昔、はたらいていた会社には、
ボンボンとお嬢様が多かった。

中でも群を抜くお嬢様がいた。

大学進学時に上京し、
一人で暮らしをはじめたお部屋には、
音大じゃないのにグランドピアノ。
お召し物は、
すべて銀座の老舗ブティックでの
オーダーメイド。

キャンパスライフをエンジョイし過ぎて
金欠になり、
アルバイトしようとしたら、
親御さんが仕送り額を増やした等の
逸話の持ち主。

そんな彼女、入社してほんの数年で
サッサと寿退職した。

聞けば、実家に帰省する飛行機で
隣の席に座った
これまたセレブの男性と
スピード結婚したとのこと。

それを聞いた社内の女性陣が、
次々とふだんｎ帰らない実家に帰省したが、
やっぱり、
そんな夢のようなシンデレラストーリーは
真性セレブにしか訪れないのであった。

実家暮らしのワタシも、
がんばって祖父母のいる大阪に
ひとりで行ってみたが、
隣に座ったのは、
行きも帰りも中年サラリーマンだった。

夢のプロポーズには、ほど遠かった。

（もつ）