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おおらかなことば ~宮本茂さんにきく。 2004年初夏~

 
宮本 ディーエスにはもう、
さわってくださったんですか?
── あ、いえ、ぼくはE3には
行ってませんので、まだです。
情報はひととおり仕入れてきました。
宮本 あ、それは触ってもらったほうがいいな。
ちょっと用意しますんで‥‥。
── わあ、そんな、お気遣いなく‥‥。

(などと言ってるあいだに
 E3で出展されたディーエスが準備され、
 プレイさせていただくことに‥‥)

ジャジャーン、ニンテンドーディーエス登場。
スタッフの方と、宮本さん直々のレクチャーを受けながら
30分ばかり体験させていただきました。光栄。


「‥‥?」


「‥‥!」


「!!!」


「!!!!!!」
── ‥‥‥‥あ、ありがとうございました。
ぃやぁーーー、すごいですね。びっくりしました。
宮本 ちょっとびっくりするでしょう(笑)?
── びっくりしました!
なんか、わかってるつもりでしたけど、
ぜんぜんわかってませんでした。
やっぱり、さわると違いますねー!
宮本 あ、違う? やっぱり?
── もう、すいません、っていう感じです。
ぜんっぜん、違います。
ぼく、E3のニュースをほとんど読んで、
十分に「ディーエス、おもしろそう!」と思って
今日、ここに来たんですけど、
いや、なめてました(笑)。びっくりしました。
宮本 やっぱりさわらないと伝わりきらないんですよね。
メディアの方もそうなんですけど、
サードパーティーの開発者の方でも
「触って初めてわかりました」
っていう人がたくさんいたんですよ。
画面がふたつで、タッチパネルでって、
書類上のスペックだけ見て企画を考えるのと、
実際に触ってから企画を考えるのと、
ぜんぜん違うんでしょうね。
だから、ディーエスの特長として、
「開発者がたのしそうだ」
っていうのはありますよ(笑)。
── すっごくよくわかります(笑)。
宮本 たとえば、ディーエスで
『マリオ64』をつくったんですよ。
ニンテンドウ64の『マリオ』をベースにして
4人でつながるようになってるんですけど。
ところが、それには開発の人間は
あんまり興味を示さないんですよ。
── あああ、なるほど!
携帯機であれができるのは
十分すごいんだけど‥‥。
宮本 おもしろさの質としては、
みんなもう知ってるからね。
だから、「ああ、携帯機でも綺麗だね」
っていうくらいで(笑)。
『マリオ64』がそこで動いてるのに。
「こうして円を描いたら風船ができる!!」とか
「こうして画面を触って、
 ロクロでコケシを削り出す」とか、
それぐらいね、やっぱり新しいもののほうに
素直に反応してるんです。
ただね、どうしてもメディアとか営業の人は、
みんなこう、これまでの価値観があるから、
「何時間遊べるんですか?」とか、
「ステージはいくつあるんですか?」
っていうふうに話がいってしまうんですけど。
── そうでしょうね。いや、ぼくも、
ゲーム雑誌の編集部にいたら、
「『マリオ64』の写真をでっかく使え!」
って言うと思うんですけども(笑)。
宮本 うん(笑)。実際ね、
日本のメディアの反応を見ると、
やっぱり雑誌を見てる人たちは
『マリオ64』に期待してるみたいで、
もちろんそれはそれでかまわないし、
『マリオ64』もそうとうたのしめるんですけど、
実際に触ってもらうと、
『マリオ64』はできて当たり前っていう
反応になってくるんですよ。
それよりは、新しいものに興味がいく。
── そうですね。なんかこう、触ると、
いままでの自分のなかの文脈では
うまく整理できないというか、
ガラガラ壊れていく感じがして‥‥。
宮本 そうそう。
だって、さっきずっとプレイしてたけど、
じつはペン1本しか持ってなかったでしょ。
── あっ! そうだ!
宮本 十字ボタンもAボタンもBボタンも
押さえてないからね(笑)。
── うっわあ。

(続きます!)


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2004-07-01-THU