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『どうぶつの森』 遊んだ人と作った人。

第7回 笑えるMTG

糸井 「村の住人のアランが僕をずっと見てるんですよ」
なんていうことを言う乗組員がいるんですね。
「そんなことないだろ」とは思いつつも、
その乗組員がアランが見せた感情に
反応したのは事実だと思うんです。
どうぶつたちには感情みたいなものが
組み込まれているんですか?
野上 あまり具体的には言えないのですが、
思い入れが強まるようなアイデアは
どんどん取り入れていきましたね。
江口 どうぶつたちの中にプレイヤーの思い出を
きちんと残してほしいと考えて、
記憶力を持たせました。
さらに、どうぶつたちを介して
その人のことを聞くのはおもしろいなと思って、
ほかのプレイヤーとのつながり、
ということもだいぶ意識しましたね。
糸井 どうぶつたちから聞き知る、
ほかのプレイヤーの話っておもしろいもんね。
そういう、どうぶつたちが話すセリフだったり
見せる仕草なんかのアイデアって
どうやって出してるんですか?
みんなで言い合ったりするわけ?
江口 言いながら書き貯めておく、ですかね。
「こういうふうにして遊びたいよね」とか
「これって本当におもしろい?」っていうのを
延々繰り返してるんです。
岩田 部外者から見たら、そのアイデア出しの会議は
いったいどうやって収束していくのかが
まったくわからないですよね。
糸井 そうだよね。
岩田 無限に、かつ拡散する方向に力がいきますよね?
江口 なりますね。
でも、まずは1回は拡散させながらも
思いっきりアイデアを出し合うことをしないと
ダメだな、っていうふうには思ってます。
野上 そういう場で出たアイデアは
散らかったものになるんですが、
発言している側も、徐々に前の発言のアイデアに
関連づけていったりするようになるんですね。
で、綺麗につながったりすると笑えて、
場がワッと盛り上がるんです。
糸井 ミーティングの場で
笑えるっていうのはけっこう大事ですね。
野上 そうだと思います。
ある日、チーム内で固まって
女性が座っているところにお菓子を置いておいたんです。
そうしたら、まぁ、みんな
アリのように群がってくるんですね。
糸井 (笑)。
江口 みんなお菓子を食べながら、
雑談混じりにアイデアを出していくんですよ。
それをちょっとずつ拾い上げたりなんかもしました。
野上 ただ、さきほど岩田さんがおっしゃったように
こういった場の話はどんどん拡散していくので、
その場では盛り上がって話をしているんですが、
あとあと、冷静に「よく考えてみると、
あれはこうだよね」って江口さんとしてましたね。
江口 そういった場で「それは絶対に違う」みたいなことを
言っちゃうと場が沈んじゃいますしね。
糸井 なるほど‥‥あっ!
そのアイデア出しの会議の雰囲気を感じた
家具を思い出しました。
岩田さん、UFO知ってます?
岩田 UFO?
糸井 家具の中にUFOがあるんですよ。
その名のとおり巨大なUFOなんですが、
中心部からビームが出てるんですね。
ビームの中には線画みたいな小さい人がいて
フワーってさらわれていっちゃう。
その小さい人を入れようが入れまいが
まったく関係ないんですよ。
岩田 「UFOといえば、こうだろう」みたいなことが
きちんと表現されているんですね。
糸井 そうですそうです。
明らかにUFOについて話し合った形跡があるんです。
もうそれがうれしくてうれしくて
しょうがないんですよ。
一同 (笑)。
糸井 セリフ、家具、イベントそのほかもろもろ、
至るところがそうなってる。
僕らはみなさんが話し合った形跡を
追いかけて楽しんでいるんですよね。
岩田 なるほど。
(つづきます)

「僕らも「どうぶつの森」について話したい!」



今回、お話をする乗組員
シェフ、モギ、やえ、ベイ


私、村のイベントには一切参加しない。
えぇ!
だってー、相手、機械じゃん。
機械(笑)。
僕なんか、イベントなくても
毎日全員と話してるよ。
頭に「!」が出たときに近づいてくるじゃない?
あれ以外で話しかけたことはほとんどないよ。
僕はすれ違ったら必ず。
私もすれ違ったら必ず。
僕はそのとき次第で。
もし、通信機能がなくて、
ほかの村との交流とかがなければ、
コンピュータが動かしているキャラとも
楽しくやれるんだけど、
対人間のおもしろみを知っちゃってるからね。
それはね、ひとり遊びが好きな人って
その世界に自分の感情を乗っけることが
できるからだと思うよ。
プログラムが相手だろうが、人間が相手だろうが、
それは自分そのものなので、
自分がどう解釈するのかが
問題になってくるんじゃないかなぁ。
じゃ、私はひとり遊び派じゃないってこと?
そう。
僕はもうずーっとひとり遊びしていられる人なの。
ひとりっ子だし(笑)。
(笑)。
わたしも頭の半分ではプログラムだしって思いつつも
けっこう楽しく会話してますね。
母はもう、生き物として丸ごと信じてますね。
丸ごとって(笑)。
釣りしていて、釣り上げたばかりの魚を
「ちょうだい」って言われるような場面が
あるじゃないですか。
「なんで釣ったことがわかるの?」って
すごく不思議がってるんです。
(笑)。
聞かれるたびに「プログラムだよ」とは言えず、
「なんでだろうね」って(笑)。
(笑)ベイちゃんなんかはどう?
「ほぼ日」の宇宙部として
プログラムを組んだりするわけじゃない。
ある程度どうしてこの人たちが
こういう動きをするのかって予測とかしちゃうわけ?
うん。
だから、このゲームって
作り手との対話しているような感じですよ。
一同 へぇー!
会話を見ていると、
そのプログラムの向こう側に
人がいるって感じがするんですよ。
ほぇー、そうかそうか。
プログラムと会話するんじゃなくて、
開発者と会話している、ってことだ。
江口さんや野上さんと
話をしているみたいなんだね。
それこそ、あの方々がこの会話を考えたと思うと
なんだかうれしくなってきちゃう。
やっぱり宇宙部は感心するポイントが違うわぁ。
(シェフ、モギ、やえ、ベイ編は終わりです。)
2009-04-20-MON
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