チョコレートと言えば、いつも母のコトを思い出します。
それというのも、母は毎晩、
寝る前にチョコレートを食べるコトを習慣にしていたから。

きっかけは夫婦ではじめてでかけたアメリカ旅行。
ボクが１０歳くらいのときのコト。
スーツケースをひとつ現地で調達しなくちゃいけないほど
沢山のおみやげ物と一緒に帰ってきた母が、
「お金で買えない思い出をもらって帰ってきたのよ‥‥」
って。
ニコニコしながら子供のボクらにハンドバッグの中から
ハンカチーフでつつんだ「何か」を取り出していう。

アメリカのホテルってステキなのよ。
おやすみ前のチョコレートが
ベッドサイドにおいてるの‥‥、って。
ハンカチーフをとくと中から四角いチョコレート。
７泊旅行で７個のチョコ。
どれも同じ大きさ、形で、
けれど３つのホテルに泊まったから
３種類の包み紙でくるまれていた。

チョコを食べると不思議とグッスリ眠れたの。
「寝る前に甘いものは食べたくないから」
ってお父さんがいうから、
お父さんの分をこうして持って帰った。
ほら、まだココにアメリカがあるみたいに見えるでしょう？
と、そのチョコレートを母は大切そうに
アクセサリーケースの隅にそっと収めて、
それから毎晩、一枚づつ。
アメリカ旅行の余韻に幸せそうにひたってた。

同じような形のチョコを見つけてきては、
毎晩チョコを口に含んで寝る母を、
ステキだなぁ‥‥、ってボクは子供心に思ったものです。
いい夢を見れたときには、チョコの甘さのおかげと思う。
辛い夢を見てしまったときには、
チョコの苦さのせいだと思うと、
朝の寝覚めも良くなるからネ‥‥、と。

それから母は海外に行くたび、チョコをおみやげにする。
スイスに行ったときには
まるでレンガタイルのように大きく
分厚いチョコを買ってきた。
ご丁寧にもそれを割るための木槌がセットで、
毎晩、食事が終わったあとに、それを叩いて割って味わう。
みんな自分で割りたくて、
じゃんけんをして割る係を選ぶゲームで
みんな笑顔になったりもした。
ボクにとっての「ちょっと贅沢なチョコの思い出」は、
母の思い出と同じ思い出。

伊勢丹でサロン・ドゥ・ショコラが開催される。
そう聞いたとき、ボクは母に電話をかけて、
「今でもチョコを食べている？」って聞いてみた。
訳があって田舎に帰ってしまった母。
気の利いたナイトキャップ代わりのチョコは
うちの近所ではみつからないの。
だから最近、食べてないわねぇ‥‥。
そういう母の声が心なしか元気がなさそうに感じて、
そうだ。
母にチョコをプレゼントしてあげよう‥‥、
ってボクは思った。

そう思ったのだけれど、どんなチョコを買えばいいのか？
頭をフル回転させてもなかなかイメージつかめず、
そういえば、今までボクは母からチョコをもらうばかりで、
母のためにチョコを選んであげたことは一度もなかった。
申し訳ない気持ちでいっぱい。
チョコに限らず何事も、
「もらい上手」といわれるよりも
「贈り上手」とよばれたい。
母がよろこぶチョコを選べるように、
サロン・ドゥ・ショコラにショコラを学びにまいります。
さて、どんなショコラを買えばいいのか？
この話をしてみたところ、
世界を駆け回ってショコラを集めてきたバイヤーさんが
「サカキさんのお母様へのショコラを一緒に探しましょう」
と、言ってくれた。
みなさんも一緒にショコラを学びませんか？
ショコラの旅にでかけてみませんか？
１月２２日夜９時。ユーストリームでお会いしましょう。

1/23（水）ー1/28（金） 最終日６時終了 伊勢丹新宿店本館６階＝催事場