
- いまとなってはどうしてだかわからないんだけど、
ぼくは小山さんのはじめての本の帯を
書かせていただいたんですよ。

- そうなんです。お世話になっております。


- こちらこそ、会わないままで帯やっちゃって(笑)。

- いいえ、ぼくは2月に
大阪から東京に来たばかりなので‥‥。

- あぁ、そうなんですか。引っ越されたんですね。

- ずっと東京に来たい来たいと思ってて。

- 小山さんは、この金髪の、
本人とおぼしき人物とは
真逆の顔をしてらっしゃいますね。

- そうですね(笑)。
こんな人いないですからね。
- 一同
- (笑)

- 小山さんに関しては、もう少し
とよ田さんより謎が深いんです。

- はい、なんでしょう?

- 小山さんは、「イラストレーター」なんですか?

- そうです。
もともと、20歳過ぎからずっと
イラストレーターになりたかったんです。
しかし本心は
「まんが家はまぁ、ちょっと無理そうだから、
イラストレーターと言っておこう」
という感じでした。
ですので、人にはずっと
「イラストレーターになりたい」と言ってたんですよ。
まんが家って、しめきりとか大変そうだし。

- 「まんが家が大変だ」という物語は、
山ほどありますよね。

- そうですね。
ぼくは「まんが道」を読んで以来、
まんが家には恐怖のイメージが(笑)。

- 原稿を落としまくるシーンがありますもんね。

- はい。そのせいで、まんが家になるのは
あきらめてました。
ほんとうはなりたいのに、ちょっと押し隠して。

- 大阪で、イラストレーターとしてはすでに
たくさん仕事をなさってたわけですよね。

- えぇと、最初はしてない状態でした。
なんにもない状態で、会社勤めしてるときに、
ブログでまんがを描きはじめて、そこからです。

- そうなんですか?
えっと、その「会社勤め」は
イラストを描く仕事ですか?

- いえ、印刷会社で働いてました。

- じゃあ、のちのち本にして出版することの
「あて」もなかったんですね?

- なにもありませんでした。ただ描いた。

- すごいですね。
でも、描きたかった?

- はい。突如として、描きたくなりました。
会社勤めがつまらなすぎて、
何かおもしろいものを求めたんだと思います。
会社の休み時間とかに描いてたんですよ。

- いまもお勤めされてるんですか?

- いまは、もう勤めてないです。
脱サラです。

- じゃあ、あの
「手足をのばしてパタパタする」
に載ってる‥‥
女の子が好きでたまらない、という
まんがを描いたときは、
印刷会社に勤めてたんですか?

- あぁ、そうですね。あのあたりはそうですね。


- あれですよね、やっぱり(にやっとする)。

- あれですね(笑)。

- ぼくの心に火が点いたのは、あのまんがです。

- はい、あれはたくさんの人に読まれた
手応えがありました。
思い返してみれば、ブログで描いたものが
Twitterなどでバーッと「行く」ときは
何度かあった気がします。

- ぼくは最初にTwitterで小山さんのまんがを見ました。
Twitterで回ってきて、
「わぁ、おもしれぇ」と思って、
すぐブログ行って、全部読みました。

- ありがとうございます。

- いやぁ、あれは読みますよね。

- おもしろかったです。

- ぼく‥‥今日、ほんとうにうれしくて。

- ほんとうですか?

- はい(笑)。

- あんまりそうは見えないけど。
- 一同
- (笑)

- ポーカーフェイスですね。

- あぁ‥‥(見まわす)、とよ田さん以外、
みなさん、髪型がご自身のキャラクターと一緒だ。
そこはみなさん、なぞっていくんですね。

- やっぱり自分らしさをどこかに入れないと、
反則なんじゃないでしょうか。
小山さんだけですよ、こんなにも、入れてないのは。
- 一同
- (笑)

- ぼくも、金髪にしようかどうか、
迷ったときがありました。
やっぱり‥‥本人を見て「がっかり」とか、
あるんでしょうか。

- 山本さんの場合、
自分のまんがのキャラを美容院の人に見せて
「この髪型にして」って言ったとか。

- はい、キャラクターに寄せていってます(笑)。
「実際はロングだったんだ」とか、
がっかりされちゃうかもしれないから。
やっぱり絵よりか、
長くしないように調節してます。

- 山本さんは、会社勤めをしながら
まんがを描きはじめたことが
物語の中に入ってるからわかるんだけど、
小山さんの場合、謎だったんです。

- あぁ。

- たまに「イラストレーターの集い」みたいな場所に
呼ばれて参加したりしてましたよね。
「まぁお客も3人来たし、よかった」
みたいなことも描いてあったりして。

- ああ、はいはい、そういうこともありました。

- それも,嘘かほんとうか、
まったくわからなかったんです。

- 全部「ほんとう」なはずです。

- 小山さんが
「どうやら俺が描くと人が見るぞ」
と気づいた瞬間があったと思いますが、
そのとき、どう思いました?

- 「うわっ!」と思いました。

- 「うわっ!」と思いましたか。

- 「なんもないところからはじめて‥‥
こんなんなるんや!!」
と思いました。

- うん、うん。

- たしかに、自分では笑いながら描いてたので、
なにかおもしろいんだろうなとは思ってたんですよ。

- (笑)

- でも、他人もそうだった。
「あ、おもしろがってくれるんだ」
と思いました。

- うれしいですね、それは。

- うれしいです。

- まぁ、くり返しになりますが、
とよ田さんの
「娘がかわくてしょうがない」と同じように、
小山さんの
「女の子が好きでしょうがない話」が
ぼくは大好きなんです。

- ありがとうございます。

- あのことを、正直に、あんなふうに
描けた人はいままでいません。
「そのこと分かってる!?」
というコマがすばらしいです。

- あれは、行ききりましたね。
恐れることなく、行ききりました。

- 山本さんは、あのまんがを知ってます?

- 読みました。
あんなに女性を愛してる人、
なかなかいないですね。

- いや‥‥それがですね、
みんな、ああなんです。

- え?

- みんな、そうなはずなんです。

- へ‥‥?
女の人をみんな「可愛いすぎる」と
思ったりするんですか?

- そうですね。思います。


- 「ぼくをムチャクチャにしないでください」
と言いながら、追いかけるのです。

- そうなんですか‥‥。

- 女性が自分のことを思ってる感じと
ぼくが思ってる感じに、
ちがいがありすぎることは、ずっと気づいていました。
ですから、
「もっと自信持っていいよ!」
と言いたかったのです。

- 君たちが思ってるよりも「もっと好きだから」。

- そう。
「それ以上かわいいから!」

- 小山さんは、それを
言いたくてしょうがなかった。
処女作って、みんな、なにかこう
「ぶつけたい」ような気持ちがあるんでしょうね。
それをみんなが見つけて
ぶつけられる時代が来たんですね。

- そうだと思います。

2015-10-01-THU
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