僕たちの 花火の連絡、 見えますか。  スコップ団 平了+糸井重里 対談
第3回 かっこつけの決断。
糸井 スコップ団は、思いきりのいい活動です。
おなじようなボランティアの活動でも、
「手伝ってるはずなのに自分が主役になる人」
「もっとお礼を言われるように
 気持ちが入る活動」
などが、ずいぶんあると思います。
けれども、スコップ団はほんとうに、
風のようにやってきて風のように去っていく。
自分たちの形跡をなんとか残さずに
活動だけしていく。
気持ちいいです。
スコップ団の人たちは、いいも悪いも、
「その中で自分はどう生きていくのか」を
考えることになってしまったと思います。
「自分だけでいいや」と思った人は
やっぱり、いないんじゃないかな。
こう言うとほんとうに、
精神論みたいになって嫌なんだけど、
泥を掘っているうちにわかってくるところが
自分にもありました。
糸井 いいことしてる、というのと
かっこつける、というのって、
違うでしょ?
違いますね。
糸井 僕らはやっぱり、
かっこつける側の活動を喜びました。
いいことしてると思いすぎた人たちがどうなるか、
それに対する恐怖があったから。
しかし‥‥平さんは、そのことを
もともとどこで覚えたんだろう?
覚えた、というより
決めてからはじめたんですよ。
たまたまテレビでニュースを見まして。
糸井 どんなニュース?
物資を運んでったけど
お礼を言われなかったから腹を立てている、
というニュース。
コメントをしてる人を見て、
俺は「危ねぇ!」と。
糸井 うん、危ねぇと(笑)。
「こいつ、かっこ悪いな!」
糸井 うん(笑)。
「そこが目的じゃなくはじめたくせに、
 君、ずいぶん変わってきとるね」
と。
結婚するときに、
愛さえあればいいと言ってたのに
お金がなくなって、だめになったりする、
あれじゃないか(笑)。
糸井 うん、うん(笑)。
「最初はそれだけでよかったはずなのに」
というところを忘れる人は、
やっぱりだめになってしまうんだ。

お礼を言われることが
僕らの目的じゃないんだったら、
お礼を言わせないシチュエーションに
してしまえばいい。
それが早い。
糸井 うん。仕組みとしてね。
「お礼言ったら、悪いが俺たちは帰る」
糸井 だから、スコップ団は
すぐに去るんだ。
はい。僕たちは
かっこつけることにしました。
かっこ悪いのは
かっこつけてないからかっこ悪いんです。
意識してないと人はどんどん
かっこ悪くなってしまう。

つまり、自分のことだけ、家族のことだけを
考えるとかっこ悪い。
考えるキャパシティを
広げていくといいんだろうけども、
その根本にあるのはやっぱり
生きて、人と接していく中で
とにかくかっこつけないといかん、
ということです。
糸井 だめになっちゃう可能性って、
自分の中にも見るわけですよね。
「こんなはずじゃなかったのに」
ということになる可能性があるから、
ピシッとしなきゃ、と思う。
うん、そうです。
糸井 その繰り返しなんだよね。
もう少し言うと、
頼まれること全部を
引き受けるのも、だめになります。
「いい顔」はできるんだけど、
その「いい顔」で結局、
嘘つくことになったりするから。
はい。
糸井 それをひじょうに恐れますね。
いつかは期待に応えられない要望が出ますから、
そんときどうすんの、と。
で、それができないと、今度は一変して
「なーんだ、たいしたことないんだ」
ということになっちゃう。
糸井 うん。とてもよくわかります。
みんなだいたい、何かをはじめるときには
希望とか、やりたいこととか、
いいことばかりを考えましょうとか言う。
もちろんそれはいいと思います。

しかし、僕はほんとうに、
自分の人生の中でやりたくないことを
真剣に考えたときがありまして。
糸井 ほう。
それは、人殺しと、放火と‥‥
糸井 うん。
あと、やりたくないことがいくつか、
やっぱりあったんです。
そうやって、ほんとうにやりたくないことを
真剣に考えたとすると、
それ以外は全部やりたいことになります。
丼ものの中で嫌いな具材があったら、
先に食べてしまえば、あとはもうハッピー(笑)。
糸井 うん、自由が増えますよね。
嫌な電話は午前中に終わらせるとか、
そういうこととおなじです。
そうやって詰めて考えた結果、
俺はかっこ悪いのがいちばん嫌なんだ、
とわかりました。
糸井 そういう子になるきっかけがあったのかな。
負けず嫌いだったの?
負けず嫌いでしたね。
‥‥うん、負けず嫌いでした。
糸井 でも、
負けず嫌いでも負けるじゃない?
勝つまでやればいい。
糸井 勝つまでやめなければいいんだ。
だから、ケンカも負けたことないです。
その場で負けても、負けない。
糸井 またやればいいんだもんね。
サドンデスだよね。
そうですね、はい。
糸井 いま、平さんがやってることも
似てますね。
うん。あきらめなければできる。
糸井 スポーツでもなんでも、
「負け」というのはゲームセットがあるから、
9回裏という区切りがあるからですね。
10回やっていいんだよ、と
自分で決めればいいんだもんね。
 (明日につづきます)

対談場所 協力:エフエム仙台
2012-02-10-FRI
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