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勉強の夏、ゲームの夏。2015

読者のみなさまから寄せられた、
マジでガチな勉強の質問、相談に、
「ほぼ日」とかかわりのある
「意外に高学歴な人たち」が答えます。
勉強の質問がありましたら、
上の「勉強や絵の質問をする!」ボタンから、
気軽にメールしてくださいね。

2015/08/21 14:36石川善樹先生です!

さて、勉強サイド、
次にお越しくださったのは、
医学博士の
石川善樹(いしかわよしき)さんです。

「ほぼ日」上に登場されるのは
この「勉強の夏」がはじめてですが、
じつは、来週より
糸井重里との対談がはじまります。
いろんなお話があまりにおもしろくて、
今日もお越しいただいたのでした。

石川先生、よろしくおねがいします。

「よろしくおねがいします」

2015/08/21 14:40刺激的なタイトルの本の著者

石川先生は「予防医学」を専門に
いろんな研究をされていて、
『友だちの数で寿命はきまる』
『最後のダイエット』
といった、なかなか刺激的な名前の本も
出されています。

とはいえ、どちらも研究をもとにした
とても地に足がついた内容のもの。
「ダイエットをうまく行かせるには、
 従来の考え方を考える必要が
 あるんじゃないか」
とか、
「人の健康と人間関係は
 ものすごくつながりがある」
とか、
一般のわれわれが気になることを
いろんな研究をもとにして、
わかりやすく説明してくれる本。

石川先生はそういったことが
ものすごく得意なかた、
という印象があります。

2015/08/21 14:50どの質問を選ぶ?

さて、石川先生、
今日はたくさん質問が届いてまして、
まず、そこからいくつか、
選んでいただけたらと思うのですが。

石川
「(ざっとみて)
 あ、どの質問でもいいですよ。
 ほんとにどれでも大丈夫です」

では、裏返してランダムで
選んじゃいましょうか。

石川
「そうしちゃいましょう。
 (ぱっ、ぱっ、ぱっ、ぱっ、ぱっ)
 ‥‥これで行きます」

この迷いのない選び方も、
まさに理系の研究者のかた、
という感じがします。
すごいなあ。

2015/08/21 14:59勉強の質問、はじめます。

そして台所に寄って

「今日は静岡おでんがあります」
「あ、いいですね」
など、今日のふしぎな中継について
お伝えしたあと、
質問部屋に戻ってきました。

ちなみに、石川先生は、
東大に行かれたのち、
アメリカのハーバード大学の
大学院に進まれています。
まずは、そのあたりの
石川先生にとっての勉強の歴史から
教えていただけますでしょうか。

石川
「はい、わかりました。
 ちょっと思い出してみます」

2015/08/21 15:13勉強に興味が持てなかった

石川
「ぼくは中学受験にはじまり、
 高校、大学、大学院、
 それも海外への留学ということで、
 受験というものを
 ものすごくしてきています。

 ただ、勉強がたのしくなったのは 
 中学に入ってからですね。

 それまではぼく、勉強について
 ほんとに興味が持てなかったんですよ。
 『勉強しろ』って
 すごく言われてましたけど、
 興味がまったく持てなくて。
 
 なぜ勉強するか、みたいなことを
 説明されても、
 ぜんぜん興味が持てなかったんです」

あ、そのあたりのこと、
ぜひ聞かせてください。

2015/08/21 15:34結論だけ教わっても、興味が持てない

石川
「ふつうの人が当たり前にすっと
 いくようなことを、
 ぼくはいけなかったんですよね。

 たとえば、
 『光はレンズを通すと屈折します』
 ということでも、
 小中学校では
 『屈折するものなんです』で
 結論だけ教わって
 終わりなんですよね。

 でも、ぼくは
 『なんで曲がるの?』
 『どうやって曲がるの?』
 『光って何?』
 みたいなことまで知りたかったんです。
 そこがわからないと、すっといけなくて。

 ほんとは『光って何?』について
 考えはじめると、
 アインシュタインの相対性理論にまで
 行きつくんですけど。

 そういうところでつまづいて、 
 勉強に興味が持てなかったんです」
 
ああ、なるほど‥‥。

2015/08/21 15:36WhyじゃなくてHow

石川
「あと、こどものころの僕が勉強に
 まったく興味がなかった理由ですけど、
 よく勉強については、
 『どうして勉強するのか?』ということが
 言われたりしますよね。
 そして大人からは
 『いい大学に行くため』とか
 『いい会社に行くため』とか
 『できないよりできたほうが』とか
 いろいろ言われる。
 で『だから、勉強しろ』って」

ええ、ええ。

石川
「でも、子どもに限らず、
 人って、理屈では納得できないんです。
 ゲームだって、理屈じゃなく
 たのしいからするわけで。
 そういうものなんです。
 ものごとってWhyで考えると
 つまんなくなるんですよ。
 
 たぶん、Whyじゃなく、
 Howで考えたほうがいいんですよ」

WhyじゃなくてHow。
つまり「なぜ」ではなくて「どのように」?

石川
「ええ。
 前に登山家の栗城史多さんに
 聞いたことなんですが、
 Whyの考え方で、
 『なぜ山に登るの?』と言われても
 大した理由なんてない、と。
 でもHowの、
 『どのように山に登るんですか?』
 なら、いくらでも話が
 おもしろい方向に広がっていく。
 
 Whyで考えるとつまらなくなって、
 たのしくしたいならHowだと。
 ぼくも、ほんとにそうだと
 思うんですよね」

はああー。

石川
「Whyで考えはじめると、
 たいてい『ごもっとも』な答えにしか
 なんないんです。
 そうやってWhyで考えていくと、
 いろんなことってほんとに
 つまんなくなるんですよ(笑)」

2015/08/21 15:46静岡おでんと研究者

‥‥と、そんなタイミングで、

おでんを運んできてくれました。
「勉強の夏、ゲームの夏」恒例、
静岡おでんです。


「これこれこうで、
 あれやこれやが入っています。
 雑多な味がポイントです」

石川
「この組み合わせはなんですか?」


「ああ、これはこういうのと
 ああいうのが入っていて‥‥」

石川
「あ、なるほど‥‥(何か考えている)」

石川先生の姿勢には、
常に研究者としての
視線(興味?)がありそうで、
こういうときも、おもしろいです。

2015/08/21 15:58興味を持たせるのがうまい先生

中学に入って、石川先生が
勉強に興味を持つようになったのは
どうしてなんでしょう?

石川
「中学でぼくは、すごくいい塾の先生に
 出会ったんですよね。

 その先生は、
 とにかく教え方がうまかったんです。

 長期的な目標を伝えるのではなく、
 その日に生徒ができることをさせて
 『あ、解けた!』というたのしさを
 感じさせてくれるんです。
 それでぼくらも、
 できるからたのしくて、
 もっとやりたくなる、みたいな
 いい循環が生まれてて。

 これ、何がポイントかというと、
 勉強への興味を持たせるのが
 うまかったんですよね」

興味を持たせるのがうまい。

石川
「ええ、ぼくは勉強って、
 まずは『興味』が
 いちばん大事だと思うんですよ。

 運動でも準備体操ってありますけど、
 勉強もやりはじめる前に
 『興味』をふくらませるのが
 とても大切というか。
 知りたくて、たまらなくさせる。

 『興味』ってすごく大事で、
 そういう気持ちになると、
 研究だって、すすむんですよね」

なるほど。
研究もですか。

石川
「ええ、ぼくの友人に
 天才物理学者がいるんですけど、
 その人の方法もそうなんですよ。

 彼はおもしろくて、
 たとえばふつうは
 ルービックキューブをわたされたら、
 とにかく回しながら
 解こうとするじゃないですか。

 でも、彼は最初に、じっと待つんです。
 『解く準備が整うまで待つ』んです。

 どうやったら解けるか、
 考えながらじっくり待って、
 で、ものすごく解きたくてたまらなく
 なったときに、初めて解く。

 勉強も、そんなふうに
 『解きたい気持ちになる』という
 準備運動みたいなことが
 たぶん、すごく大事なんです」

へえええーー。おもしろい。

2015/08/21 16:12勉強とお笑いの共通点

石川
「それで、ですね。
 勉強って
 『興味』→『驚く!』→『納得!』
 という3段階だと思うんですが、
 これ、ぼくは
 お笑いと一緒だと思うんですよ」

あ。えええ??
それって、どういうことでしょう?

石川
「お笑いは
 『つかみ』→『ボケ』→『ツッコミ』
 ですよね。
 これ、勉強の
 『興味』→『驚く!』→『納得!』
 と、対応していると思うんです」

へえええーー。
その発想、すごいですね。

石川
「それで、『勉強』と『お笑い』が
 呼応しているんだとしたら、
 ぼくは、じゃあどうやったらその
 『興味』が生まれるんだろう?
 ということに興味を持ったんですね。

 そこでぼくは、
 お笑いのキングコングの西野さんと
 電波少年の土屋プロデューサーに
 お会いしたときに、
 『つかむ』ってどういうこと?
 と、話を聞いたんです」

つまり、興味のしくみを知りたくて、
お笑いのプロフェッショナルの人たちに。

石川
「ええ。そしたらこう教えてくれたんです。
 『つかみのためには、
  ふつう、という部分が大事だ』と」
 お笑いは、最初にいかにも
 おもしろいことを言いますよ、
 とはじめてしまったら、
 ハードルを上げるだけで
 損をするだけ。
 さいしょにまず、ふつうの話で
 『あ、ふつうのこと言うんだな』と
 お客さんが思っていたところで、
 予想外のことを言う。
 そうするとようやく
 『おもしろい!』となるらしくて」

ええ、ええ、ええ。

2015-08-21-FRI