おいしい店とのつきあい方。

042  食いしん坊的 外食産業との付き合い方。その7
オーダーバイキングの焼肉屋で損をしない方法。

オーダーバイキングのお店で
「得するコト」を考えてみましょう。
つまりどうやったら
「お店をぎゃふんと言わせる」
ことができるかどうか‥‥、という話。

実は先日。
焼肉のオーダーバイキングをやっている店で、
オモシロイ勉強会をしたのです。
そのお店の調理長の友人に
「食べ放題の焼肉店で絶対にもとをとる食べ方をする」
人がいるというので、その食べ方を教えてもらおう‥‥、
という集い。
教えてもらうだけだとつまらないから、
みんなで同じように食べてみようよと、
お店の休憩時間をつかって
10人ほどがテーブルを囲みました。

その人。
焼肉店で働いたことがあるんだという。
だから焼肉店の厨房の中のコト‥‥、
特に数字をよく知っていました。
それを踏まえた上での食べ方。
みんな興味津々でした。

さぞや、もりもり食べそうな
大きな人がやってくるのかと思いきや、
どちらかといえば痩せ気味の人がやってきて拍子抜け。
その反応を感じてでしょう‥‥、
「ワタシは大食いが得意なわけじゃないですから」
と彼は言う。
肉を沢山食べれば元が取れるわけじゃない。
食べ放題は、「何をどのように食べるか」で
得をするか、損をするのか決まるんだ‥‥、と、
彼の一言に、こりゃ強敵だと一同したたか緊張しました。


食べることにしたのは4980円の
オーダーバイキングコース。
1500円で飲み放題もありますが、
どうしますか? と聞くと、
ソフトドリンクの飲み放題がもしあれば‥‥、と。

飲めないわけじゃなくて、飲んでしまうと損しちゃうから。
だって、焼肉を食べるとどうしても
ビールや酎ハイ、ハイボールと
炭酸系の飲み物ばかり飲んでしまう。
口がさっぱりして、食べる手が進みそうではあるけれど
炭酸がお腹にたまると満腹感につながるから。

ソフトドリンクの飲み放題は500円で追加する。
烏龍茶を氷たっぷりでお願いします‥‥、と、
それでグラスにぎっしり氷を詰めたところに
お茶を注いでみんなの前に到着です。

そして注文。
メニューをみながら注文をするコツを彼がひとくさり。
曰く。

「『カサ』のはるものは食べないことが寛容なんです。
だからサラダはなるべく食べない。
肉だけ食べ続けると飽きてしまうから、
野菜の料理はほしいから『ナムル』はたのむ。
良心的でいい調理人のいる店は自家製ナムル。
店の力量がわかる料理でもあるので忘れずに。
キムチの類は食べ過ぎるとのどが渇いて
飲み物を沢山飲んでしまいがち。
損することが多いからたのまないコトが多いかなぁ‥‥、
やっぱり肉を沢山たべる工夫をしないと損しちゃう」

豚や鶏は損をするから絶対食べない。
上モノがあればまずそれを一人前ずつ。
それから並モノを同じく一人前ずつ。
上と並がどのくらいの違いかを確かめてみて、
食べ方の傾向と対策を決めていく。
牛タン、カルビ、ロースにハラミ、ミノが
それぞれ上モノ、並モノと用意があって
それらをそれぞれ一人前がテーブルの上に並んで
食事のスタート。

「なるほど、ここは上モノは塩、
並はタレで提供されるんですね」
とまずチェック。

当然、「上」となると脂も十分乗っていて
焼きはじめるとときおり炎の火柱がたったりする。
原価のかかったいい肉だから、
これを中心に食べれば損はしない。
でも上モノばかり食べていると、飽きる。
何より脂がおいしい肉をたくさん食べるには
ちょっとした工夫を必要とするんですよね、
と注文したのが「小ライス」。
それからサムギョプサルを包んで食べるために
用意されていたサンチュを注文。
テーブルを囲んだみんなの前にも
同じように肉や野菜、ご飯が並ぶ。


焼きます。
焼いてひと口。
上モノを食べては
「上等な肉だからこその脂がおいしい」と感心し、
並モノも脂ののりこそ弱いものの
肉そのものの味もタレもなかなかに良い。
これはおいしく食べて揚げなきゃ、損しますねぇ‥‥、
という彼の指摘に、ただの大食い、
あるいはただの節約家じゃなく
「焼肉が好きでしょうがない人」なんだなぁ‥‥。
その好きでしょうがないという気持ちがいかに
「損をしないように食べてやろうか」
という方向にむかっていた人に違いないと思って
みんな、素直に彼の食べ方をためして食べた。

上モノを3皿食べたらタレで焼く並モノを1皿。
脂が続いて口やお腹が疲れぬように。
味の変化もあって食欲増す工夫。
しかも焼いたらご飯の上に一旦乗っける。
のっけて何度もひっくり返し、
脂やタレをご飯に移してそれから食べる。
喉をかわかせないようにして、沢山肉を食べる工夫。
タレで焼いた肉を食べたときには
サンチュで口をさっぱりさせる。
それでも舌が重たく感じたときに、烏龍茶の出番です。

その驚きの使い方。
また来週といたしましょう。

2018-08-23-THU