発車のベルが鳴っているのに、
待っているはずの
同行者の姿なし。

そんなとき、人はわりと
冷静めなLINEをするものです。

ここから私が「待合室の券売機」で
切符を買っていた姿は
写真には撮れませんでした。

待合室を見つけて、
券売機は値段表示しかなく、
釜石までの値段を調べてボタンを押し、
２人分は買えず１枚ずつ切符を買い、
Suicaを入れたら残高不足、
リュックの底から財布を取り出しお札を入れ、
じゃらじゃらになったお釣りを
一枚一枚拾い上げ、
久しぶりに手にした小さな切符を
落とさないようにポッケに入れた途端、
発車のベルを耳にした
私の姿は写真に撮れませんでした。

でも、弁当持って全速力でホームに走り、
待ち構えているであろうはずの
同僚の姿が見えず、
いったん車両に入ってまた降りた、
田口くんの姿は撮れました。

たぐちゃん（とお弁当）、
まだかなぁ‥‥。

と、釜石線のホームで
待っていたら、
ふと、さわやかな風が吹きました。

なんだろう、さわやかだな、
さすが賢治と大谷翔平さんのゆかりの地だな。
そう思って振り向いたところに、
「タッチ！ の前に」
という掲示がありました。
ご確認ください。
マル、バツ、とあります。

あかん。理解できない。
もう弁当を持ったたぐが来るんじゃ。
なんだなんだどういうことだ。

えっと私がこれから向かうのは、
恋し浜駅で、
でも直通はなくて、
乗り換えは（iPhoneで調べる）釜石。
釜石方面‥‥は、Suicaが、使えない！！！！

小さめの字で
「待合室の券売機で
きっぷをお求めください」
とあります。

ままままままちあいしつって、どこ！！！

もう弁当持ったたぐと、
電車が来てしまう！

お弁当売り場から、
釜石線の駅までは、
まあまあ、ある。
まあまあ、あるよ、たぐちゃん。

お弁当運びと、
電車の発車見守りに
明るく別れたのは
よかったものの。

「お弁当をふたつ、くださーい」

とお願いしましたものの、
あたためる時間が８分かかるのだそうです。
ふたつだと、16分。
乗り換え時間は23分。

「ギリギリですね」

ギリギリです。

先に行って待ってるね。

「はい、じゃぼくはお弁当を運びます」

ええっと、
イーハトーヴ金時赤飯弁当、
イーハトーヴ五目おこわ弁当、
銀河鉄道帆立おこわ弁当。

賢治ゆかりの地や！

新花巻駅に着きました。
ここから在来線の釜石線に乗り換えます。

お弁当を買うところが、
今後きっとないので、買おう。

新花巻駅に到着する直前、
窓の外が銀世界になっていることに
驚いた！

メールをいただきました。


冒頭の文章を読みながら、
NHKの「一本の道」という番組を
思い出しました。
この番組も、一日に歩く距離がかなり長いのです。
トレーニングを積み重ねてきたスガノさんなら
大丈夫ですね。
田口くんは、なんの問題もなさそう。
強いていえは、トイレ？
お天気に恵まれますように。
それでは、テキスト中継、
ゆるゆると追いかけます。
（T）

Ｔさん、ありがとうございます。
トイレはね、今日は大丈夫なんです。
明日からが問題です。

ここで田口くんが、
「お金下ろすの忘れた」と言いました。
でも平気です。
あのとき団長からもらった五百円玉を
今日もこうして、肌身放さず持っているから。