ほぼ日刊イトイ新聞

諸君、緊急企画である。
ある日、私はこんな話を耳にしたのだ。
ほぼ日乗組員の「ちょう」が
かねてからの夢だった
ウィンブルドン選手権の観戦に行くらしい。
そう、テニスの四大国際大会のひとつ、
歴史あるあの「ウィンブルドン」である。
しかも、試合のチケットは現地調達。
ウィンブルドンの古式ゆかしい様式にのっとり
「寝袋持参で前夜から並ぶ」
という方法で入手する予定らしい。
むろん、完全にプライベートな話である。
しかし、この話は、あまりにもおもしろい。
そんなことを会社の同僚が実行するとは
思わなかったので、私はビックリした!
あ、申し遅れた。私というのは
ほぼ日乗組員の永田です。

そんなわけで、急遽ページを立ち上げた。
仕事ではないから、ちょうは原稿を書かない。
むしろ、書いてはならぬと言った。
(仕事になっちゃうからね)
ただ、並んでいるとき、ヒマ潰しに
写真でも送っておくれ、とお願いした。
それをときどきこのページにあげて
「ウィンブルドンの列に並ぶ同僚」を
おもしろがってみたい。
ていうか、ウィンブルドンで並ぶ様子って
実際、どんな感じか見てみたい。

というわけで、かなり見切り発車だが、
こんなページを立ち上げてみた。
行き当たりばったり上等とはこのことである。
果たして、ちょうは、ウィンブルドンの
チケットを入手して観戦できるのか?
乞うご期待! 否!
あまりご期待してはならぬ。

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2014/06/30 16:35
おかえり!

みなさん、無事、
ちょうさんが帰ってきました。
そう、短い英国滞在を満喫して!
それでは、最後のご挨拶です。


「永田さん、みなさん

 昨日無事帰国して
 やっとメール等一通り見ることができました。
 旅先でも少し拝見していたものの、
 こんな展開になっていたなんて、
 びっくりしています‥‥。

 旅を思い立ってから旅行に出るまでの間は
 宿、飛行機はどうするから、
 お休みに入る間の仕事と家の準備など
 旅立つ直前までばったばたで
 それでも楽しみが先立ってたのですが、
 いざ羽田に向かう時間がきて
 飛行機に乗っている間は
 勢いだけで来てしまったのではと
 本気で不安になりました。

 ヒースローに到着してからも
 Wifiのトラブルや
 ウィンブルドン行きの地下鉄が止まってるとか
 (大会前日なのに!)
 目の前の心配事との戦いばかりで
 翌日からの試合が楽しめるのかどうかも
 わからないくらいだったのですが
 B&Bでお世話になったニールさんご一家には
 本当に助けていただき、
 初日無事並んで伊達さんの試合、
 ジョコビッチのセンターコートと
 実際にウィンブルドンの会場で試合を見てからは
 不安よりも楽しみが先立って
 テントから念願のフェデラーのセンターコートまでは
 いまになって思うと、あっと言う間の出来事でした。

 ウィンブルドンが好き、と思うようになったのは
 サンプラスとヒンギスが全盛だった時代のときで
 そのときは行きたいとまでは思ってなく
 夜中にNHKで放送しているのを見ては
 芝と白いウエアで伝統のある
 ステキな大会だなと思っていたくらいでした。

 2012年、フェデラーvsマレーの決勝戦、
 二人の息もできないようなラリーの応酬はもちろん、
 イギリスの期待を背負いつつも
 負けてしまったマレーの悔し涙のスピーチと
 それをあたたかく見守るような
 フェデラーの表情と振る舞いをみて
 ウィンブルドンと、フェデラーの大ファンになり、
 初めて見に行きたいと思うようになりました。

 その年、ちょうどロンドンオリンピックで
 もう一回ウィンブルドンでテニスが行われて
 マレーが悲願の金メダルを
 取ったのにも感動しましたし、
 そのマレーに火をつけたフェデラーが
 翌年(去年)のウィンブルドンで
 2回戦敗退をしたときに
 フェデラーを見たくて
 本当に行きたいなら「またいつか」とか
 言ってる場合じゃないなと、
 どんどん行きたい熱がたかまって
 昨年末チケットに申し込み、
 外れたと分かった今年のGW明けくらいから
 どうやったらチケットが取れるのか
 WEBなどをひたすら検索して
 『並べば見られる!』に行き着いたのでした。

 バックパックの旅行なんて大嫌いだし、
 そこまでするのかどうか、
 そもそも一人旅で大丈夫なのか思ったのだけど
 調べていたら
 そこまでしても大丈夫で、
 そうしたほうが何だか楽しそうだし、
 よさそうだ、ということがわかって
 あとは本当に行くかどうか、
 自分の腹をくくるだけになって
 『それはもう、行くしかない!』と決めたのでした。

 そこまでの道のりでも十分たのしかったので
 周りの人にはウィンブルドンに行くんだ、と
 こっそりもらして
 一人旅をひっそり楽しむつもりでいたのですが
 永田さんからコンテンツのこと、お話いただいて
 そのときはもう色んなことがバタバタで
 写真送るだけだったらできるからと
 あまり深く考えずに
 全部お任せしてしまったのですが、
 コンテンツにしていただいたおかげで
 『ほぼ日』にテニスやウィンブルドンファンが
 こんなにいらしたことをはじめて知りましたし、
 自分の旅をおもしろがってくださる人がいて
 とてもびっくりしています。
 たくさんのメールを本当にありがとうございました。
 こんなにテレビにうつっていたなら
 もっとちゃんとお化粧の準備を
 していけばよかったです!

 体当りで臨んだつもりだったのですが
 ウィンブルドンは私の気合いや体当りなんか
 ものすごくちっぽけだったなあ、と思えるくらい
 もっと大きな包容力があるところでした。
 レポートにも書きましたが、
 望んで並べばちゃんと機会が与えられる仕組みなど
 懐の広くて深いすばらしいところでした。
 一観客の目線だけでもこれだけ実感できるので
 多分、選手のみなさんの目線になったら
 もっとたくさんのホスピタリティーを
 実感されるんだろうなと勝手に想像してみました。
 実際、選手もお客さんも、地元のひとも
 そこで働く人たちも
 ウィンブルドンのことを好きで
 大切にしていることを知って
 それを支える裏側のこと、
 ものすごくのぞいてみたくなりました。

 思いがあまって
 長々と書いてしまいました。

 ウィンブルドンに行ってみようかな、と思われたら
 ぜひ行ってみてください。
 私は大会前半のことしかわからないですが
 自分の経験でいえば
 すくなくとも朝7時までに並べば、
 会場に入れてたくさんの試合を楽しめますよ。

 ウィンブルドンは遠くても、
 2020年には東京オリンピックで
 トップランキングの選手たちも含めて
 大集合するんですよね。
 そのとき、だれがナンバー1なのか
 想像もつかないのですが
 ウィンブルドンや四大大会でみられるような
 すばらしい選手やプレーが東京で
 みられるなんてとっても楽しみです!

 あと、肝心の今年のウィンブルドンも
 これからが後半戦。
 この1週間どうなるのか、
 こちらも楽しみに追いかけたいと思います。

 最後になりましたが、
 私の個人的な旅をおもしろがってくださって
 本当にありがとうございました!

 ウィンブルドン、また行きたいです!
 (ちょう)

というわけで、これにて、
緊急テキスト中継を終わりたいと思います。
いやぁ、大成功というか、
おもしろかったですね!
ぼくもぼくの夢について
あらためて考える機会になりました。

ちなみに、ちょうさんが
パンフレットにしてもらったサインですが、
誰のサインかと尋ねたところ、
「誰だかわからないんですよ、 
 なんか、いっしょにいた人が
 もらってくれたんです」とのことでした。
そのあたりの、ぼんやりとしたところも、
たいへんよいと思います。

最後までおつき合いいただき、
どうもありがとうございました。
それでは!

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