HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN https://www.1101.com/home.html   あの日 そこにいたふたり サンドウィッチマンと 気仙沼の話を。  伊達みきお・富澤たけし ✕ 糸井重里
糸井 「100のツリーハウス」もそうですけど、
なにか、とにかく、
新しい方法で人の行き来を作りたいな、
という思いでいろいろやってはいるんです。
でも、微力ですよね。
伊達 いやいやいや、すごい力ですよ。
糸井 とにかく、無理なく続けられるしくみを
作ろうと思ったんです。
それは陸前高田の自動車学校がヒントでした。
社長の田村満さんという方が
すごくおもしろい人なんです。
みんな、満(まん)ちゃんって呼んでて。
この方が、震災のときに教習所の敷地を、
自衛隊と警察と放送局みんなに貸したんですよ。
テントを張ったり、アンテナを建てたり、
復興村のベースを作ったんです。
救援物資の拠点にもなっていました。
伊達 なるほどぉ。
教習所って広いですからね。
糸井 そうなんです。
敷地があるから、あんなに役立ったんです。
それがヒントになりました。
つまり、自動車学校っていうのは
地元の材料がないのにやれる仕事なんです。
名物とか、要らないんですよ。
敷地があって、先生がいて、車があれば、
教習所はやれるわけです。
「そうかー」と思っていろいろ考えてみると、
たとえば「広島風お好み焼き」は、
別に広島の名物が材料じゃないですよね。
伊達 言われてみれば(笑)。
富澤 ほんとだ(笑)。
糸井 かならずしも独自の材料がいるわけではない。
気仙沼の自動車学校では、
土地代が安いことを上手に利用して
無理なく教育産業ができているわけです。
それで、
こういうツリーハウスを思いついたんですよ。
富澤 なるほど‥‥。
伊達 すごい発想を東北のために‥‥。
ほんとに、ありがたいと思います。
うれしいです。
糸井 もう、地元民としてよろこんでいるような(笑)。
伊達 え? そうですよ、もちろんそうです。
地元として、こんなにね、
ほんとうに寄り添っていただいてありがたいです。
糸井 ああー、そうかぁ、そうですよね。
「東北の役に立ちたい側」に
一緒にいるように思い込んでましたが、
おふたりは宮城の人でした。
伊達 はい(笑)。
富澤 ぼくらは地元だからというのがあるんですけど、
糸井さんは?
なぜそこまで被災地にしてくださるんですか?
糸井 なぜそこまで‥‥
それは考えたことがなかったです‥‥。
うーん‥‥でもあんまり、
「そこまでやってる」とは思ってないです。
富澤 え、そうなんですか。
糸井 はい。
そんなに情熱的でもないんです。
どちらかというと、
情熱的な人を遠巻きに見ているタイプで。
熱い人はちょっと苦手なんですよ(笑)。
伊達 あ、そうなんですか。
糸井 いや‥‥
言い方の加減がむつかしいな‥‥。
「熱い人が苦手」じゃなくて、
「強引な人が苦手」なのかな。
富澤 ああ、はい。
糸井 眉間にしわを寄せながらじゃなくて、
ヘラヘラしながらでも手伝いははできることを
証明したいという、
いたずら心が根っこにあるんでしょうね。

ま、そうした姿勢についてはともかく、
微力でも手伝いたいと思った
おおもとの理由は
自分もいっしょに、あのとき揺れたからです。
伊達 揺れを経験したから。
糸井 そうです、そこがベースです。
「被災したのは東京だったかもしれない」
ということは何度も考えました。
そういうベースがまずはあって、
そのうえで、
「忘れちゃダメだ!」と叫んでる人を見ると、
「いやいや、忘れるもんだよ?」って言いたくなる。
「あなたも手伝わないと!」
みたいなことを言ってる人には、
「手伝わない人がいてもいいでしょう」
って言いたくなる。
大声で騒がなくても
ふつうに続けられるような
おもしろいことをやればいいんじゃない?
っていう‥‥。
要するに‥‥ひねくれてるんです。
一同 (笑)
富澤 糸井さんの気の抜き方というか
自分もたのしんでるというスタンスが、
すごくいいなと思います。
糸井 おふたりもたくさんの活動をされているから
よくおわかりでしょうが、
実際はたのしいばかりじゃないですよね?
それは当たり前ですよね?
でも、それを強調するよりは、
「あいつほんっとに、ただ遊んでるぞ」
って言われたほうがぼくはうれしい(笑)。
一同 (笑)
伊達 そういうのは大事ですよね。
どうしてもぼくなんか、熱くなってしまう方なんで。
糸井 いや、当たり前です。
あの場所にいた人、
地元の方が熱くなるのは当然です。
ぼくはいなかったんだから、
言えないんですよ、やっぱり。
伊達 ‥‥はい。
糸井 「遊んでる」って言われるのはいいんですけど、
いちばんぼくがこわいのは、
「あの人はもう要らない」って言われることです。
伊達 それはないです(笑)。
糸井 いや、よく言ってることですけど、
ぼくは帰りの東北新幹線で毎回落ち込んでますもん。
伊達 なんでですか?
糸井 できることがすくないなっていう気持ち。
自分にできることは、
パワーショベル1台にもならないよな‥‥
みたいな気持ちがやっぱり、すごくあって。
伊達 うーーん‥‥。
糸井 でもね、
気仙沼の人がよろこんでくれたのを
自分の目で見ると、やっぱりうれしい。
「ああ、気休めくらいにはなったかな」と。
伊達 気休めですか(笑)。
糸井 そう、気休め。
誰かの気を休めるだけでも
ちゃんとできたなら、いいでしょう?
だから、そう、
「気休めの本家」になりたいのかな。
伊達 気休め本家。
富澤 いいですね、気休め本家。
糸井 いやぁ、初めてですよ、
「なぜそこまで?」って聞かれたのは(笑)。
  (つづきます)
2014-03-18-TUE

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サンドウィッチマン

伊達みきお(だて みきお)さんと、
富澤たけし(とみざわ たけし)さんによるお笑いコンビ。
ふたりとも、1974年生まれで宮城県仙台市出身です。
1998年にコンビ結成。
2005年、『エンタの神様』へ初出演。
2007年、『M-1グランプリ』の王者に輝き、
一躍人気者に。

宮城県仙台市の出身で、東北との関わりは深く、
現在は下記の役職をつとめています。
・みなと気仙沼大使
・みやぎ絆大使
・東北楽天ゴールデンイーグルス応援大使
・ベガルタ仙台仙台市民後援会名誉会員
・喜久福親善大使
・宮城ラグビー親善大使
・松島町観光親善大使

サンドイッチマンのテレビ出演情報などは、
おふたりの事務所、
「グレープカンパニー」のサイトでご確認を!

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「名前だけでも覚えて帰ってください」

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