きました。
いま描いている
「しみことトモヱ」とはまったく関係ない
ファンタジックなまんがです。
でも、ほんとうにぜんぜんだめなので、
まんがは趣味でできればいいなぁと思ってて、
「COMITIA」という、
コミケみたいなところに作品を出したりしていました。
それも、お客さんがひとりかふたり、
来たり来なかったり、
1冊も売れないとか、そういうレベルでした。
自分にはあんまり期待していなかったのですが、
なんだかそういう場にいて、
座ってるだけで、楽しかったんです。

- そうかぁ。
でも「しみことトモヱ」は
書籍化もされたわけですよね。

- はい、おかげさまで。

▲『しみことトモヱ』PHP文庫 2015年11月発売

- 4人とも、結局、昔の
「まんが家になる」だとか、
「まんがで仕事をしていきたい」とかいうところから
断ち切ったところから
何かが発生しているような気がします。

- そうですね。

- みんな、スタートがビジネスじゃなく、
「好き」からはじまってる。
なんか純粋な創作っぽくていいですね。

- でも、「商業にはしたくない!」って、
拒絶するような姿勢はないですね。

- 売れるなら売れるで構わないとぼくは思います。

2015-10-05-MON
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