鴨さんに誘われて、北海道に本を売りに行く。

nagata

鴨さんが行くのは。

2019/09/10 23:55
しばらく考えて、鴨さんは言いました。
まず「なんでだろう」と。
たぶん、それは単純な理由ではなくて、
いくつかのことが重なって、
しかもそのときどきによって
行く理由も微妙に変わるのでしょう。
彼がいろいろことばを選びながら
言ったのは、つぎのようなことでした。

「まず、行くことのなかった場所に
ぼくが行ける、ということがありますよね。
あと、行くと、よろこばれることが多い。
それはぼくだからというわけではなく、
人が行くと、よろこばれますから。

ぼくが行って、復興に役立つとは思いません。
むしろ、ぼくはなんの役にも立たない。
あの、ぼくは、いつも、
旅に出るとこういう感じですから(笑)、
危なっかしくて、みんなが助けてくれる。

そうですね、だから、いちばんの理由は、
ぼくが行くと、みんなに
『やることができる』ということかもしれない。
やることがないのって、いやじゃないですか。

もてなしてくれる人、教えてくれる人、
迎えてくれる人、会いに来てくれる人、
みんなにやることがふえるから、
ぼくは役に立たないのに、
役に立たないからこそ、
行くのかもしれません」