FEATHERED SHIJU
HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
IS EAGER TO HELP!
START

フェザード・シジュはお役に立ちたい!

あつま町でハスカップを収穫するだジュ! の巻

ほぼ日の見習い乗組員、宇宙鳥のシジュちゃんは、
「なんかやることないかなぁ」と
ブラブラしてばかりの日々を送っていました。
そこで、みなさんのお役に立つことが
自分の新たな使命ととつぜん思いつき、
活動することにしたそうです。
最初に向かったのは北海道。
4週間しか収穫できない、めずらしいくだもの
「ハスカップ」の農園のお手伝いです。
銀の鳥はちゃんとお役に立てたのでしょうか。

第4回
明日も、いつもの日が
来るように。

みなさん、こんにちは。
北海道のあつま町で
ハスカップの収穫のお手伝いをしている
シジュだジュよ。
手がまるくてあまり自分では収穫できず、
100パーセントゆみこさんまかせだったけど、
ハスカップはいっぱいいただきました。

ハスカップ農園は気持ちええよ~。

農園内を散歩していると、
ハスカップの木の向こうにあるお山が、
目に入りました。

ねえ、ゆみこさん。
この農園の目の前にあるあの山は、
もしかして、地震でくずれてしまったの?

ハスカップ畑の向こうに、お山がある。

「そう。あの山は、ほんとうは
緑でおおわれていたんだよ。
春は山桜がきれいだったけど、
景色が変わってしまった。
いまはみなさんが、
山がくずれてこないようにする工事を
一所懸命してくださっています」

そうかぁ、あんなにも、くずれたんだ。

「来る途中、浄水場があったんだけど、
気づかなかったかな?」

あ、もしかしてあそこかな。

新しそうな施設が壊れていた。

「うん、たぶんそこ。
去年の厚真町の地震は、
ほとんどが土砂による災害だったんだよ。

厚真町は、ハスカップでも
名を知られているけど、
お米の産地でもあるの。
お米ってね、水がとっても大事なんだ。
去年の夏に、みんなの念願の浄水場が完成しました。
新しいダムもできて、
たくさんのお金をかけてもらって、ピカピカだったのに、
9月の地震でくずれちゃった。
そのうえ、導水路もガタガタになってしまって
用水の施設はひどい打撃を受けました。

去年はお米が収穫できなかったところも多かったから
今年の田植えになんとか間に合うように、
急きょ、導水路を直したんだ。
町の人たちが、
冬場の厚い雪も掘って、がんばって整備してた。
ほんとにがんばった。
だから、今年は田植えに間に合ったよ。」

ああ、すごい。すごいね。
そのお米が秋には収穫できるんだジュな。

米づくり、ハスカップづくり、みんながんばってる。

「わたしね、ほぼ日がずっと好きで、
毎日読んでたんだよ。
ニュースでやってたかもしれないけど、
地震で地割れや土砂くずれがたくさん発生し、
北海道はほぼ全域で、ながいこと停電したの。

このハスカップ農園の近くでも、
たくさん土砂くずれがありました。
厚真町に住むみなさんおひとりおひとりが、
たいへんな思いをされました。

停電はほんとうに長くてね。
水も電気も、ないとありがたみがわかったよ。
1週間くらいは、Wi-Fiの電波もなかった。
NTTの人が緊急用に基地を設置してくれたけど、
そこでつなぐときに利用するのは、
ほんとうに緊急の連絡だけだったんです。

だからね、電波が本格的につながって、
ほぼ日を読めたとき──、ほんとうに、
日常に帰ってきたんだと思って、
とっても、とっても、うれしかったんだ。
その気持ちをいつか、
ほぼ日の人に伝えたいと思った、ということもあって、
今回は応募したんだよ。
シジュちゃん、みなさんに伝えてね」

うん、わかった。

「2011年の東日本大震災のときに
東日本大震災のこと。というページを
ほぼ日は作ったでしょう? 
あのとき、あそこで糸井さんやみなさんが
とにかく明るいほうを向いて歩いていこうと、
おっしゃっていました。
それを2011年に、私は読んでいたから、
ほんとうに気持ちが救われました。
あのすごいお手本を2011年に見せてもらっていて、
ほんとうにありがたかったんです。
だから、これもほぼ日と、
ほぼ日の友だちの東北の人にも、
伝えておいてください。ありがとう」

わかったよ。
わかったよ、ゆみこさん。
こちらこそ、ありがとう。

ゆみこさんとは、今日はじめて会ったのに、
なんだかずっと前から
知っている人のような気がしていました。
シジュもほぼ日の読者だから、
ほぼ日を読む人として、
きっといっしょの時間を、ずっとすごしていたんだね。
ほんとうにうれしいです。

ゆみこさんに会えてよかった。

あつま町のハスカップは、
4万本のうち1万本が
土砂で倒れてしまったんだジュよね。

「そう。だから今年は
休園したところも多かった。
でも、いまあの山口さんのおばあちゃんの
息子さんが中心になって、
ゆうしげの会を設立しました。
私もお手伝いしています。
そこで支援も募って、町の助成金もあって、
来年は苗木を増やすことができそうなんだ。

だから2020年はね、きっと木が増えてるよ。
厚真町にまたハスカップを食べにきてね」

ゆうしげの会、シジュも募金したよ。

それからシジュは、
すっかりなかよくなったゆみこさんといっしょに
あつま町のイケてるスポットに出かけ、
とってもすてきな、移築した古民家にある
パン屋さん此方に出かけました。

此方さんの前で。
粉の風味が噛むほどにふくらむ、おいしいパン。
古民家でお茶もいただけるだジュ。
これはシジュが此方さんで買ったハスカップのパン。シーズン限定。ほどよい酸味で赤くてかわいかった。

此方さんから歩いてすぐのところにある、
ハスカップのお菓子やスムージーが食べられる
momo cafeさんにうかがいました。
此方さんにもmomo cafeさんも
お庭でハスカップを自家栽培していたよ。

モモカフェさん。すてきなお庭なんだけど、シジュが大きくて全体像がわからないね。
お店のなかもかわいい。ねこちゃんがいる!
ゆみこさんと、お茶します。
ねこちゃんにはたいてい「フー」と言われるけど。
モモカフェさんのねこちゃんたちはやさしくて、むはんのうだっただジュ。
ハスカップのスムージーが来たよ!
ほとんどがハスカップ、ちょっとのヨーグルト。 シロップを加えていただきました。うんまー!
ハスカップのロールケーキとタルト。ぜんぶおいしかったよ。

momo cafeさんでは、
ハスカップじゃないふつうのロールケーキも
ついでに食べたんだジュが、
ロール部分のフワッフワッさがわかって、
それがマジうまかった。
あれ食べに、またあつま町に行きたいだジュ。

最後に庭でまたねこちゃんとたわむれて。

ゆみこさんと、おわかれのときが
やってきてしまいました。

ゆみこさん。

シジュは、心残りがあるんだジュ。
それはやっぱり、今回の目的である、
ちゃんと「お役に立つ」ことが
できてないってことだジュよ。

「シジュちゃんは、
厚真のいいところを味わって
たのしんでくれたし、
ハスカップを好きになってくれたから、
充分だよ。
でも、どうしても、ということなら‥‥」

なら?

「最後に、農園のおかたづけを
いっしょにお願いしようかな。
ひとりきりだと何回も
往復しなきゃいけないから、ありがたいよ」

よおぉぉーっし。

食べに食べたので、エンジン全開でおかたづけ中。
うんしょ。
ゆみこさんといっしょにガラゴロガラゴロ。

力仕事がとくいなシジュは
(なにせシジュう肩が治ったからね)
荷物運びで、ようやくお役に立ちました!

はぁぁぁ~。

シジュはいま、気づきました。
お役に立ったら、友だちが増えたぞ。
もっとお友だちを増やしたいぞ。

つぎはキミんちに、行くかもよ!

(フェザード・シジュはお役に立ちたい! 
あつま町でハスカップを収穫するだジュ! の巻 
おしまい。アジュー!)

2019-08-09-FRI